介護転職 失敗しない職場選び【ケアマネ編】

在宅生活において居宅介護支援事業所のケアマネージャー(介護支援専門員)(※以下ケアマネ)の役割は大きいものです。

また、入居施設における介護計画書の作成においてもケアマネ資格は必須となっています。

今日はケアマネの資格取得と仕事内容について紹介致します。

目次

ケアマネの資格取得のメリット

  • キャリアアップが可能で仕事の幅が広がる
  • 給与がアップする
  • 勤務時間に融通がきく

キャリアアップが可能で仕事の幅が広がる

ケアマネジャーの資格を取得すれば、キャリアアップが目指せます。ケアマネジャーは地域包括支援センター(市によっては、公務員扱い)で必要とされている貴重な人材です。

資格取得後に経験を積めば、自分でケアマネジャー事務所を開業(開業には主任ケアマネが必要)することもできます。

くわえて、ケアマネジャーの資格取得が昇進を左右する可能性もあります。他の仕事をしている場合でも、ケアマネジャーの資格を取得することで仕事や職場の幅を広げることが可能です。

給与がアップする

お給料面も介護職と比較した場合高い傾向にあります。ケアマネの平均給与額をほかの介護資格と比べると、月額で無資格の介護職とは88,380円、初任者研修とは64,370円、実務者研修とは61,920円の差があります。

「賃金構造基本統計調査」の結果によると、令和元年のケアマネの月額給与は275,200円、年間賞与は628,000円で、平均年収にすると3,930,400円です。月額給与は6月分として支給された給与で、手当や超過労働給与額も含まれており、所得税、社会保険料などの控除前の額となっています。

平成30年度から平成26年度の介護支援専門員の平均給与、平均年収の年次推移は「介護従事者処遇状況等調査結果」によると次のとおりです。

平成26年平成27年平成28年平成29年平成30年
平均給与額331,140円341,060円342,440円345,820円350,320円
平均基本給額210,840円213,920円214,530円216,260円217,690円
平均年収3,973,680円4,092,720円4,109,280円4,149,840円4,203,840円

出典:厚生労働省 介護従事者処遇状況等調査より抜粋https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/151-2.html

勤務時間に融通がきく

ケアマネになると、勤務時間の融通がききやすくなります。たとえば、居宅介護支援事業所では昼間に業務が集中するため、夜勤がない職場が多いです。

居宅ケアマネは利用者の自宅へ月に1回訪問が義務付けられています。その訪問時間はある程度、自分の都合で決めることができます。そのため、仕事とプライベートの両立がしやすいのがメリットです。

老人ホームやグループホームでもケアプランはケアマネが必須要件なので優遇され、夜勤手当がなくてもお給料も高くなることがが多いです。

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ケアマネの受験資格とは?

ケアマネの試験を受験するためには、受験資格を満たす必要があります。具体的には、定められている業務について5年以上かつ900日以上の勤務実績が必要です。

受験資格を満たして試験に合格し、介護支援専門員実務研修を受講し、修了するとケアマネジャーの資格を取得できます。

ケアマネの合格率

第23回(2020年)ケアマネ試験の結果が公表されました。合格率は17.7%でした。

第22回と比べ、受験者数は増えましたが、合格率はダウンしています。
合格率、受験者数、合格者数の推移をまとめてみましたのでご参考にしてください。

ケアマネの受験資格に該当する職種

ケアマネの受験資格を得るには、一定の職種で5年以上かつ900日以上の勤務実績がなければなりません。一定の職種とは「国家資格」「生活相談員」「支援相談員」「相談支援専門員」「主任相談支援員」のいずれかです。

経験のない方が介護を始め、ケアマネを最短で取るには、3年目に介護福祉士(国家資格)を取得し、そこから5年(計8年かかります。)

大学で生活相談員の必須科目を3科目履修していて、たまたま欠員状況で生活相談員業務に就いたり、介護福祉士養成専門学校を卒業し、介護福祉士を取得しや方は入社5年の実務経験で受講出来ます。

