このブログ「介護役立つ情報」では、介護に携わる情報をお伝えしています。今回は障害者総合支援法の見直しに向けた社会保障審議会・障害者部会の報告書について紹介します。
障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援
報告書の基本的な考え方の障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の考え方は以下の通りです。
○ 障害者の入所施設や病院からの地域移行を進め、障害者がどの地域においても安心して地域生活を送れるよう、障害者が希望する多様な地域生活の実現に向けた支援や地域生活支援拠点等の整備・充実等を図ることが必要である。
○ どのような相談もまずは受け止める、アクセスしやすい相談体制を整備するため、地域で中核的な役割を果たす相談支援の機関を中心に、本人の希望する暮らしを形づくり、継続するための相談支援の充実・強化が必要である。
グループホームの機能の強化
地域生活の支援の拡充が大きな柱の1つがグループホームの機能の強化を図ることです。
このブログでも紹介した本『日本国・不安の研究「医療・介護産業」のタブーに斬りこむ!』にも「精神療養病棟に入院する患者の退院の見通し」を紹介し、入院患者の半分は在宅サービスの支援体制が整えば退院が可能である現状を紹介されています。
また、ヨーロッパにおいても「グループホーム」のような施設を退院の受け皿にしている事例も紹介されています。
社会保障費に関する記述はより具体的で一部抜粋し、紹介します。
医科診療医療費は31兆円は国民医療費の中で最大である。その31兆円のうち約2兆円が精神医療にかかわる費用であり、さらにうち1兆4000億が精神科入院費用である。
一人一日あたり精神科入院は14,000円強、年間522万円となる。
これに対して精神病院からグループホームへ移行した場合の費用は一人あたり平均月額103,000円、グループホームに住んで就労支援施設へ通う場合の費用は126,000円となり、年間275万。
約半分だから、1兆4000億に対して理論的には7000億が削減できる勘定となる。
ヨーロッパの場合は、基礎自治体がグループホームの支援の主体だが、日本では民間の側で、ビジネスチャンスとしての精神病患者の不要な長期入院から地域移行・就労が動き始めている。
いっこうに入院患者数が減少しないまま厚生労働省は、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(2017年)の構築を掲げたが、実効性は疑わしい。
『日本国・不安の研究「医療・介護産業」のタブーに斬りこむ!』 本文抜粋
上記に関する課題意識は厚生労働省にもあり、グループホームのあり方についても検討されています。
担当する社会・援護局の関係者は、「できるだけ早く法案を提出すべく準備していく。仮に今年の臨時国会が召集されるのであれば、そこにも間に合うように作業を進めていきたい」と話しています。
グループホームについては、その支援内容に1人暮らしを希望する人へのサポートや退居後の相談などが含まれることを、法律上明確化すべきと明記され、調整が進んでいます。
1人暮らしなど本人が希望する地域生活の実現に向けた選択肢を増やす観点から、新たなグループホームの類型を検討していく構想もその一環です。
相談を受ける体制の整備
地域で中核的な役割を担う「基幹相談支援センター」の設置を市町村の努力義務とするなど、相談体制の整備を進める具体策を講じることも提言されました。
基幹相談支援センターについてはこのブログでも全市町村への設置に関する情報を紹介しています。
あわせて、緊急時の対応や一時的な受け入れなども行う「地域生活支援拠点」の設置を、市町村の努力義務と位置付けることも求めました。
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