SDGs ESG経営事例 ユーグレナ 国産のバイオジェット燃料

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

今回はSDGsの紹介で何度か紹介しましたESG経営事例について「ユーグレナ」について紹介します。

「国産のバイオジェット燃料を作りたい」。その目標を10年以上かけて実現した企業がユーグレナです。

そして2022年、開発した燃料を積んだ航空機が、大空へと飛び立ちました。

素となっているのは、大きさ1mmにも満たない「微生物」です。

バイオ燃料とは

バイオ燃料と言われる燃料にどのような物があるのか、「社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン」の記事を基に紹介します。

バイオ燃料とは、バイオマス(生物資源)を原料とする燃料のことを指します。

簡単に言うと、動物や植物を原料として使っている燃料のことです。カーボンニュートラル (ライフサイクル全体で見たときに、二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態になる)で、環境にやさしい燃料として注目されています。

資源エネルギー庁は、以下のように定義している。

動植物などから生まれた生物資源の総称で、これらの資源からつくる燃料をバイオマス燃料と呼びます。

バイオ燃料の種類

主に以下の3種類が広く使われている。

1. バイオエタノール

サトウキビなどの作物を発酵、蒸留させて作られるエタノールです。

ガソリンと混ぜて、車や飛行機などの移動手段の燃料として使われることが多い特徴があります。

バイオエタノールの利点と欠点

バイオエタノールの利点と欠点についてヤコノール研究所の記事を参考に紹介します。

利 点

バイオエタノールは、植物を原料としているため再生が可能です。これが、再生が極めて困難な石油や天然ガスなどの従来の燃料、およびこれらを原料とする合成エタノールと大きく異なる利点です。

バイオエタノールは、そのまま利用したり、ガソリンと混ぜたりすることで内燃機関の燃料として活用することができます。ガソリン用のエンジンでも、構造上はエタノールを燃料としても問題はないとされています。ただし、現在のガソリンエンジンはアルミニウム部品が多数利用されており、これがエタノールによって腐食するという問題が残されています。

欠 点

食料との競合です。2007年ごろにトウモロコシや砂糖の価格が高騰し、この原因がバイオエタノールにあるという議論が生じました。もちろんこの価格上昇が、食物生産とのトレードオフだけで説明できるわけではありませんが、バイオエタノールの原料作物への転作によって、大豆などの供給が減少して価格が高騰する可能性も示唆されています。

バイオエタノールの原料を生産可能な地域が限られています。沖縄県では、サトウキビによる砂糖製造工程で出る廃棄物を原料とし、県内での消費を実施しています。地域限定作物の場合、生産されたバイオエタノールの運搬に問題が生じます。

2. バイオディーゼル

biodiesel


菜種油などから、軽油車などのディーゼルエンジン用の燃料として製造されています。

日本では、廃食用油を回収しバイオディーゼルとして再生利用する住民参加型の取り組みが全国各地で展開されています。

また、フランスやドイツをはじめとするEU加盟国では、2000年代からバイオディーゼルの普及に、国をあげて積極的に取り組んでいます。

3. バイオガス

biogas


家畜の排泄物、生ごみなどの有機性廃棄物を発酵させて生じるガスから作られます。

主な成分はメタンで、一般的な使い道は、発電や熱供給などです。

中国やインドで古くから使われ、欧州ではドイツでの生産量が多いのが特徴です。

ユーグレナ「ミドリムシ」で国産のバイオジェット燃料 

三重県多気町にある巨大なプールの中には緑色の液体が入っています。

緑色の正体は、地球上の数々の問題を解決すると期待されている生き物「ミドリムシ」。学名を「ユーグレナ」といい、学名をそのまま企業名になったのが、株式会社ユーグレナです。

株式会社ユーグレナについては東大卒のベンチャー企業として、よく耳にする機会も触れましたが私がしったのは創業間もない頃、船井総研の創業者船井幸雄さんが「本物商品」として紹介されていた事でした。

