SDGs 再生エネルギーの最前線技術

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

今回はカーボンニュートラルに向けた再生エネルギーの最前線技術について紹介します。

SDGsのゴールとカーボンニュートラル

SDGsの17の目標のうち、直接カーボンニュートラルと関わりがあるものが、目標07「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」目標13「気候変動に具体的な対策を」です。

目次

再生エネルギーの最前線技術

再生エネルギーと言えば太陽光発電・風力・水力などを想い浮かべます。

再生エネを主力電源化に向けた転換に関する課題については、再生エネルギーの不安定さや電気を貯められない理由などこのブログでも紹介しています。

但し化石燃料を削減していくにはなくてはならない技術ですし、先日のIPCCの報告書では2010~19年の10年間で低炭素技術のコストが劇的に下がったとの試算を示しています。

太陽光は85%、風力は55%、EVなどに使うリチウムイオン電池は85%安くなっています。

このことからも更らに革新的な方法で自然エネルギーを活用するイノベーションが必要です。

NEWS PICSの記事」で紹介されたイノベーション技術を紹介します。

ここで紹介されたイノベーション(技術革新)の多くは、既存の技術に付随するコストや維持管理の問題を克服することを狙いとしています。

風力

風力発電は温室効果ガスを発生させない地球に優しい発電方法として、ヨーロッパを始め多くの国々が導入数を増やしています。

風力発電は太陽光発電とは違い、昼夜問わず発電できるのメリットがあります。

しかし、現在主流の陸上設置型風力発電では、ブレード(回転羽根)を回せるだけの風が確保できる場所が限定的であり、風力発電所や風力発電装置稼動に伴う騒音被害があります。

現在注目されているのが、洋上風力発電です。

洋上風力発電とは、海洋上に風力発電の設備を作り、海の上に設置された風車を風の力によって回転させて発電することを指す。

洋上風力発電にはメリットが2つあります。

  • 陸上に比べてより大きな風力を持続的に得られるため、安定的に大きな電力供給が可能になる点です。
  • 洋上であるため、騒音や万が一の際の人的被害リスクが低く、設置場所の確保がしやすい点である。

積層型タービン

Wind Catching Systemsニュースリリースより

いめーじとしてウインド・キャッチング・システムズ社の装置はエッフェル塔とほぼ同じ高さです。

ノルウェーのウインド・キャッチング・システムズ社は、126基の小型タービンを積み重ねて配置した高さ約1000フィート(約305メートル)の構造物を開発している。

Wind Catching Systemsは、浮体式洋上風力発電技術を開発しています。

同社は、主要なエンジニアリング請負業者としてAibelと協力し、エネルギー生産に関してエネルギー技術研究所と協力しています。

・Windcatching Systemsには、グリッドパリティで手頃な価格で持続可能な洋上風力エネルギーを世界に供給するという野心があります。

・Windcatching Systemsは、洋上風力から利用できる膨大なエネルギー量を利用することで、気候変動との戦いに役立つと考えています。

・材料の長寿命とリサイクル性のために設計されています

・海域の使用を最小限に抑え、海洋生物への影響を減らすように設計されています

ウインド・キャッチング・システムズ

この「ウインドキャッチング(受風)ユニット」は、沖合約50マイル(約80キロメートル)の海底に固定された浮体プラットフォーム上に設置される予定です。

360度回転してあらゆる方向から風を捉え、生成した電力を海底送電線で陸上に送電する予定です。

同社の最高経営責任者(CEO)で共同創設者のオーレ・ヘッグハイム氏によると、一般的な洋上風力発電ファームの5分の1のスペースで、最大5倍のエネルギーを生産できる見込みです。

たこの力

スカイセールズのたこ。(写真:Axel Heimken/picture alliance via Getty Images)

ドイツの発電会社スカイセールズグループは、地上から25マイル上空まで上がり、エネルギーを生成するたこを開発しています。

たこが上昇する際、巻き上げ装置と発電機につながれたロープが放たれ、その力を利用して発電が行われる

8の字に飛ばすことで、たこの張力を最大化し、それによって発電量を最大化できます。

「高高度風力は地球上で最大の未利用エネルギー資源だ」と同社の創業者でマネジングディレクターのシュテファン・レイジ氏は述べています。

最大のたこは、大きさが1940平方フィート(約180平方メートル)近くあり、約200キロワットの電力を生成できるため、人里離れた島や村のディーゼル発電機に取って代わることができます。

同社は、インド洋の島国モーリシャスなどに数個のたこを試験的に設置しており、いずれ電力網に接続することを計画している。

来年からは商業展開に移行する予定で、いずれはたこのサイズや飛行高度を引き上げることを目指しています。

潮流エネルギー

オービタル・マリン・パワーの「オービタルO2」(写真:ZUMA Press/アフロ)

