このブログ「介護役立情報」では、事業所選びや介護に携わる仕事についても紹介しています。
今回は令和4年4月から変更となる指定権者の運営指導の概要を紹介します。
運営指導への変更の背景
令和4年3月全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料によると、令和2年度の自治体の実地指導の実施率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があり30.1万か所の事業所(令和2年4月1日現在)に対して、全国平均で6.9%となっており、低調な状況です。
介護サービス事業者(以下「事業者」という。)に対する指導監督業務については、高齢者の尊厳を保持し良質なケアが提供される体制を継続させること及び高齢者への虐待を防止することにより、介護保険制度への信頼性を維持し、制度の持続可能性を高めるための重要な役割の一翼を担っています。
現実的には市町、又は県の監査指導に関わる職員数が少ないこともあり、複数人で事業所を計画的に訪問し実地指導を行うkとには限界があります。
今回の改正後の指導指針で、介護施設・事業所の「運営指導」の内容を次の3点に明確化する方針だ。
(1)介護サービスの実施状況の指導
個別サービスの質(施設・設備や利用者へのサービス提供状況などを含む)に関する指導
(2)最低基準など運営体制の指導
運営基準などに規定された運営体制に関する指導
(3)報酬請求の指導
加算などの介護報酬請求の適正実施に関する指導
このうち(2)と(3)について、オンライン会議ツールを活用することが可能だと明記しています。
また、介護現場と自治体の双方の負担に配慮した措置で、「実地でなくても確認できる内容」と整理する意向を示しています。
そのため名称も実地指導から運営指導に変更されました。
新「介護保険施設等運営指導マニュアル」の通知
今回介護現場と自治体の双方の負担に配慮した「実地でなくても確認できる内容」を整理されたマニュアルが介護保険最新情報のVol.1061で通知されました。
併せて事業所が人員や設備、運営に関する基準を満たしているかどうか、自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」についても公表されました。
何か特別な理由がない限り、原則としてこれら以外の項目・文書の確認は行わないよう促しています。
「運営指導」の自治体ごとの差異を小さくしたり、現場の事務負担の軽減につなげたりする狙いがあります。
全国や複数の市町でサービス事業を展開する事業者にとってローカルルールは以前から問題視されていたことから、厚労省も促す形となったと考えられます。
全サービスの「確認項目・確認文書」
厚労省はマニュアルで、この「確認項目・確認文書」を「事業所自身で点検すべきもの」とも説明しています。
事業者にとっても自己点検すべき内容をきっちり行えば運営に支障がないので、算定要件のローカルルールに悩まされることも少なくなります。
今回の「確認項目・確認文書」は、どのサービスも大きく2つのカテゴリーに分けられている。日々のサービスの質をチェックするものと、サービスの基盤となる事業所の体制をチェックするものだ。例えば、
◯ 重要事項説明書の内容に不備はないか
◯ サービス担当者会議に参加して利用者の心身状況の把握に努めているか
◯ 職員の人数は適切か、必要な専門職は揃っているか
◯ 事故が発生した際の対応方法は定まっているか
などの項目があり、それぞれ対応する文書も列挙されています。
厚労省はマニュアルで自治体に対し、「基準違反が著しいことが認められた場合などは、監査を行って事実関係を明確にしたうえで対応すること」と指示しています。
このほか介護報酬の加算については、「それぞれの算定要件に関する文書を求めて適合状況を確認することになる」と解説しています。
自治体により勤務票添付ルールが変わったり、勤務表様式が自治体オリジナルの物など、介護分野の文書に係る負担軽減についても検討されていることは事業者にとって歓迎できる内容です。
「運営指導」の留意点
運営指導の留意点として以下のような内容を示しています。
- 1事業所あたりの所要時間をできる限り短縮し、指導の頻度向上を図る。
- 同一所在地や近隣の事業所はできるだけ同日、または連続した日程で実施する。
- 書類がデータで管理されている場合はディスプレイで確認し、事業所に書類のプリントアウトを指示しない。
- 高圧的な言動は控え、事業所との共通認識が得られるようにする。
- 担当職員の主観に基づく指導はしない。
今回の留意事項を見て全国的にも勘違いした指導が行われたいることを目の当たりになりました。
担当部署確認や相談に行く機会も多くありましたが、赴任1年目謙虚な担当者が3年目には口調がきつくなる方も中にはいました。
以下にも記載の通り性善説で事業者を支援と育成を目的に実施して頂きたい限りです。
また、運営指導は介護給付等対象サービスの取扱いや介護報酬の請求に関する周知の徹底を図ることにより介護保険施設等を支援し、自ら基準等を守り適正かつ質の高いサービスを提供することができるよう介護保険施設等の育成を図るものであり、あくまで相手方の任意の協力の下に行われるもので強制することはできないことに留意願います。
介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料
厚労省はこのほか「運営指導」の頻度について、原則として指定の有効期間内(6年間)に1回以上としつつ、施設系サービス、居住系サービスは「3年に1回以上が望ましい」と記しています。
一方の「集団指導」については、「1年に1回以上、講習などの方法で行う」と規定している。
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