家飲み 純米酒と田んぼの可能性

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米食文化から麦消費への変化はアメリカの余った農作物が要因

戦前、日本人の主食といえば間違いなくお米でした。

昭和に入ってから終戦まで一人当たりの年間消費量はじつに120~170kgです。

現在が54kg(2016年)なので、当時はいまの2~3倍ほどのコメを腹に収めていたというわけである。

江戸時代に使用されていた石高(こくだか)の1石(いっこく)は大人一人が1年間に食べるお米の量で米1石の重さは約140~150kgです。

このように江戸時代も日本人は同じぐらいのお米を食べていました。

それが戦後になるとコメに代わって小麦製品、特にパンがじわじわと伸びていきます。

1人が1日で摂取するカロリーの品目別の推移について、最も古い統計として残る1960年と2018年でみると、コメは1105kcalから528kcalに減っています。

発端は米国が戦後すぐに直面した農産物の過剰在庫の問題です。

米国の農産物は戦時中、連合国の兵食として大量に消費されていましたが、終戦で行き場を失うことになりました。

その後1950年には朝鮮戦争が勃発。大量の兵食が必要とされ、一時的に米国の余剰農産物の問題は解決しました。

その後53年に朝鮮戦争が終わると、再び米国の農産物は余り始めたことと、世界中で小麦が大豊作となりました。

その状況下でカナダや豪州が安値で小麦を放出し、米国が抱える小麦の在庫は大幅に増えてしまいます。

麦はコメより経年劣化しやすく早急に処理をする必要に迫られ、食糧難だった日本は小麦60万t、大麦11万6000t、総額5000万ドルに及ぶ農産物を受け入れる形となりました。

厚生労働省はこの小麦をパンにして学校給食にミルクとともに提供すると同時に、パンを主体とした粉食を広める「栄養改善運動」を展開していきます。

酒米五百万石の意味

酒米作付けNO.2の五百万石が名付けられたのは、1957年に新潟県の米の生産量が500万石を超えた記念です。

江戸時代で言えば500万人が1年間食べれるお米の量を意味しています。

そして1石(イッコク)のお米が取れる田んぼの広さを1反(イッタン)と読んでいました。

現在1反は10a(10アール)で表現されます。昔は1反で1石(約140~150kg)の収穫量でしたが、現在は約600kgで4倍の収穫量となっています。

戦後の食糧不足を解決するため、昭和40年代に入ると肥料や農業用機械の導入が進むなど技術革新が起こり収穫量が劇的に伸びます。

しかし、その後先程述べた「主食=米」の常識が徐々に崩れ、日本人の食卓の欧米化が進行したことで、パンを主食とする日本人が増え、「米離れ」が加速していきます。

そして、生産量を増加し続けてきた米に余剰が発生するようになり、農家からの買取価格より市場への売値の方が安くなるという事態も発生しました。

その後日本政府は1970年に新規の開田を禁止し、耕作面積の配分を行うなど生産調整を開始。これがのちの減反政策へつながっていきます。

純米酒で日本の田んぼが守れる

2018年に減反政策は廃止となりましたが、今なお100万ha以上の田んぼでお米が生産されていません。

ha(ヘクタール)を反になおすと1000万反で昔の収穫量であれば1000万人が食べていける面積が不耕作となっていることを意味します。

純米酒造りは米と水と醪(もろみ)を造り、醪を搾って酒粕を除くと純米酒が出来ます。

単純計算で1升の純米酒を造るのに1kgの酒米が必要です。

以前何度か紹介しました酒米「亀の尾」などは害虫に弱いなどの欠点があることや、化学肥料で育てると極端に米がもろくなるので田んぼをスカスカに間隔を空けて育てる必要があります。

現在1反は10a(10アール)で平均約600kg穫れるところを酒米にこだわり間隔を空け化学肥料を使用せず収穫する約360kg穫れます。

純米酒になおすと1升瓶360本造れます。

今不耕作の遊んでいる田んぼ100万haで純米酒を造るとすれば1升瓶で36億本造れます。

計算では成人が1日1合のお酒を飲むことで不耕作の田んぼが蘇る計算となります。

コロナ禍で日本食文化の危機

新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、緊急事態宣言の発出、外出自粛要請や営業時間の短縮要請などが何度も出されています。

これにより、外食産業は大きな影響を受け、2020 年の外食消費及び飲食店売上高は、2000 年以降過去最大の下げ幅となっています。

日本酒業界も業務用の日本酒を中心に国内出荷量が対前年比▲10%と減少。特に、酒造好適米を多く使用する特定名称酒は対前年比▲14%と大幅に減少しています。

日本が誇る食文化や丁寧優れた技術で造られる酒造りや農業にも大きな影響を与えています。

農林水産省「日本酒をめぐる状況」によると少しづつ海外でも人気で好調に推移していた日本酒の輸出量も減少となりました。

もう少し続く自粛要請下においても家飲みで普段より贅沢な美味しい日本酒をお取り寄せし、飲み続けようと思っています。

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