SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回は企業がZ世代向けに事業を創出している事例などを紹介します。
「Z世代」を意識した取り組み
2021年9月4日の日経新聞の記事によると食品メーカーを中心に1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」を意識した取り組みが広がっています。日経新聞抜粋
具体的な企業としては味の素や伊藤園等の取り組みを紹介しています。
Z世代 を意識した取り組みの背景
Z世代に具体的な定義はありませんが、1990年代中盤以降に生まれた世代を指します。
アメリカでは1960年代中盤~1980年頃生まれが「X世代」と名付けられたことに始まりです。
その後の1980年頃~1990年代中盤生まれが「Y世代(ミレニアル世代)」と呼ばれています。
そのY世代に続く世代という意味でZ世代、ジェネレーションZと呼ばれます。
2019年には、世界の人口におけるZ世代の割合は32%に達したという見方もあり、これからの消費を担っていく世代としても、世界的に注目を集めています。
特にアメリカではZ世代が人口の約3割を占めるとされ、2020年代半ばまでに多くのZ世代が労働市場に出るため、社会や経済に対して与える影響が大きいという見方が強くなっています。
世界の多くでは、生まれた時点でインターネットが利用可能な、いわゆるデジタルネイティブの始まりの世代でといわれています。
スマホを日常的に使いこなし、SNSにも親しんできたことから、ソーシャルメディアでのコミュニティ形成を重視する特徴があります。
日本のミレニアル世代・Z世代は米国と比べて存在感が薄いようにも思われます。
しかし、これらの世代は2021年時点で41歳以下の彼らは、少子化の進む日本社会において、
- 消費者の中心
- 働く世代の中心
- 社会の中心
になっていく世代ということは間違いありません。
これらの世代に受け入れられる商品やサービスこそ、今後も生き残っていくことができると企業の多くが考えその世代に向けた取り組みは必須事項となっています。
日本におけるZ世代は、前の世代が不景気の煽りを受けて苦しんでいる様子を少年期に見ていたり、また彼らの親世代が不況に苦しんでいる中で子供時代を過ごしたりしています。
そのため、お金を使うことに対してシビアで、貯蓄する傾向があり、DIYに関心を持つ人も多いようです。
味の素が「Z世代事業創造部」発足
日経新聞の記事によると、味の素は、2021年4月1日付で食品事業本部内にZ世代事業創造部を新設しています。
味の素グループの2019年度の売上高は1兆1,000億円。
世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼります(2020年現在)。詳しくは、www.ajinomoto.co.jpをご覧ください。
各国・地域にある食の伝統や価値観、多様な嗜好、食へのニーズを理解・尊重し、
味の素グローバル展開
各地で最適な製品を開発・販売しています。
味の素の世界戦略は順調に成長していく中で、少子化が進む日本において 20代の若者で味の素の製品を利用した経験が同業他社と比べて少ないという指摘があることも背景にあります。
世界におけるZ世代の経済的影響力を考えた際世界でビジネス展開している味の素にとってその世代の価値観を探ることは必然ともいえます。
具体的な取り組みとしては、6月末に動画サイト「ユーチューブ」で始まったリアリティ番「SPINZ」。
Z世代のタレントらで構成された4つのチームがそれぞれ「食と健康」「教育と格差」「ジェンダーとLGBTQ」「気候変動とプラスチック問題」の課題解決に挑み、賞金100万円をめざす内容です。
「食と健康」に挑むチームを支援するメインスポンサーが、味の素のZ世代事業創造部だ。
次世代に
もっと気軽に、かっこよく
ソーシャルグッドなアクションを
起こせるカルチャーを残したい。自分が感じた違和感を伝えると
「めんどくさいヤツ」と思われ、
社会に良いことをすると
「意識高いね」と言われてきた。でも、いつもそこからが始まり。
今日から、そしてこれからも本気で悩んで
「社会に良いこと」をしていくあなたへ。ソーシャルグッドなオーディション番組「SPINZ」は
Spin HP
あなたのアクションを様々な人とのつながりと重なりによって、
