SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
17の目標と169のターゲットについて子供にも理解しやすいようにまとめて、ぞれのターゲットについて考えていきたいと思います。
今回はSDGsの紹介で何度か紹介しましたESG経営事例について「不二製油」について紹介します。
不二製油のESG経営
SDGSが目指す開発目標は官民連携として企業の果たす役割は大きいものです。
企業が発展していく為に永続的な利益を上げていく上で、投資による資金調達や消費者の消費マインドに抗えません。
今回はESG投資に関して欧州と比較するとから10年以上遅れていると言われている日本においてESG経営に取り組んでいる「不二製油」という企業について紹介します。
不二製油という会社については、何も知りませんでしたが、このSDGsに関するブログを書いていると、ESG投資の事など意識する機会が増えました。
経済情報サイト「NEWS PICS」の「INVESTORS」とうい番組でESG投資をテーマに企業紹介をされていて知ることになりました。
BtoCの会社であれば消費者の購買に影響したり、よく情報として紹介されているので、目にする機会も多いですが不二製油はBtoBの会社で名前も知りませんでした。
ここで不二製油について簡単に紹介します。
不二製油グループは、植物性油脂や業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材などの開発・生産・販売をする会社です。
設立は1950年で戦後間もない時期に創業された会社で、植物性の「油」を扱う会社としてスタートしています。
植物性油脂の会社の多くは主に大豆を搾って家庭用のサラダ油などを販売していましたが、戦後は大豆が配給制で、なかなか良い原料が手に入りませんでした。
そこで、不二製油はマレーシアやインドネシアで採れる「南方系の油脂」に目をつけて、パームなどを原料として使い始め、現在の植物性油脂の原材料ビジネスが始まりました。
原材料のパーム油やカカオ豆・コーヒ豆等の原産国は開発途上国が多くサプライチェーン上に人権侵害や環境破壊の懸念がある原料としてと認知されています。
前回紹介しました米スターバックスなどもコーヒー豆のサプライチェーンで人権侵害が起こらない取り組みをショップで紹介されたりもしています。
ESG経営の方針転換
きっかけは不二製油グループも2014年にはNGOから人権侵害などの可能性を指摘され、不二製油は大きな風評にさらされることになりました。
2014年、あるNGO団体から1通の手紙が届きました。
内容は、パーム油を使用する企業を名指しで批判するというものです。
人権侵害や環境破壊に加担しているというのが理由で、半ば脅しのようなものであった様です。
その頃すでに欧米では、BtoCのグローバルメーカーが批判されていて、今後人権侵害や環境破壊は、企業にとっての重大リスクという認識から、サプライチェーンの調査を始めました。
2016年3月、不二製油グループは「責任あるパーム油調達方針」を策定し、公表しました。
本方針では、人々と地球環境を尊重するサプライヤーから責任ある方法で生産されたパーム油を調達することを約束しています。
当社グループは、ステークホルダーと協働して責任あるパーム油調達方針に即した調達に努めています。
今後も、パーム油が持続可能な油脂原料として世界に受け入れられるよう、責任あるパーム油調達を推進していきます。
不二製油HP抜粋
1000以上の工場を「全把握」
方針を示した後、膨大なサプライチェーンを把握するの事は、並大抵の努力ではありませんでした。
自社だけでは調査は限界があり、Earth Worm(旧The Forest Trust)という団体と共同でサプライチェーンマネジメントチームを作り調査を進めます。
複雑なサプライチェーンを正確に把握するのは、途方もない作業が必要でした。
不二製油が材料を仕入れる搾油工場の数は膨大で、その先にある農園は大中小合わせると無数にあります。
また、それぞれの搾油工場が取引する農園は、常に入れ替わる事が普通で、農園も経営環境によって頻繁に売り買いされている状況です。
その中で、いきなりサプライチェーンの最上流である農園をすべて把握するのは難易度が高く、まずは、搾油工場の把握を目標に掲げています。
サプライチェーンの把握に一つ一つ丁寧に地道にチェックしていき、2019年末にすべての搾油工場の把握を終了します。
次に現在は2030年を目標にすべての農園を把握することを進めていて、現時点で約60%まで達成しています。
カカオ農園 児童労働ゼロへの取り組み
日経新聞にも紹介された様に不二製油では、カカオ農園、児童労働ゼロへ向けて取り組んでいます。
人権侵害は状況把握だけでは進まず、農園の置かれた環境等実態をつかむ必要があります。実態把握には人手と時間がかかり、状況も随時変化する困難な作業です。
環境破壊の調査などには、衛星写真を活用して進めています。
パーム油の場合には伐採してはいけない区域、例えば、国立公園や立ち入ってはいけない地域にまで農園を広げるケースがある為、衛星写真を使って確認作業を行っています。
児童労働などの労働環境は、常に変わる現地の状況をチェックする事は困難で仕組みで解消する取り組みを行っています。
グリーンバンス(苦情処理)メカニズムを活用し、現場で問題がある場合は、農園の従業員やNGOなどが、WEBでに直接情報提供できるシステムです。
不二製油が、原料供給の契約をする際は、搾油工場や農園と、人権侵害や環境破壊などがない契約締結を行っていてもの絶対に守られる保証がない為通報システムを構築しています。
これまで約230件の情報提供があり、状況が改善されない場合は、原料の調達を停止することで、抑止力に繋がっています。
児童労働には、多種の事情あり、地域によっては、「子どもを働かせていた方が安全」だと声もあります。
近くに学校がなく、自宅で留守番させていると誘拐される危険性もあり、目の届く範囲にいてくれた方が安心というような事情です。
不二製油の合弁相手でマレーシアでパーム農園を営むユナイテッド・プランテーションは、柵で囲われ、警備員もいるパーム農園内に、学校や宗教ごとの教会、病院、パン屋等を作る取り組みも行っています。
働く人のために、環境を整備していくことは、短期的には費用がかかることであっても、長期的には従業員も喜んで働いていて、品質が高まります。
品質が高まったパーム油はグローバル企業からの引き合いが多くなりますが、信頼関係ができた取引は持続することと思います。
食品メーカーの不二製油グループ本社がESG(環境・社会・企業統治)経営への取り組みを加速している。
2020年12月には英国の非政府組織、英CDPが世界の企業を対象に温暖化対策を評価した格付けで、最高位のトリプルAを獲得した。
気候変動対策、森林破壊対策、水セキュリティー対策のそれぞれが評価された。
日経新聞 2021年2月25
コメント
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[…] 不二製油グループについてはこのブログ『SDGs ESG経営事例 不二製油』でも詳しく紹介したBtoBの会社で、植物性油脂や業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材などの開発・生産・販売する会社です。 […]