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今回は2021年改定のケアマネ新たなケアプラン検証について紹介します。
10月から始まる新たなケアプランの検証の仕組みについて、28日に具体的な運用の枠組みが示されました。
2021年改定 ケアマネ関連記事
新たなケアプラン検証
厚生労働省は22日、来月から導入する新しいケアプラン検証の制度について、詳しい運用の方法や留意点などを明らかにする通知を発出しました。
自治体などによるケアプランの点検・検証は、
- 訪問介護サービスの利用適正化の実現
- サービス付き高齢者け住宅等の居住者の囲い込み防止
の2つの観点から、一定の基準を超えた居宅介護事業所を抽出して行われます。
訪問介護の利用が多いケアプランの点検・検証については、対象となる事業所の範囲として
- 区分支給限度基準額の利用割合が7割以上であるこ
- その利用サービスの6割以上が「訪問介護サービス」(より利用者の意向や状態像に合った訪問介護を提供する仕組みの確立とケアマネジャーや市町村の事務負担の軽減)
であることが周知されました。
サ高住入居者等へのケアプランの点検については、
- 区分支給限度基準額の利用割合
- 利用サービス種類とその利用割合
の枠組みにおいて市区町村が基準を設定し、ケアプランを抽出することとされています。
市町村が設定した要件に該当する事業所の抽出は、全ての事業所を対象としたケアプラン検証の制度と同様に、国保連の新たなシステムを活用して自動的に行われます。
ケアプランの見直しが必要と指摘された事業所は、点検結果を踏まえて、同様・類似のケアプランも含めて内容を再検討する必要があります。
全ての事業所を対象としたケアプラン検証と併設事業所を対象としたケアプラン点検の特徴は以下の通りです。
ケアプランの抽出、検証・点検が決まった経緯
膨らむ社会保障費の中で介護保険財政における在宅サービス費の要は居宅によるケアプランです。
2021年度介護報酬改定で、「区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占める居宅サービス計画を作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入する」仕組みの導入が決定していました。
2021年度介護報酬改定における改定事項について厚労省の説明資料 一部抜粋
この仕組みが導入された背景は、2018年度介護報酬改定改定において、介護保険サービス利用者の自立支援や、サービス付き高齢者向け住宅事業者などによる過度な利用者の”囲い込み”の是正を促す目的からスタートしました。
内容として、一定以上の回数(全国平均利用回数+2標準偏差)以上の回数の訪問介護(生活援助中心)を位置付けるケアプランを作成したケアマネジャーは市町村への届出が義務付けられていました。
しかしこのルールが導入されたことにより、「生活援助が身体介護に振り替えられているのでは」又は「 要介護度別に一律の基準(回数)を当てはめることが適切か」などといった指摘がおこります。
今回の運用が取り入れられることになりました。9月までは本運用の周知期間とされており、10月1日から居宅介護支援事業所の運営に関するルールを定める改正省令が適用されます。
厚労省の試算によると、「区分支給限度基準額の利用割合が7割以上」かつ「利用サービスのうちの6割以上」に当てはまるのは、全国の居宅支援事業所のうち3%ほどとなる見込みです。
ま と め
コロナ禍で医療・介護の経営悪化が懸念され、マイナス報酬改定は見送られましたが、社会保障費の増大を考えれば、次回医療・介護同時改定の2024年のマイナス改定対策は必須です。
自治体における介護保険財政は、施設整備計計画等人口分布・要介護率等の統計を基に計画されています。
施設入所の場合、介護度に応じて報酬単価が決められ、ほぼ毎日利用を前提に報酬財源や施設整備における補助金等決められています。
よく言われる24時間介護サービスは自治体の介護保険財政を圧迫する恐れがあるため、計画的に施設整備されているとも言えます。
要は財政ありきで施設サービスごとに入居数を決めており、そこに入居できない高齢者で一人で生活できない方がサービス付き高齢者住宅等に入居している形です。
65歳以上の人がいる世帯のうち、一人暮らし世帯は制度創設時に約303万人でした。
2015年に約593万人に増加。
さらに、2025年には約750万人、2040年には約896万人に増えると見られています。
その場合、食事や洗濯、外出支援など生活支援を中心に、一人暮らし世帯への対応が課題になり、施設に入居できない方がサービス付き高齢者住宅等を利用することは必然です。
以下は要介護度別のサービス利用の状況です。
介護度別上限限度額に占める平均利用率、限度額を超えている人の割合です。
軽度な人はサービスを余り使っておらず、重度な人ほどサービスを多く利用している様子が分かります。
このことから特養等の利用者の条件が要介護3以上は頷けます。
ただし軽度者の利用においても一人暮らしと同居では利用率は変わってきます。
一部必要もないヘルパーサービスを組織的に利用しているサービス付き高齢者住宅の運営者や居宅とヘルパーステーションのみ運営している事業者もあります。
そもそもの課題として、「現行の限度額の水準自体がどこまで実態を反映しているのか」という点と、「限度額と要介護認定区分のリンク」等について、議論する必要もあると思います。
限度額で定められている上限に関して、当時の厚生省幹部は国会答弁で「要介護度に応じまして標準的に利用されるサービスの種類とか量を設定いたしまして、これを踏まえて支給限度額を決めている」と説明しています。
課題をあぶりだして適正に社会保障費が支給されるようにころからも多くの視点で議論を重ねる必要があると思います。
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