それぞれの取得の流れを説明します。

国家資格等

ケアマネの受験資格を得るために必要な勤務実績として認められる職種としては、医療に関わる国家資格等が挙げられます。

具体的には、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士が該当します。

このうち、いずれかの資格を持っており、実績を5年以上かつ900日以上積んでいれば、ケアマネの試験が受験可能です。

大学や専門学校卒業時に上記資格取得者は最短5年でケアマネ試験を受講出来ます。

生活相談員

生活相談員として一定の業務について5年以上かつ900日以上の勤務経験をもつ場合も、ケアマネの受験資格が認められます。

上記3科目主事の生活相談員も最短5年で受講出来ます。但し通常は入職間もなくすぐに生活相談員になれる可能性はすくないです。

具体的には、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、介護予防特定施設入居者生活介護における生活相談員を指します。

支援相談員

支援相談員としての勤務経験も、ケアマネの受験資格になります。対象となるのは、介護老人保健施設における勤務実績が5年以上かつ900日以上ある場合です。

相談支援専門員

相談支援専門員として業務を行っていた場合も、5年以上かつ900日以上勤務していた実績があれば、ケアマネの受験資格として認められます。具体的には、計画相談支援、障がい児相談支援における相談支援専門員としての業務が対象です。

主任相談支援員

生活困窮者自立相談支援事業などにおいて、主任相談支援員として勤務した経験がある場合も、ケアマネジャーの受験資格を得られます。この場合、必要なのは5年以上かつ900日以上の勤務実績です。

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資格取得後の仕事内容

家族とサービス事業所を繋ぐ調整役

居宅介護支援事業所のケアは、在宅生活を送る利用者に対して介護保険サービスが受けられるように、サービスをどのような目的で利用するのかを記載した「ケアプラン(介護サービス計画)」の作成を行います。

作成されたケアプランはあくまで(案)なので、自身が望まない場合は変更可能です。

また、利用する介護保険サービス事業所と連絡を取り合い、ケアプランに記載された目標が達成できるように、調整を行うことを役割としています。

日頃から介護サービス事業所と連絡を取り合ってくれるため、本人や家族の困りごとや、体調が悪いなどというような情報を事業所へ共有してくれます。

こうした情報共有により、困りごとを解決するための取り組みや、体調不良時の迅速な対応などが期待できます。

このように、ケアマネは「縁の下の力持ち」として働き、在宅生活の要介護者やその家族を支援しています。

施設のケアマネは施設での生活全般の介護計画を作成し、同一事業所内の多職種(介護・看護・機能訓練・医師等)との連携を図ります。

在宅サービスとの大きな違いは、在宅の居宅ケアマネの場合他社のサービス事業所と連携することや複数のサービスを組み合わせる事です。

ケアマネジャーの業務内容

主な在宅における居宅ケアマネ業務内容は以下の通りです。

・利用者・家族から相談受付 居宅に利用者から直接連絡・病院の地域連携室からの依頼等

・相談に対して、課題の把握と解決策の提案 提案からプラン作成案作成準備

・解決策に対する、サービス事業所の情報提供 

・介護サービス計画書(ケアプラン)の立案

・サービスが適正に行われているか、サービス事業所との連絡調整

・定期的(月に1回)な自宅訪問による状況把握(モニタリングと言います)

このように、ケアマネは相談内容から困っていることを分析し、有効な解決策を提案していく仕事です。

介護サービスの利用が始まると、利用者にどのような変化が起きているのかサービス事業所と共有し、もしも改善が見られないときにはサービス内容の見直しを行っていきます。

毎月1回は利用者の自宅へ訪問(運営基準モニタリング行わないと減算です)し、利用者・家族の状況を把握します。

把握した上で定期的に相談に乗って行きます。介護サービスを利用して気になることや改善してほしいことが出てきたときには、気軽に相談して行きます。

また、ケアマネジャーの業務は、上記以外に「要介護認定に関する業務」「給付管理業務」などがあります。

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ケアマネジャーができること│

ケアマネジャーに支援をお願いするときに、契約書と重要事項説明書の取り交わしを必ず行います。契約における重要点を説明します。

(1)公正中立な立場である

契約書には、ケアマネジャーの立場についての記載があります。事業所によって違いがありますが、このような一文があります。

「利用者又はその家族の希望を踏まえつつ、公正中立にケアマネジメントを行います。」

大事になのは、利用者・家族の希望を尊重した、公正中立な立場ということです。これはサービス事業所の選定に関わらず、別の場面でも公正中立な立場で支援してくれます。

事業所寄りでも利用者寄りでもなく、中立な立場で支援してくれる人という立場です。

公正中立ではありますがケアマネ業務は多岐にわたり、複数のサービス事業所サービス内容を全て把握することは物理的に困難です。

ケアマネが所属する事業所のサービス事業所や過去に利用したサービス事業所の評判が良ければその事を伝えることもあります。

また、利用者の情報連携がスムーズな事業所を利用者が選ばえる事が結果利用者満足に繋がることにもなります。

以前より特定のサービス事業所の利用が80%を超すと、ケアマネのプラン料金を減算するペナルティがありましたが、今回の改訂から、更に紹介事業所の公表が義務付けられました。

