このブログ「介護役立つ情報」では、介護事業に携わる最新情報を紹介しています。
今回は政府の規制改革推進会議は総括した答申「コロナ後に向けた成長の起動」における介護分野の「基本的考え方」を紹介します。
深刻化している人材の不足や処遇の状況を踏まえ、10年先、20年先をも見据え、必要な人に必要な介護サービスを提供し続けられる持続的な制度の構築を目指します。
規制改革推進会議と答申
規制改革推進会議と答申についてはこのブログ「現場の負担軽減 ケアプランの事業所間共有をクラウドで」詳しく紹介していますので最近の介護分野の答申を簡単に紹介します。
2020年7月・介護分野における答申
介護職は2025年におよそ38万人不足すると見込まれています。
答申による課題
- 介護サービスの実施に欠かせない公的書類が自治体ごとに様式が違う。
- 自治体と事業者間などでの書類のやりとりがオンラインでない。
- 紙での書類保管が煩雑になっている。
等介護現場では事務作業に多くの労力が割かれ、大きな負担となっているのが現状です。
そのため2020年7月の介護分野の答申では、介護現場に大きな負担となっている事務作業をいかに減らし、少ない人材が本来の業務に時間を使えるようにするかという点に焦点が当てられました。
事務作業を減らして介護現場の生産性を向上させるため、以下のような事項が盛り込まれました。
2020年7月・介護分野における答申
介護職は2025年におよそ38万人不足すると見込まれています。
答申による課題
- 介護サービスの実施に欠かせない公的書類が自治体ごとに様式が違う。
- 自治体と事業者間などでの書類のやりとりがオンラインでない。
- 紙での書類保管が煩雑になっている。
等介護現場では事務作業に多くの労力が割かれ、大きな負担となっているのが現状です。
[前回答申・介護サービスの生産性向上のための主な実施事項]
- 書類に関する見直し
(ケアプランなど行政へ提出する書類の簡素化・標準化・ICTの活用など) - 申請やデータのオンライン化
(全国共通の電子申請・届け出システムの整備、介護事業者間でのデータ連携の環境整備) - 電子署名の導入
(介護利用者のケアプランへの同意を、署名捺印から電子署名などへ) - 書類のデジタル化
(書類のデジタル保存と書類の保存期間の明確化)
2021年6月・介護分野の答申
前回の答申を受けて厚生労働省では21年3月に、介護分野の書類を半減するための取り組み状況を報告しました。
介護事業者の保有するケアプランなどのデータのデジタル化についても、連携システムの構築方針が示されています。
参考:厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減について」
こうした国の取り組みを認めつつも、規制改革推進会議は介護現場の負担を減らす改革は道半ばであるとして、さらに継続的に取り組むよう求めました。
また夜間の業務負担軽減や人手不足への対策として、ICT導入だけでなく、ロボットやAI技術を導入することで業務効率を図れないか検証するように指示しました。
介護事業者の間接業務の負担を軽減するための国の取り組みは「成果を挙げるまでには道半ばの状況である」と厳しく評価しています。
前回の答申を受けて厚生労働省では21年3月に、介護分野の書類を半減するための取り組み状況を報告しました。
介護事業者の保有するケアプランなどのデータのデジタル化についても、連携システムの構築方針が示されています。
参考:厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減について」
こうした国の取り組みを認めつつも、規制改革推進会議は介護現場の負担を減らす改革は道半ばであるとして、さらに継続的に取り組むよう求めました。
また夜間の業務負担軽減や人手不足への対策として、ICT導入だけでなく、ロボットやAI技術を導入することで業務効率を図れないか検証するように指示しました。
介護事業者の間接業務の負担を軽減するための国の取り組みは「成果を挙げるまでには道半ばの状況である」と厳しく評価しています。
2022年 介護分野の答申
特定施設(介護付き有料老人ホーム)等における人員配置基準の特例的な柔軟化
具体策としては、介護施設などの人員配置基準の「特例的な柔軟化」が盛り込まれました。
まずは特定施設(介護付きホーム)などに絞って検討を進めていきます。
人員配置基準を思い切って緩和する構想に介護現場から強い懸念の声が噴出している為、一部に限った措置から徐々に対象を広げていく考えです。
センサーをはじめとするテクノロジーのフル活用やビッグデータの解析、介護助手の配置などを前提とすることが提言されています。
特別養護老人ホームにおける施設内の医療サービス改善