当時はヘルスケア商品としてのユーグレナ知っていた程度でした。

名前にムシと付いてはいますが、実は藻の一種で、大きさが0.1mm以下の微生物です。

水の中を泳ぎ回るミドリムシは、動物としての要素を持ちながら、二酸化炭素を吸収して光合成をおこなう植物の一面も持っています。

そして、もう一つの特徴が…

「ユーグレナはだいたい体の20~30%程度は油になりますので、他の植物に比べて非常に面積当たりの油の生産量が高いことが知られています」と語るのが藻類エネルギー研究所主任研究員 稲葉遊さんです。

現在ユーグレナでは、ミドリムシから抽出された油を、使用済みの食用油と混合し「サステオ」と呼ばれるバイオ燃料を作っています。

以下は株式会社ユーグレナのサステオに関する紹介サイトの抜粋引用です。

化石燃料に代わる、サステナブルな社会を実現するための燃料、それが『サステオ』です。

2020年に次世代バイオディーゼル燃料を、2021年はバイオジェット燃料を供給開始し、車両・船舶・航空機で利用が拡大しています。

『サステオ』=サステナブルな燃料=バイオ燃料

一般的なまちのガソリンスタンドで購入できる燃料は、地中から掘り出された石油が原料となっています。

燃やした時に排出される二酸化炭素は、もともと地中深く眠っていた炭素が元になっていて、大気中の二酸化炭素は一方的に増えてしまいます。

一方、バイオ燃料は、植物や動物など、地上にある生物資源(バイオマス原料)から製造されます。

生物資源は、成長過程や生態系の中で光合成により、大気中の二酸化炭素をあらかじめ吸収しています。

そのため、バイオ燃料を燃やした時に排出される二酸化炭素は、あらかじめ大気中から取り込んだものを、元に戻しているだけ。
大気中の二酸化炭素量を今以上増やさないというコンセプトで開発が進むサステナブルな燃料、それがバイオ燃料なのです。

バイオ燃料サステオは何からできている?

サステオの原料は、使用済みの食用油と微細藻類ユーグレナから抽出されたユーグレナ油脂です。

その割合は、使用済みの食用油が90%以上と大部分を占めており、ユーグレナ油脂の割合は10%以下です。

使用済み食用油は現在世界中で使用されている原料である一方、有限な資源のため、将来的にバイオ燃料の需要が増えた際、足りなくなってしまう日がくると予測されています。

ユーグレナ社は、食料と競合せず、また、必要量に合わせて供給することが出来る原料として、ユーグレナ油脂培養の技術開発にも注力しています。

日本のCO2排出量は、2020年度の算出で年間約10億4400万トンとされ、そのうちの2割が、車や飛行機、船などの乗り物から排出されています。

最近では、CO2の排出量を飛躍的に減らすため、カーボンニュートラルを実現できるバイオ燃料に注目が集まっています

2020年以降、一般の軽油にミドリムシの油を含むバイオ燃料「サステオ」を混ぜたバイオディーゼル燃料を使って、船などを動かす実証実験が続けられてきました。

価格を抑えてバイオ燃料の実用化を目指す

バイオ燃料も課題のひとつはやはり価格にあります。

現在販売されている軽油が1リットル150円程度なのに対して、いわゆる軽油に「サステオ」を20%混ぜたもので「サステオ」は1リットル300円と、2倍の価格となっています。

バイオ燃料が300円/Lで、ヨーロッパもアメリカでも使用されていますが、価格ありきよりというは、安定供給や化石燃料による温暖化に意識したものです。

それでも燃料物価の高騰で経済に大きな影響を与えていることからも価格を抑えていく努力は必要な事です。

ユーグレナでは、3年後に今の2000倍の量のバイオ燃料を製造できる商業プラントを計画中です。

今後、価格を抑えてバイオ燃料の実用化を目指すということです。

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