介護士の仕事とケアマネの仕事について説明しました。
今回は介護福祉士の活躍するサービスについて紹介します。
介護福祉士は主に高齢者施設で勤務する事が多いです。介護専門の唯一無二の国家資格でもあります。
国も介護福祉士の資格地位向上の為、事業所毎の介護福祉士割合を基準とした加算を設けています。
また、10年以上介護現場で働き続けた介護福祉士の処遇を高めるための加算もスタートしました。
長期的に安心して務められる環境を整えていっています。
介護福祉士資格取得方法
介護福祉士の国家資格は以前は福祉系の専門学校や大学を卒業する事で資格取得可能でした。医療系の看護師国家資格と比べても資格取得しやすい事もあり、一時期専門学校の人気も高まりました。
但し、卒業する事で資格取得する事で介護福祉士の質の担保が出来ない事もあり、福祉現場で有資格者の処遇に反映されない事情もありました。
国としては、は介護福祉士の質を高め、資格の価値や社会的評価を上げるため、2022年度から養成校を卒業した人に、国家試験の受験を義務化することを発表していました。しかし、外国人留学生の増加を受け、人材確保のためにこの期限を2027年まで延長することを決定したのです。
これにより、外国人留学生の受け入れはさらに加速すると見られていますが、有識者からは介護福祉士の社会的地位の向上を妨げてしまうため、「2022年度に義務化するべきだった」という批判もあがっています。
実務経験3年のみで以前は受験資格が担保されていましたが、質の担保・社会的地位向上の観点から介護職員実務者研修の修了が必須となったことから、受験者が激減しています。
国はいわゆる団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に直面する2018年には、介護人材が34万人不足するとの試算しているにも関わらず、介護福祉士の受験要件を上げ、受験者を減らす施策をとっています。
「失敗しない職場選び」
就業先のことを徹底的に調べる
ケアマネの職場選びでも伝えましたが、法人のウェブサイトの情報だけを鵜呑みにしてしまうと、自分のイメージとのギャップがうまれてしまうこともあります。
「もっとご入居者とふれ合いたいのに」「ゆっくり休憩もとれないなんて」といった、入社後の不満を回避するためにも、情報集取しましょう。
介護事業所情報の公表では、ほぼお住まいの地域の福祉サービスを見ることができます。サービス提供体制加算Ⅰは介護福祉士の割合と勤続年数を評価する加算です。
長く介護福祉士が努めている環境はケア面では落ちていることが予測できます。ただし逆に新参者が働きにく可能性もありますので、その他の情報も確認しましょう。
職場見学や口コミサイトからの情報や人材会社からの情報なども参考にするといいでしょう。
一旦派遣で努めてみて事業所の様子をみるのもひとつです。
待遇・福利厚生の詳細を把握する
介護職員の転職理由で上位にあげられるものとして「待遇・給与に不満」という理由があります。
面接の場では、給与や福利厚生に関する質問しにく為事前にウェブサイトやハローワーク情報を調べておくこともひとつです。
昇給・昇格の仕組みは?福利厚生の充実度は?など、特にご自身が重視する部分は確認をしておきましょう。
その職場で働く理由を明確にする
単に給料面や家から近いから、という条件だけで転職を決めるのは危険です。
納得感をもって長くため働くためにも「サービス内容等この転職で重視していることは何か」とか「その会社の理念に共感できるか」など自分の描く働き方とあっているか整理しておくことは必要です。
例えば「収入アップも魅力だけど、まずは家族との時間確保は外せない」という軸をお持ちであれば、時間帯を重視し仕事選びをする必要があります。
介護福祉士の活躍する介護サービス
介護福祉士が活躍する主なサービスを紹介します。
仕事内容については、別ブログ「失敗しない介護の仕事選び 仕事内容」にて詳しく紹介しています。
介護福祉士の働く場所には、介護施設のほか、利用者さんの自宅や病院・診療所等もありますが今回は省略致します。
特別養護老人ホーム(入所型)
施設の特徴
特別養護老人ホームは、在宅での介護が困難な、要介護の高齢者が入居できる施設。入居基準は原則として要介護3以上で、終の棲家として入居する人がほとんどです。
入浴や排泄の介助を主とする身体介護のほか、食事や機能訓練などのサービスを提供します。
待遇面
特別養護老人ホームは、おもに自治体や社会福祉法人(税金面優遇)が運営する公的な施設であり、職員の処遇が他の施設に比べて充実していたり、福利厚生に力を入れていることも多いようです。
人気の理由
身体介助以外の業務においては、介護系の資格をお持ちでない方の受け入れにも積極的です。幅広い人材に門戸を開いていることも人気の理由のひとつです。
気になる点