“Spin”のように力強く世界に放てるように全力でサポートします。
味の素のZ世代事業創造部は社内公募で集めた平均27歳の若手社員が中心です。
Z世代の価値観を探り、嗜好にあった商品やサービスを開発する狙いは「食品業界では日本初」ではありますが、今後多くの企業が行っていくと考えられます。
伊藤園、お茶をいれる体験
若い世代において、急須でお茶をいれた経験がない若者が増えています。
国内の緑茶飲料市場でトップシェアを持つ伊藤園の中心顧客は40~50代です。今ではお茶を購入するのは当たり前ですが、コーラ等の清涼飲料水が中心だった時代にお茶を買う文化はありませんでした。
1970年代後半は、コーヒーや炭酸飲料が人気となる一方、急須でいれるという手間のかかるお茶は、消費量が下がり、荒茶(※1)の生産量が減少し始めていました。
そこに目を付けた伊藤園は、“緑茶をいつでも、どこでも、自然のままのおいしさで味わっていただきたい”という狙いで、持ち運びのしやすい缶入り緑茶の開発に乗り出したのがきっかけです。
新たな価値観を作りあげた伊藤園が今はZ世代の親世代も急須で飲む機会が少なくなっており、10代の若者がお茶に興味を持ちづらくなっている」ことに危機感を持っています。
伊藤園においても、Z世代など若者の開拓を急いでいます。
そのような中、昨年1月に伊藤園は、定食と日本茶を提供する食堂「SAKUU 茶空」を開業し茶葉と茶器を提供して始めました。
SAKUUの店内では伊藤園の名前をあえて出さず、緑茶への関心を高めることに力点を置いています。
若い世代においては、企業が商品を大々的打ち出すマスマーケティングに抵抗感を持つ層が一定層いるため配慮しています。
雑誌Hanakonoの取材内容を見てみてもお茶の入れ方など新たなムーブメントとしてお茶をテーマにしていてZ世代に価値観の創造を提案しています。
手軽なエシカル消費に提案キリンビバレッジ
エシカル消費 という言葉をご存じでしょうか。
エシカル消費とは消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことを言います。消費者庁エシカル消費抜粋
キリンビバレッジでは、手軽なエシカル消費に関心があるZ世代を意識した商品づくりを行っています。
3日に発売された「午後の紅茶 ストレートティー」は、自然環境保護などの厳しい基準を満たした農園に与えられる「レインフォレスト・アライアンス認証」を取得したスリランカ産茶葉を使用しています。
紙パックのパッケージにも持続可能性に配慮したFSC認証紙を使用するなどSDGs(持続可能な開発目標)を意識しています。
「午後の紅茶の対象は全世代」(同社)としているものの、「ストレートティー」は学校やレジャー施設で販売されることが多く、10代などZ世代の購入を強く意識していています。
「午後の紅茶」を手がけるキリンビバレッジの加藤麻里子・シニアブランドマネージャーはZ世代を中心とする若い世代を取り込むには「共感が重要」と日経新聞の取材で話しています。
6月には地震や豪雨災害から復興途上の被災地を支援するプロジェクトを始めめています。
第1弾は熊本県で、同県産の茶葉といちご「ゆうべに」を原料に用いた「午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー」を発売しました。
SNSを中心話題となり、約1カ月で販売予定数量の約6割を突破する予想以上の人気を集めました。
「いちごティーに関しても1本売れると3.9円が被災地への寄付につながる点がSNSを中心に話題になった」(同社)。
まとめ
日本のZ世代は「噓がなくリアルなモノを求める」傾向が強いといわれています。
以前このブログで「SDGs 日本人 認知度調査結果」においては、各世代と比べZ世代の関心は相対的に高い結果となっています。
Z世代に支持されなければ、今後企業の長期的な成長は見込めない為、エシカル投資にしても手軽さやコミュニティの共感が重要となってきます。
押しつけでもなく自然体に試行錯誤を繰り返しながら、Z世代の開拓を進めるマーケティングが求められると感じました。
コメント
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[…] 前回Z世代向け事業創出に関するブログでエシカル(倫理的)消費について紹介しました。 […]