紹介本 『蜜蜂と遠雷』

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蜜蜂と遠雷 恩田 陸

『蜜蜂と遠雷』は、このブログで紹介した『読書という荒野』で幻冬舎の社長見城 徹氏がお勧めしていた本だったので、購入し読む事にしました。

音楽に詳しくない私がピアノコンクールを題材にした小説を楽しむことが出来るかなと正直思って読み始めましたが上下巻を一気に読んでしまうほど描写や登場人物、ストーリが面白い作品でした。

後から知ったのですが、『蜜蜂と遠雷』は、直木三十五賞と本屋大賞のW受賞した作品というのも頷けます。

あらすじ

この物語は、音楽界の覇者となる芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に繰り広げられる物語です。

登場人物たちは、各自の過去や苦悩と向き合いながら、競争という名の闘いに挑んでいます。

物語は、少年風間塵、ピアニスト栄伝亜夜、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、高島明石といった主要キャラクターたちの視点から展開されます。

風間塵は自宅に楽器を持たず、栄伝亜夜は母の死後に弾けなくなり、マサルは音楽の才能を秘めているものの、他者に認められずにいました。

そして、高島明石は最後のチャンスとしてコンクールに挑みます。

この物語は、音楽の魅力や奥深さを描きながら、登場人物たちの成長や人間ドラマを浮かび上がらせます。

著者の恩田陸氏は、クラシック音楽に詳しくない方でも音楽の意味や演奏者の思いが伝わってくるような描写をしており、文庫本であるにも関わらず八百ページ以上の長さもあっという間に読み進められます。

風間塵は、 世界五都市で行われるピアノのオーディション。 パリのオーディションに参加します。

『ジン カザマ』の経歴は学歴もコンクール歴もなく、ただ『ユウジ・フォン=ホフマンに五歳から師事』とだけ書かれていました。

ホフマンは今年の二月に亡くなった伝説的音楽家で、彼は生前、爆弾をセットしておいたよと言い残していました。

そしてジンが演奏すると、その爆弾が彼であることを確信します。

ホフマンの遺した推薦状には、塵は天からのギフトであること、そして中には彼のことを拒絶する者もいるだろうと書かれていました。

「蜜蜂」と「遠雷」のタイトルは、物語の中で重要な象徴として使われています。

風間塵は父親の養蜂を手伝い世界を旅しています。

風間塵は蜜蜂の羽音を祝福の音とし、自身の存在を蜜蜂に重ね合わせます。

そして「遠雷」は、塵の先生であるユウジ・フォンの教えを思い起こさせるものです。

芳ヶ江国際ピアノコンクールは第一次、二次予選で進められ、本選ではリハーサルを経て、オーケストラの中に入っての伴奏を求められます。

感 想

このあたりの描写はピアノコンクールを知らない私にとっても感動を得られるもので、 音楽、ならぬ小説は素晴らしいと感じました。

この物語は、蜜蜂の羽音と遠雷のように、個々の登場人物の物語が交錯しながら進んでいきます。

それぞれが自身の過去や心の闇を抱えながら、音楽という共通の言葉で繋がり、成長していく姿が描かれています。

『蜜蜂と遠雷』は音楽をテーマにした感動的な物語ですが、それだけでなく、人間の葛藤や成長、友情や家族の絆といった普遍的なテーマも描かれています。

音楽を通じて、登場人物たちは自分自身と向き合い、成長し、夢に挑戦します。

恩田陸氏の筆が織りなす文体は独特でありながら、読者を魅了し、ストーリーに引き込む力があります。

本書はその文体の美しさと緻密な描写によって、読む者の心を揺さぶります。

また、クラシック音楽やピアノに詳しくない方でも楽しめるように、音楽の意味や魅力が丁寧に解説されています。

音楽の響きや感情が文章から伝わり、読者はまるで音楽の世界に身を置いているような感覚に陥ります。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • おはようございます。

    自分も『蜜蜂と遠雷』読みましたよ。
    審査員ひとりひとりの想いや人生が繊細に描かれているところが良かったです。
    そのうえ音楽をこのように表現できるなんて本当にすごいと思いましたよ。

    確かに音楽の響きや感情が文章から伝わってきますね。

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