適正に利用者の満足度を説明出来るのであれば、公表に関しては何ら問題はありません。

(2)モニタリング

モニタリングとは、利用者宅へ訪問・面談して、利用者や家族の状態を把握し、必要な支援が行われているのか相談する場面です。

法令上、月1回の利用者訪問が定められています。電話ではなく原則訪問となっています。所用時間は特に決められていませんが、一般的に約30~60分程度になります。

もしも遠方に家族が住んでいる場合は、利用者のみに会い、家族には電話で状況報告や相談内容を聞くことで対応するところが多いです。

ケアマネは月に39件(要支援者含む)までプランを持てます。(それ以上は1プラン当たりのプラン料金が大幅に削減されますが、持つことはできます。またこの度の改定で通常プラン数がICTやAIの活用で更に5件多く持てます)

多くの担当を持つことは効率よくモニタリングを行う必要があります。できるケアマネはモニタリング訪問時に次回の予定を計画します。

(3)施設入所の支援

ケアマネジャーは、基本的には自宅で介護が必要な方を支援するのですが、特養(特別養護老人ホーム)や有料老人ホームなどの施設入所を希望する場合にも支援をすることが契約書に記載されています。

施設入所について、ケアマネジャーに相談されるケースは多いです。日頃から地域の施設情報を入手する習慣をつけましょう。

(4)給付管理などの事務手続き

介護サービスを利用した個人負担以外の金額は保険者に請求します。これを給付管理といいます。この作業が正しく行われないとサービス事業所に、介護報酬が支払われません。正しく請求業務を行いましょう。

(5)要介護認定等の申請援助および代行

主に要介護認定などの申請手続きを代行します。代行内容は以下の内容です。市や包括支援センターから委託依頼されますが、手数料収益が低い事もあり、忙しい経験豊かなケアマネは委託を受けない事が多いです。

・介護保険の変更・更新の申請

・介護保険以外の市区町村実施しているサービス(配食サービス、訪問理美容など)の申請代行

注意が必要なのは、市区町村役場に出す書類すべてを代行を受けるわけではありません。

(6)入退院について

入院すると病院側から担当ケアマネジャーの名前を聞かれることがあります。入院するときには、病院名・病状・おおよその入院期間をケアマネジャーに共有して貰う事が多いです。

入隊居が多い場合は、ケアマネジャーは医療機関と連携して、退院後に必要な介護サービスを調整してくれます。

以上のように、ケアマネジャーは介護だけでなく医療機関との連携も行っていることを知っておくとよいでしょう。

ここまで契約書・重要事項説明書に記載されている、大事な6つのポイントを紹介しました。これだけでも相談して良いことが具体的に理解できたと思います。時間があるときに、今一度、契約書・重要事項説明書を読み返してみましょう。

事業所選び

ここまで、ケアマネ業務やできることなどを紹介してきました。実際の仕事内容は更に多岐に渡ります。

ケアマネに相談すべき内容でない内容も相談されることが多くあります。

初めてケアマネ業務に携わるのであれば経験豊かな先輩ケアマネが在籍している事業所がいいでしょう。

また、ケアマネ業務に直接関係がない事でも利用者をとりまく生活・相続・成年後見人など多くの相談を受けることがありますので、法人として各種の顧問が在籍している方が相談に乗れることが多くなります。

介護は終わりが見えません。だからこそ、頼れる相談役がいることで心の支えとなるはずです。

仕事をする上で採用先居宅を探す場合もやはり、ホームページ内容や個人の日記等の記録が手ががりとなります。

また、昨年からのコロナ感染対策で一部のケアマネが出席する会議もオンラインで実施されています。その様な状況にも柔軟に対応できる事業所の選択のひとつです。

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