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今回は2021年改定のケアプラン規制に関する対策について紹介します。
2021年改定に関する記事やケアプランの点検や新たなケアプラン検証については、以下の関連記事を参考にして下さい。
2021年改定 ケアマネ関連記事
「介護情報 2021年改定 サ高住入居者等へのケアプランの点検」
ケアプラン検証・点検の制度のポイント
一律規制の施策の限界
今回の新たなケアプラン規制の背景には、前回2018年の改定で居宅介護支援センターに課せられたルールの問題が浮き彫りになったからです。
2018年度介護報酬改定改定のおさらいとして、一定以上の回数(全国平均利用回数+2標準偏差)以上の回数の訪問介護(生活援助中心)を位置付けるケアプランを作成したケアマネジャーは市町村への届出が義務付けられていました。
今までのルールは非常に厳しい内容でケアマネが作成・変更したケアプランに一定回数以上の生活援助を位置づけた場合、翌月末までに市町村への届け出が必要でした。
届け出されたケアプランの内容は、地域ケア会議などで検討し利用回数が適切ではないと判断されれば 市町村が ケアマネに是正を通知していました。
ケアマネとしては上限回数を超える理由を家族の支援がない状況や認知症状等事情を記載する必要がありました。
この訪問介護の生活援助の上限回数制の導入と届け出の義務化は事業所側に大きな不安を呼び弊害をうみました。
地域ケア会議での検証を嫌い、生活援助が身体介護に振り替えられたり、必要であっても上限回数以内に収める事例が見受けられました。
この事は個々の状況を勘案せずに、一律に規制を強化して弊害で本来高齢者住宅の入居者囲い込みへの対策の意味合いが一般の在宅利用者にも影響が及んだ状況です。
2021年の改正における審議で財務省は、生活援助のみならず、身体介護への上限回数導入や高齢者住宅に対する独自の支給限度基準額の設定を求めていました。
このような経緯もあり、ケアプラン全体の検証と併設事業所のケアプラの点検を分けて考える基準となりました。
前回の 「介護情報 2021年改定 サ高住入居者等へのケアプランの点検」でも紹介した通り、高齢者住宅の入居者方が在宅利用者より多くのサービスを利用している事実はあります。
中には入居の条件が区分支給限度額ギリギリまで介護サービスをケアプランに位置付ける事例は多くありました。
ただしこれだけSNSやインターネットが普及した社会では、多くの情報を利用者は収集でき、悪質業者が持続することは困難です。
地域ケア会議・ケアプランチェックの弊害
前回の改定を前後し、各市町村の嘱託職員としてケアプランが確認できる職員が配置されるようになりました。
地域ケア会議以外にも独自のケアプランチェックを行う市町村も増えています。
性善説に基づきケアマネを育成する内容であればいいのですが、性悪説のように命令口調の専門委員も中にはいます。
勿論地域ケア会議の専門委員にはそれぞれの立場でケアプランを検証され、ケアマネに新たな気づきが得れる機会ともなります。
ただし専門職に理解を得るために膨大な説明資料を用意することはただでさえ、記録類の業務量が多いケアマネに心理的な負担と残業等肉体的な負担を強いる結果となったことも否めません。
今回の ケアプランを検証は具体的には、全体のおよそ3%の事業所がこれに該当するとみられています。
出来れば自らの事業所が3%の事業所に該当しないことを望むの事は理解できます。
ただし、該当したとしても自ら担当する利用者の多くが本当に訪問介護を多く必要な利用者であれば、規制に臆することなく正当な理由を示し、地域ケア会議等で説明してほしいと思います。
経団連からも「今後の医療・介護制度改革に向けて」で居宅のケアマネジメントにも利用者負担を導入するなど今後も益々改革を求められています。
2018年に改定され、2021年の3月に施行される介護保険法では、「居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーでなければならない」と規定されています。
政策として、特定居宅介護支援事業所を増やし、単独居宅ケアマネの締め出しの動きが見えます。
介護保険制度が始まった時期は多くの介護職が居宅のケアマネの仕事に憧れました。
現在は若手の介護職からは労力の割には、収入が伴わないと居宅のケアマネになることを望まない声も聞こえるようになっています。
介護保険制度スタートから20年、長期にわたりケアマネジメントに携わってきたケアマネが高齢化で大量に業界を去る日が近い中、ソフトランディング出来るか不安が残る政策が続きます。
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