介護 2021年制度改定 LIFEについて

介護保険制度は3年に1度改定されます。2021年4月からの改定は社会保障費が国家財政を圧迫している議論がされている中、財務省と厚生労働省の予算攻防で社会保障費が決定します。

本来であれば2021年の改定は大方マイナス改定の論調でしたが、新型コロナ対策で多くの介護事業所の経営状況が悪化したため、ほぼ横ばい(暫定感染対策分プラス)で決定しました。

今回は今回の改定の目玉である「科学的介護情報システム(LIFE)」について紹介します。

目次

科学的介護情報システム(LIFE)

今回の改定で前回の改定から運用されていたし「通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム」(VISIT)と「高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム」(CHASE)について、令和3年4月1日から「科学的介護情報システム」(LIFE)として一体的に運用されることになりました。

また、LIFEを用いた厚生労働省へのデータ提出とフィードバックを活用したPDCAサイクルによるケアの質の向上を推進するため、令和3年度介護報酬改定において、LIFEの活用を算定要件に含む加算が新設されました。

加算とは、基本報酬にプラスして、一定条件をクリアしてサービスを提供した時に算定されます。国の政策誘導の側面が大きく、介護予算を効果的に活用するべく方針が立てられます。

高齢化率の上昇に合わせ予算が上昇する中データに基づいた介護サービスを提供することで介護度の悪化を抑制する試みです。

全国で60000社ある介護事業所を大多数が中小零細企業でITやAI、DX等の活用に関して他業界に比べて遅れをとっている状況です。

国も介護現場の生産性を向上する為にガイドラインを出すことや補助金等多方面で経営環境の改善をサポートしています。

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評価の標準化のしくみ(LIFE)

具体的に(LIFE)の中身について紹介します。今回の大きな改定は介護サービスの医療系サービスだけでなく、ほぼ全サービスに導入したことです。

その評価の基本データにリハビリテーション・機能訓練、口腔ケア、栄養改善の自立支援に資する取組が明確にクローズアップされ、LIFEへのデータ提出と活用に盛り込まれました。

上記の内容の評価が介護度悪化を防ぐ要因である科学的根拠データを蓄積してきた為、一斉に舵を切った形になっとと思われます。

ただし中小零細企業が大多数でITリテラシーが高くないの業界の中、いかに明瞭・簡素化を行い、制度設計していくかが鍵であり前回は一部の医療系サービスのみの導入となった経緯があります。

今回の制度はLIFEにデータを提供することを評価するものではありません。

LIFEデータベースから提供されるフィードバックデータを活用して、ケアプランやリハビリテーション計画などを見直してケアの質の向上に繋げるPDCAサイクルの活用プロセスを評価する加算である。

わかりやすく言えばデータを提供した事業所データから、全国の効果事例を共有し、その事例を踏まえ自施設のケアに活かすことを評価する加算です。

LIFEデータベース関連の加算単位は、決して高いものではありません。

多くの場合、20単位/月から40単位/月程度のため、事務負担や導入コストを考えると点で考えると収支は合わないと考えられます。

ただし前回の導入時のデータ処理からは手入力の負担は大きく改善されています。

記録ソフトを導入することで、日常業務で蓄積された情報を活用して、 データ提出に必要なCSVデータとして抽出して提供する仕組みとなりました。

あとは、LIFEから提供されるフィードバックデータをいかに有効に活用するかが重要な課題となってきます。少し先ではそのデータから導かれる介護計画はAIが主流となると思われます。

今回の介護報酬改定で、リハビリテーション・機能訓練、口腔ケア、栄養改善に関連する新設の加算のすべてにLIFEへの提出と活用が算定要件に組み込まれました。

LIFEというエビデンスが確立することのメリットも大きいと予想できます。

LIFEが軌道に乗ると、比較対象が出来きます。それによって介護サービスの評価の標準化が進む事が期待できます。

利用者、家族も優良なサービスを提供する施設、サービスを提供する事業所を選ぶことができますし、標準に届かないサービスを提供する施設、事業所は淘汰されていく可能性もあります。


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まとめ

2040年の未来予測の著者成毛眞さんは、社会保障費が膨らむ日本において高齢化率の増加にあわせた就業人口が減っていく中、対人援助サービス業の本格的ロボティクスへのテクノロジー開発は必ず必要となってくると発信されています。

今回の科学的介護情報システム(LIFE)の導入を皮切りに各事業所はITリテラシーを高め、テクノロジーの進化に対応できなければ淘汰されていく可能性が高まります。

利用者視点でサービス事業所を選ぶ際はその事業所が科学的介護情報システム(LIFE)を積極的に取り入れているかどうかが今後の選択肢の1つになる可能性も出てきた様にも思われます。

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