このブログでは「介護役立つ情報」を紹介します。
介護保険制度は3年に1度改定されます。2021年改定で物議を醸しているデイサービス新入浴加算について現状について紹介します。
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2021年デイサービス入浴新加算 算定進まず
以下以前のブログ抜粋です。
今回の改定でデイサービスの入浴加算が実質マイナス報酬となりました。
在宅サービスにおいて利用者数もサービス利用額構成比の高いデイサービスは、改定の都度、新たな方向性が多く示されます。
LIFE科学的介護の予算捻出のためデイサービスの加算で算定が多い、入浴加算と個別機能訓練加算が狙い撃ちされた格好です。
第一段の改定情報で新入浴加算の説明が少なく、自宅での入浴の訓練が行えて初めた算定できると捉えるケアマネも多くいます。
その後制度設計の矛盾が多く寄せられ厚労省は4月26日にQ&Aで具体的事例を示しました。
介護情報 改定デイサービス新入浴加算 ケアマネの壁 抜粋
特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会が公式サイトで、会員を対象とした「加算算定状況調査」の結果を公表しました。
今年7月の実質サービス分による最新のデータです。
通所介護のデータでは、入浴介助加算を算定している事業所は全体の98.3%です。
その内訳は加算Iが88.2%を占め、新加算の加算IIは10.1%の算定にとどまっています。
地域密着型通所介護も同様の傾向があります。95.8%が入浴介助加算を算定していて、そのうち新加算の加算IIは10.2%にとどまっています。
入浴介助加算をめぐっては、今年4月の介護報酬改定で上位区分として「加算II」が新たに創設されましたが算定しにく状況が数字でも見えています。
これに伴い、従来区分の「加算I」の評価が10単位の引き下げとなった経緯があります。
入浴加算算定には入浴設備に莫大な初期投資が必要であり、加算算定ありきで初期投資している事業者の反発をかわす意味でも上位の入浴加算を創設した様にも感じます。
以下の淑徳大学・結城康博教授のコメントは現場感覚を理解された事業者の代弁となる具体的な根拠です。
自宅でお風呂に入れる人はできるだけ自宅で、という自立支援のインセンティブを設けたのは非常に良いことでしょう。
私が問題だと思うのは、既存の「加算I」の単価を引き下げたことです。
※ 新たな「加算II」は55単位/日。利用者が自分自身の力で、あるいは家族やヘルパーなどのサポートを受けながら、それぞれの住まいで入浴できるようにすることが目的だ。
この導入に伴い、従来区分の「加算I」は10単位減とされた。
当たり前のことですが、お風呂に入るためにはタオルや石鹸の用意、お湯はりなど事前の準備が欠かせません。
浴槽や排水溝などの掃除も不可欠で、日常的に相応の手間がかかるんですよね。通所介護のサービスにはこの部分も当然含まれます。
今回の見直しを考えた方々は、こうした生活感覚、現場感覚をしっかりイメージできているのでしょうか?
1人暮らしや老老介護の高齢者の場合、自力で体を洗うこと、お湯に浸かることが難しいだけではなく、必要な準備や掃除などができないケースも非常に多いです。
このため、「加算II」の自立支援の対象となる人はかなり限られるでしょう。
きめ細かい生活援助を十分に使えたり、家族の介護者がいたりすることが前提となるわけですが、そういう高齢者ばかりではないのが実情です。
通所介護としては、何もせずに大幅な減収となることだけは避けたいところです。
なんとか「加算II」を取得しようと考える(*)のですが、そこでケアマネジャーとの立場の違いが生じるのはやむを得ません。
淑徳大学・結城康博教授 JOINTコメント抜粋
新たに新サービス開設を希望する際、各市町において公募となるサービスも多くあります。
地域密着型通所介護においては募集受付を行わない市町も出てきています。
公募に応募する際、必ず必要な収支計画書を提出しますが、根本となる報酬単価が3年に1度変更される現状においては、大きな設備投資が必要な加算は慎重にならざる得ない状況です。
まとめ
11月8日に開催された「新しい資本主義実現会議」においても「看護、介護、保育などの現場で働いている人の収入を増やしていくため、公的価格のあり方の抜本的見直しを検討する」と明記されました。
「これに先立ち、経済対策などにおいて必要な措置を行い、前倒しで引き上げを実施する」と書き込まれ、経済対策は来週にも決定する見込みです。
人材不足の中、看護、介護、保育で働いている人への収入アップの施策は、業界関係者には望まれるとことですが、処遇改善が現行の制度より更に複雑になることを危惧する声も聞こえてきます。
職員の処遇面とコロナ禍で収益性が悪化した事業者への支援のバランスを取りながら持続可能な制度設計となるような抜本的な見直しを期待したいところです。
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