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今回は令和3年報酬改定における介護職の処遇調査について紹介します。
処遇改善加算の効果調査
厚生労働省は処遇改善加算の効果が表れているか、賃金がどれくらい上がっているかを定期的に調査しています。
今年度の介護報酬のプラス改定が現場に及ぼした影響について調査する為の「社会保障審議会介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会(第 32 回)」を6月28に開催しました。
調査は昨年度に続き2年連続行われます。
調査対照は全国の特養、老健、介護付きホーム、グループホーム、小規模多機能、訪問介護、通所介護などです。
昨年の調査実態
昨年2月のデータを把握した前回調査(昨年4月実施)の結果では、新たに始まった「特定処遇改善加算」を取得している事業所で賃金改善がみられました。
月給・常勤で働く介護職員の平均給与は、前年より1万8120円高い32万5550円と報告されています。
勤続10年以上の月給・常勤の介護福祉士に限ってみると、平均給与は同2万740円増の36万6900円だったという。
これは、国がベテラン介護職に対して全産業をモデルに算出した年収440万の介護職のモデルが大きく影響しています。
配分方法にも基準を設け差をつける施策でしたが、事業所希望等では加算額から年収440万のモデル運用は難しく、形骸化は否めません。
今回の改定では支給要件も緩和され、勤続10年以上の月給・常勤の介護福祉士等の支給が一般介護職の2倍ルール以上というルールもなくなりました。
* 上記の平均給与は、基本給+各種手当+ボーナスなどです。
税金や保険料が引かれる前の額面で手取りで金額ではありません。
各種手当には、残業代や夜勤手当など月ごとに変動するものも含まれています。
ボーナスや一時金が出ているところでは、2019年10月から2020年3月までに支給された額の6分の1が足されています。
居宅介護支援が調査対象外
今年10月に実施される実態調査事業所から居宅介護支援だけは対象外とされていました。
その重要性、緊急性などを考慮して追加的に実施される”臨時調査”を除けば、通常の調査で特定の事業が調査対象から除外される措置は初めての事です。
厚労省は専門家会議で、「処遇改善加算、特定処遇改善加算の影響も含め、介護職員の賃金の動向をよりきめ細かく把握するため」
「介護施設に配置されているケアマネジャーの給与は分かる。賃金構造基本統計など他の調査でケアマネ全体の給与も把握できる」と説明しました。
これに対し、委員からは「居宅介護支援のケアマネも非常に重要な職種」「ケアマネ全体だけでなく、居宅介護支援事業所に特化した調査も必要」などの異論が噴出しました。
厚労省は会合後、「今日の専門家のご意見も踏まえて更に検討を深める」と表明しました。
以前から介護職処遇改善加算等に居宅介護支援事業所のケアマネが含まれていない事に賛否はあります。
実態調査で介護職より処遇面での優位性は保たれていますが、居宅介護支援事業所の事業運営は全サービスの中で一番有益性が低い現況もあります。
質の高いケアマネを採用する為に運営者が処遇面を厚遇している傾向です。
この傾向は経営基盤が盤石で体力のある運営者に採用面でも有利にことを制度的に生み出し、自社サービスの利用を促します。
介護職同様に処遇改善加算で処遇改善することで公正中立なケアマネジメントが担保される施策になると思います。
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