十二番目の天使/オグ・マンディーノ/求竜堂
お勧め本紹介では今までに読んだ本の中で自分なりのお気に入りの本を紹介したり、人に紹介してもらって今後読みたいと思っている本なども紹介していきます。
今回紹介する本は「世界中で最も多くの読者をもつ自己啓発書作家」と呼ばれたベストセラー作家オグ・マンディーノの名作です。
著者は1968年に『地上最強の商人』を執筆し、作家としてデビューし、以後、『この世で一番の奇跡』など続々とベストセラーを発表し、著書は世界22か国で3600万部を売り上げています。
オグ・マンディーノの小説は内容が分かりやすく読書習慣のない方でも読みすすめるハードルは高くないと思います。
物語のあらすじを少し紹介しますが、物語の中で繰り広げれる主人公と少年との会話やひたむきさが伝わるシーンは自然と感情移入できる作品です。
悲しい出来ごとに遭遇した時の主人公感情の移りかわりも丁寧に描かれていて、同じ様な体験がある方には共感出来ることが多くあります。
あらすじ
仕事で成功を収めた主人公ジョンは、長年離れていた故郷で暮らそうと思い妻子を連れて帰郷します。
町の人々にも祝福され、ジョンは幸福の絶頂期でしたが2週間後、妻と息子が交通事故で即死してしまいます。
幸福から一転したジョンは自殺を考えます。拳銃に弾を込め、こめかみにあて、いざ引き金を引こうとしたとき、扉から現れたのは親友でした。
絶望に染まったジョンに対し、彼は「少年野球チームの監督をしてほしい」と持ち掛けます。
最初は乗り気でなかったジョンは、少年たちの野球する姿を目の当たりにして、かつての自分の少年時代を思い出すのです。
野球チームにティモシーという少年がいてこの物語のもう一人の主人公です。
ティモシーは9人の出場選手ではありませんてしたが、誰よりも熱心に野球に取り組み、大声で応援しました。
「毎日、毎日、あらゆる面で、私はどんどん良くなっている!」「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめるな!」
この二つの言葉は、物語の中で十二番目の天使であるティモシーが毎場面で口癖のように繰り返す言葉です。
彼は主人公の亡き息子リックにどことなく似ていて、チームでは一番体が小さくプレイも満足にできないものの一番の頑張り屋です。
練習でどんなに大きなミスをおかしてしまっても、決してあきらめずに練習に打ち込み「毎日、毎日、あらゆる面で、私はどんどん良くなっている!」と自分に言い聞かせる直向きと強い精神力があります。
また、ティモシーという少年には重大な秘密があり、その秘密は当人の心を深い闇に染めることが容易なものです。
にもかかわらず、ティモシーのポジティブな言動は、本人だけではなくジョンの心までにも光を指していくことになります。
まとめ
オグ・マンディーノは「世界中で最も多くの読者をもつ自己啓発書作家」と呼ばれたていて、小説で語られる言葉のひとつひとつが「心の成長」に繋がると感じます。
自己啓発(じこけいはつ)とは、本人の意志で自分自身(=自己)の能力を開発したり、精神的な成長を目指したりすることをを意味します。
本を読むこと(自らの意志)でその内容や言葉から気づきや学びがあり、心が成長し、行動変容が起これば、本ほどコスパのよい自己啓発はないと思います。
最近は無料ユーチューブ等でも学べる機会も多く映像の情報量に圧倒されることもあります。
それでも小説を読むことで感情移入ができ、涙出来るのはそれまでの体験とおもいやりの心の醸成だと思います。
この小説の「毎日、毎日、あらゆる面で、私はどんどん良くなっている!」「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめるな!」という台詞は一見単調に見えますが、実践できている人はなかなか少ないと思います。
ただ口にするだけでも世界の見え方が変わり、そう思えば言葉がどれだけ強力な自己暗示で成長につながる方法であることが理解できるでしょう。
本書は分かりやす内容で困難に見える目標を立て、諦めずに頑張る姿勢と少年が自分に言い聞かせる言葉は、読む人の心を捉え、自らも発奮させる力を与えてくれます。
そして、少年ティモシーの頑張る姿勢で周囲が変化していきます。他人の目は気にして生きている人が多く「嫌われる勇気」にも繋がります。
自分の課題と他人の課題を分けることで幸せになれるということです。
初めはティモシーをお荷物だと思っていた周りの子供たちも、その評価に目もくれず自らの課題に直向きに取り組むティモシーの姿勢に応援と変わっていきます。
是非読書習慣の少ない子供たちにも読んで欲しい一冊です。
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