タービンを海中に設置すれば、潮の自然な満ち引きによる運動エネルギーを利用して発電することができます。

しかし、海底にタービンを設置するのは、建設や維持管理に多額のコストがかかります。

そこで、スコットランドのオービタル・マリン・パワー社が開発したのが、浮体式潮流発電機「オービタルO2」です。

この長さ236フィートのタービンは、スコットランドのオークニー諸島近くの沖合に固定され、海底ケーブルで現地の電力網に接続されています。

英国の約2000世帯の電力を賄うことが可能で、年間2400トン以上の二酸化炭素(CO2)を相殺できます。

波エネルギー

スウェーデンを拠点とするエコ・ウェーブ・パワー社は、海岸から得られる水力を利用することに取り組んでいます。

る同社が開発しているのは、桟橋や防波堤、既存の海洋構造物に取り付ける長さ10フィートの浮体装置です。

この装置は、波が上昇したり下降したりする動きを利用して発電します。

発電に必要な水深は2フィートに満たないため「基本的にどこにでも設置できる」と同社のCEOで共同創設者のインナ・ブレイバーマン氏は話しています。

波が荒すぎる場合は、水面よりも高い位置に上向きに固定できます。

同社は2016年に英領ジブラルタルで電力網に接続された100キロワットの施設を開設しました。

その施設は今後3カ月以内に改修され、ロサンゼルスに移設され、今年半ばには、イスラエルのヤッファにある別の発電所を現地の電力網に接続する見通しです。

地熱エネルギー

カリフォルニアの地熱発電施設(写真:ロイター/アフロ)

地球が形成されたときから残っている熱や、地球の中心核で崩壊した放射性物質が放つ熱が地殻に浸透し、水蒸気や熱水ができます。

一部の地熱発電所は、この蒸気や熱水(セ氏約150~370度)を地表に吸い上げ、直熱として利用しています。

また、その熱を電気に変換している発電所もある。その熱水資源は冷却された後、再び地中に注入される。

米国では現在、60以上の地熱発電所が稼働し、100万世帯以上を賄える4ギガワット近い電力を供給している。

しかし、これらの発電所は、カリフォルニア州やネバダ州などの間欠泉や火山などの地熱地帯がある地域や、地殻プレートがずれて地球の熱が地殻を通過しやすくなっている場所に集中しています。

その解決策の一つとして、発電に必要な熱水資源が自然に湧き出ない「高温で乾燥した岩盤」に、地表から高圧の水を注入することが進めれています。

それにより、岩盤に裂け目ができ、加熱された注入水を回収して発電に利用できます。

この方法は「強化型地熱システム」と呼ばれ、米国で昨年可決された超党派のインフラ法案では、このようなイノベーションに8400万ドルが割り当てられています。

火山国家の日本において地熱発電の可能性は注目されていた時期もありました。

その地域には有名な温泉街があり、源泉への影響を危惧する団体からの反対で予算が削らた経緯もあります。

観光立国を目指す日本においてバランスを取りながらエネルギー問題にも踏み込むリーダーシップが必要です。

宇宙太陽光

マンキンズ氏によるイメージ図(credit: John Mankins)

太陽エネルギーは、地上からは天候や季節の変化、夜間という理由によって断続的にしか利用できない課題があります。

この問題を解決策として一部の科学者やエンジニアは、向こう10年以内に太陽エネルギーはもっと近いところから安定して得られるようになる可能性を示しています。

軌道上の衛星からマイクロ波やレーザー光線として、電力網に接続された地上の受信ステーションに無線で送られる可能性を示しています。

太陽が実質99.95%の時間輝いている宇宙に、非常に大きなプラットフォームを配置し、そこで日光を取り込み、太陽が平均で約15%の時間しか照らない地上の市場に送るというのが基本的な仕組みです。

元米航空宇宙局(NASA)の科学者ジョン・マンキンズ氏はマンキンズ・スペース・テクノロジーズの社長を務め、マイクロ波ビームを使用する、幅1マイルの太陽光発電衛星の試作品の開発に取り組んでいます。

エネルギーを、マイクロ波を使用して無線で長距離にわたって伝送することは、既にテストされています。

米海軍調査研究所は昨年、1.6キロワットの電力を0.6マイル伝送に成功しています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)のエンジニアは、同量の電力をフットボールコートの長さの距離で伝送している。

この実験的な技術に取り組んでいるグループは他にもある。カリフォルニア工科大学は2022年末までに、宇宙の太陽エネルギーをマイクロ波ビームを介して伝送する試作機をテストする予定です。

まとめ

1859年にアメリカのペンシルバニア州で、ドレーク(E.L. Drake)が油井機械堀りを行い、岩盤下深度約70フィート(21m)のところで、約30バレル/日の出油に成功したのが最初です。

150年前人類がパンドラの箱を開ける事であらゆる産業は劇的に発展しています。

フロンガスや光化学スモッグ・酸性雨など課題が改善されてきた事実も多くあります。

石油発掘から150年、産業革命・エネルギーの中心であった化石燃料はウクライナ進行が続く中においても国家戦略の最重要テーマです。

150年の積みあがれた地球温暖化を止めるために更なる技術革新が必要ですが、日々進歩している技術を知ることで期待もできるように感じます。

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