介護度が3以上という施設の特徴から、レクリエーションや自立支援の選択肢が他サービスより少なくなる。日常生活動作(ADL)は維持が主体で向上の成果は出にくい面があります。
機能訓練等で成果の現れることをやりがいと思う場合は他のサービスの選択肢もあるように思います。
介護老人保健施設(入所型)
施設の特徴
介護老人保健施設(通称:老健)は、医療法人や社会福祉法人などが運営する施設です。
慢性期の患者に対して、入浴・排泄などの介助サービスのほか、医師によるサポートや食事・生活支援サービスなど、専門家によるリハビリを提供します。
在宅復帰が最終的な目的なので、入所期間は原則3ヵ月程度です。(入退所管理が難し面もあります)。
待遇面
給与などの待遇は平均的ですが、自宅復帰を目指す方が多いこともあり、比較的介護度の低い利用者が中心であり、身体的な負担が少ない施設もあるようです。
人気の理由
介護老人保健施設では、リハビリを経て、在宅復帰しようとする患者をサポートできる喜びがあります。多職種が連携して働いているため、チーム医療・介護のやりがいを感じることができます。
気になる点
在宅復帰を目的としている施設の特徴から、利用者の入れ替わりは多くそれぞれの情報共有が多いです。復帰に関する加算や医療に近い面から機能訓練等の根拠記録等の業務が多いです。
入退去支援担当の生活相談員の力量で介護現場の負担が左右することと、看護師・リハビリ職の影響力が強い事業所が多い特徴もあります。
有料老人ホーム(入居型)
施設の特徴
有料老人ホームは、民間企業が運営する高齢者のための住宅です。民間企業が運営していることもあり、施設の設備や特徴のあるサービスに力を入れている企業が多数あります。
待遇面
有料老人ホームは、民間企業(大手グループの企業も多数)が運営している施設です。大手企業の待遇面は平均値よりも高い場合が多く、かつキャリアアップのための人事制度や研修、福利厚生が充実しています。
長期にわたって安心して勤務できる環境が整っています。
人気の理由
介護に関する幅広い知識を習得し、介護職としてステップアップしたい方、安定して長期間にわたってキャリアを積んでいきたい方にぴったりです。
気になる点
民間企業(大手グループの企業も多数)が運営していている場合は株主を意識した短期黒字が必須です。急成長会社は長期視点で介護職員の研修システムが構築出来ず、不祥事も多数起こっています。
ビジネス参入志向が強く買収・M&A等急な方針転換のリスクもあります。
グループホーム(入所型)
施設の特徴
グループホームは、比較的、軽度の認知症患者も受け入れる共同生活介護の場です。
一般的には最大9名までを1ユニットとし、家事などを共同で行いながら生活します。認知症の進行を遅らせるため、介助者も家族のような関わり方をするのが特徴です。
待遇面
待遇はグループホームを運営している企業によって異なります。ある程度規模がある法人であれば待遇面も他サービス並ですが、全体的に決して高待遇とは言えない施設形態です。
過度な残業や休日出勤も少なめということを考えれば、ワークライフバランスのとりやすい環境であるともいえます。
人気の理由
グループホームは、少人数のグループに担当者がついて日常をともにする形なので、一人ひとりに寄り添ったケアができます。
また、ゆくゆくは大型施設で働きたいと考えている方や、認知症ケアに興味がある人にとっては、働きながら学べる環境です。
気になる点
小規模事業所は採用・稼働率等収益悪化のリスクがあります。中小事業者の場合後継者問題も今後課題であり、M&Aによる方針転換リスクもあります。
デイサービス(通所型)
施設の特徴
デイサービスは、在宅介護を受けている高齢者に、日帰りで食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを提供する施設です。
夜間の預かりを実施している施設もありますが、基本的には昼間の利用が中心で、自宅までの送迎も行います。
待遇面
デイサービスは、24時間体制の施設ではないので、夜勤が難しい方でも働きやすい環境です。夜勤がある施設と比較した場合、夜勤手当がない為、給料は低めですが、介護福祉士などの資格を保有している方には手当の支給があるケースもあります。
人気の理由
一部の施設を除いて、夜勤がなく、日中に仕事を終えられることが最大のメリットです。家事や育児と両立したい人にも向いています。
利用者の要介護度が低いので、明るく活発な雰囲気の職場が多いようです。施設によっては土曜や日曜がお休みのところもあります。
気になる点
介護保険サービスの施設数が多く報酬改定で一番変化するリスクがあります。数量規制がない自治体も多く参入障壁が低い分競争は激化しています。稼働率の低い事業所は閉鎖・経営破たんのリスクもあります。
コメント
コメント一覧 (3件)
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