現行制度では、特養入所者の施設内における医療ニーズに十分応えられていません。
基準の配置医師が行うこととされる「健康管理及び療養上の指導」の範囲の明確化や配置医師制度等の見直しなど所要の措置を検討すべきという指摘を踏まえ、特養における入居者の医療ニーズの具体的内容、医療対応などについて必要な調査を実施します。
厚生労働省は、調査結果を踏まえ、特養における必要な訪問診療、往診、オンライン診療について介護保険又は医療保険で適切に評価を行います。
介護分野におけるローカルルール等による手続負担の軽減【再掲】
介護現場の業務負担となっている記録類に関するローカルルールは以前より問題となっています。
厚生労働省は事業所及び指定権者にも配慮しつつ、以下の通り基本的な文書・手続きの標準化を進めていきます。
a厚生労働省は、介護事業者及び地方公共団体の意見も踏まえつつ、介護事業者が提出する指定申請関連文書、報酬請求関連文書、指導監査関連文書について、介護事業者は国が定める様式にて作成し、国が定める書類を添付して手続等を行うことします。
- 具体的な様式・添付書類を検討するに当たっては、現行の標準様式及び標準添付書類を基本とする。
- 国が定める様式及び添付書類には押印又は署名欄は設けないことを基本する。
- あわせて、地方公共団体に対して押印又は署名を求めることがないよう要請する。
なお、以下も残されているので、独自条例など、どこまで国の基準で進むか不透明ところもあります。
- 地方公共団体が地域の特性に照らして特に必要がある場合に、独自の規律を設けることを妨げない。
- 地方公共団体が当該独自の規律に係る申請・届出文書について独自の様式・添付書類を使用することを妨げない。
b 厚生労働省は、介護事業者が介護保険法の関係法令の規定に基づいて地方公共団体に対して行う手続について、その簡素化や利便性向上に係る国や地方公共団体に対する要望を随時に提出できる専用の窓口を設ける。
c 厚生労働省は、介護サービスに係る指定及び報酬請求(加算届出を含む。)に関連する申請・届出について、介護事業者が全ての地方公共団体に対して所要の申請・届出を簡易に行い得ることとする観点から、介護事業者及び地方公共団体の意見も踏まえつつ、介護事業者の選択により、厚生労働省の「電子申請届出システム」を利用できるよう進められます。
d 厚生労働省は、介護保険法の関係法令の規定に基づく介護事業者の届出であって、法人関係事項その他の事業所固有の事項以外の事項に関するものについては、届出手続のワンストップ化を実現するよう進めらえます。
e 厚生労働省は、介護事業者が介護保険法の関係法令の規定に基づき行う必要がある申請、届出その他の手続に関する負担軽減に係る取組項目ごとの地方公共団体の実施状況や手続の利便性向上に係る地方公共団体の好取組事例を定期的に調査の上、公表します。
f 厚生労働省は、地方公共団体による独自ルールの明文化を徹底した上で、地方公共団体ごとの独自ルールの有無・内容を整理し、定期的に公表します。
サービス付き高齢者向け住宅における有資格者等の常駐要件の見直し
<基本的考え方>
高齢単身者や高齢夫婦のみの世帯が増加しており、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅の確保が重要となっています。
本制度においては、状況把握サービスと生活相談サービスの提供が必須で、入居者の安全・安心等を確保するため、医療・介護の有資格者等が日中、建物に常駐し、これらのサービスを提供することとなっていますが、近年、有資格者等の不足等が課題となっています。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべき答申です。
<実施事項>
国土交通省及び厚生労働省は、原則として、夜間を除き、状況把握サービス及び生活相談サービスに従事する有資格者等に課された常駐要件について、入居者の安全・安心及び居住の安定を十分確保することを前提としつつ、デジタル技術活用などを踏まえた見直しの検討を行います。
まとめ
高齢化が進行する日本。2022年からは人口ボリュームの大きい団塊の世代が後期高齢者となり、社会の負担も増加します。
介護保険制度が持続可能な制度となるよう人員配置の柔軟化は避けて通れない課題です。
介護現場から強い懸念の声が噴出している現状は理解できますが、変化させていかなければ課題の先送りだけになる恐れもあります。
コロナ禍で対面以外での事務作業も効率的に行われつつある中、直接介護以外の間接業務の見直しは急務だと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 給付費の抑制や人手不足対策として介護施設の人員配置基準の柔軟化が提言されればすぐに利用者団体から反対の声が上がります。 […]