このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選び介護の仕事に関わる情報を紹介しています。
今回は前回の『パワハラ対策でリスク回避』に引き続き、月刊誌「日経ヘルスケア 7月号」を参考に、アンガーマネジメントでパワハラや虐待を未然に防ぐ取り組みを紹介します。
アンガーマネジメント

前回紹介した通り改正労働施策推進法(パワハラ防止法)で求められる内容は相談体制の整備や発生時の適切な対応などに重きが置かれています。
一方でハラスメントや利用者への虐待行為自体が起こらないように職員に教育や働きかけることが重要です。
アンガーマネジメントは怒らないことを目指すものではありません。
違いを受け入れ、人間関係を良くする心理トレーニングです。
日本アンガーマネジメント協会
1970年代にアメリカで生まれたとされている怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。
怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています。
アンガーマネジメント協会は2011年に設立され、介護・医療関係者に向けた研修会なども開催されています。
研修会の受講や、アンガーマネジメントファシリテーターというアンガーマネジメントの専門家への入門資格の養成講座も開催しています。
以下は協会が掲載するアンガーマネジメントファシリテーター 職業分布です。
アンガーマネジメントファシリテーター 職業分布
このグラフからも緊急性の高い職場である医療・介護に従事する職場の受講生が多い事が分かります。
月刊誌「日経ヘルスケア 7月号」で岩手県立中央病院におけるアンガーマネジメントの取り組みを事例紹介されていました。
その記事によると岩手県立中央病院では、アンガーマネジメント普及啓発活動を始める前に職員の約半分がパワハラの経験があるという調査結果があった様です。
そして、アンガーマネジメント普及啓発活動を始めて1年後には35.8%の職員がパワハラが「減った」「やや減った」と回答しています。
勿論アンガーマネジメントが必要な職員ほど実践していなかったり、効果はないという意見もある様ですが、『今日は怒ったダメね日だったね』という発言が聞かれたり、組織内に定着しつつあるようです。
アンガーマネジメントが選ばれる理由
以下は日本アンガーマネジメント協会が紹介するアンガーマネジメントにおける効果です。
アメリカでも広く認知された研修コンテンツ
アメリカでは子どもにもアンガーマネジメントを教えることに積極的です。
小学校はもとより、サマーキャンプなどでもアンガーマネジメントを教えています。
また、一般的な人間関係のカウンセリング、夫婦(カップル)セラピーなどにもアンガーマネジメントが取り入れられています。
アスリートのメンタルトレーニングの成功例として有名なのが、テニスのロジャー・フェデラー選手です。
その他にもプロゴルファー、アメリカンフットボールのチーム等もアンガーマネジメントをメンタルトレーニング、チームビルディングのために取り入れています。
更には、アメリカでは司法分野にもアンガーマネジメントが導入されており、DV、傷害、危険運転といった軽犯罪を犯した場合、裁判所からアンガーマネジメントを受講するよう裁判所命令が出ることがよくあります。
自分自身の悩みを解決
仕事や子育てでイライラしてしまっている。ついカッとなって怒ってしまったことがある。上手に怒れなくてモヤモヤする
近くにすごく怒る人がいてどう付き合っていいのかわからない。
ストレス社会の中で、これらの悩みは多いのではないでしょうか?
しかし、日々の生活の中で生じる「怒り」に対しての向き合い方をアンガーマネジメントにより解決できます。
実際、受講者の多くの方が同じような悩みを抱えていました。
アンガーマネジメントができるようになれば、怒りの感情と上手に付き合うことができるようになり、怒って失敗したり、後悔したりすることをなくすことができます。
社会貢献の一助となる現代に必要な知識
様々な人間関係、ストレス社会、仕事場でのコミュニケーション問題など、現代人には多くの心理的問題が生じています。
これらの問題の根本となる部分をアンガーマネジメントを通じて解決することができます。
アンガーマネジメントを受講し、ファシリテーターとなった多くの受講者が、より良い社会の実現を目指し、個人・企業に対してアンガーマネジメントを展開しています。
もし、このような問題を実感しているのであれば、ぜひアンガーマネジメントの知識を身につけて、あなたの周りの人・企業の課題解決を通じて社会貢献をしてみてはいかがでしょうか?
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