そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。
この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したいと思っています。
この本は「経済学のビジネス実装」を行っている経済学者&実務家が共著で贈る「現場で使える」ビジネス教養です。
アメリカではGoogleやAmazonをはじめ、最先端企業が経済学をビジネスに活用する動きは1990年代から進んできています。
学問の世界には、ビジネスに有益な学知が多く眠っていますが、うまく接続されていない部分を貪欲に使うきっかけにになる事を目指した本です。
ビジネスパーソンの「武器」としての経済学
この本を呼ぶきっかけになったのは共著の一人安田洋祐の日本経済新聞社とテレビ東京が共同で行っているYouTubeチャンネル【日経テレ東大学】の「まったりFUKABORI」という番組を見たのがきっかけです。
経済学者の話を身近に聞けたのと、説明がわかりやすく、この本を紹介されていてので、早速電子書籍で購入しました。
本書の安田氏のパーツでも「学問はわたしたちの暮らしに役立たない」という常識を変えるのが本書の目的と記されています。
なぜ経済学が「役に立たない」と誤解されるのかは、武器として仕組みや使用法を知っているだけでは役立たず、使ってみて初めて役立つのに「使う」という視点「経済学」の教育で乏しいことが要因です。
一歩踏み込んで、現実の問題解決に経済学は使用される段階に達していて「サイエンスで問題に接近していき、エンジニアリングで解決する」イメージで経済学がビジネス実装に向け「エンジニアリング化」している様です。
本書では武器としての経済学を事例を踏まえ多く紹介していますが、本書を是非多くのビジネスパーソンに読んで頂きたいので一部のみ紹介します。
マッチング・マーケットデザイン
マーケットデザインとは、広い意味でのマーケットを設計・改善する分野です。
広い意味でのというのは、ここでの「マーケット」には、金銭取引をしない様々な場も含まれるからです。
例えば、株式を売買する証券所や魚や野菜を売買する市場は金銭取引をする場です。
一方で児童・生徒を学校に割り当てる学校選択制や腎臓病の患者とドナーを組み合わせる腎移植マッチングは金銭取引しない場です。
ある地域に、複数の公立中学校があるとしましょう。
生徒たちはそれらの学校に行きたいと思っているけれど、人によって好みの順番は違う。
それぞれの公立中学校にしても、近所の家庭から来てほしいとか、兄や姉のいる子に来てほしとか、学校ごとに生徒の優先順位が違う。
では、どうすれば生徒と学校を、何らかの意味でお互いにとってハッピーな形で、うまくマッチングさせることができるか。
こうした問題に経済学で取り組んでいます。
ゲール・シャプレーアルゴリズム(GSアルゴリズム)と呼ばれるやり方が、安定マッチングという非常によい組み合わせを実現します。
GSアルゴリズムをそのまま使って問題解決かというと、大抵の現実の場合ではそのまま使えないのです。
例えばアメリカだと、社会的不利な立場にあるアフリカ系の生徒を優先したいという、アファーマティブ・アクションをとる学校が少なくありません。
すると、アファーマティブ・アクションを尊重できるように、GSアルゴリズムを修正する必要が出てくるのです。
ところが、非常に難しい問題なのです。
少なくとも、安易な思い付きでは絶対に解決できない。
何が難しいのかというと、できるだけ、GSアルゴリズムのメリットを削がないようにすることです。
これはマッチング理論の研究者でないとできません。
下手にアルゴリズムを修正すると、多くの生徒の進学先が不当に変わり、その後の彼らの人生に大きなマイナスの影響を与えてしまうリスクがあります。
アファーマティブ・アクションひとつとっても人種についてだったり、性別についてだったり、ケースごとに色々なものがあります。
本書 抜粋
上記の事例の様なものがサイエンス(経済学)でGSアルゴリズムまでは到達できても、その先に実用になると、エンジニアリングで個別のケースに応じた調整が要るということです。
本書ではそのことに早くから気付いているアメリカではビジネスの実用で「グーグルを世界一にした経済学者」とも呼ばれるハル・ヴァリアン氏は、グーグルの検索連動型広告の販売オークション方式を設計なども紹介しています。
時代の変化が激しく先を見通しづらい時代には、勘で動くだけでなく、大局観をつかむために理論の助けを借りるのも便利です。
この本で取り上げられている理論は既に実装されている事例を含め丁寧の紹介されているので、どの分野でも活用することが可能です。
経済学者の中にも理論だけの研究に没頭され個別の課題への実装にまで目を向けていない学者も多くいるようでビジネスシーンと学者のマッチングやコンサルティングもこの共著の会社で行っています。
興味のある方は是非ご一読下さい。
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