紹介本『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』

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この部屋から東京タワーは永遠に見えない 麻布競馬場

この小説はTwitterで凄まじい反響を呼び、NewsPicksのHORIE ONEに著者の麻布競馬場さんがゲストとして覆面で登場し、堀江貴文さんが番組で絶賛されていてので、読んみることにしました。

反響を呼ぶ本には、賛否もありますが、全てのストーリーを通じで漂う虚無と諦念は、今までの私の読書では感じたことのなっかた感覚でした。

NewsPicksのHORIE ONEで小説に出てくるキャラクターについて尋ねられ、著者は、東京で一人で飲みに行く機会に知り合う人との会話や観察から冷徹な視点で人間を捉え、アイデアやストーリーが湧き出てくるようです。

Twitterへの投稿も特にストーリーを先に考える訳でのもなく、思いつくままに綴られていく感覚だそうです。

また、堀江貴文さんとの対談では、「この本に出てくる人全員Newspicks読んでるのでは」や「港区に住んでる99%は東カレに載ってるような生活はできない」とも麻布競馬場さんは話しています。

著者は30歳。この本に出てくる人とまさに同世代で、慶応卒の勝ち組という感じの人でした。

本の出版に関しては、親にも伝えていないほど、覆面小説家の徹底ぶりですが、本書を読んでおそらく岡山か兵庫出身ではないかと、勝手に想像しています。

あらすじ

東京に来なかったほうが幸せだった?

「3年4組のみんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。大型チェーン店と閉塞感のほかに何もない国道沿いのこの街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話をします。」

(「3年4組のみんなへ」より)

「『30までお互い独身だったら結婚しよw』。三田のさくら水産での何てことのない飲み会で彼が言ったその言葉は、勢いで入れたタトゥーみたいに、恥ずかしいことに今でも私の心にへばりついています。今日は、彼と、彼の奥さんと、二人の3歳の娘の新居である流山おおたかの森に向かっています。」(「30まで独身だったら結婚しよ」より)

「私、カッパ見たことあるんですよ。それも二回。本当ですよ。桃を持って橋を渡ると出るんです。地元で一回、あと麻布十番で。本当ですよ。川面から、顔をニュッと目のところまで突き出して、その目で、東京にしがみつくために嘘をつき、人を騙す私を、何も言わず、でも責めるようにじっと見るんですよ。」(「カッパを見たことがあるんです」より)

14万イイネに達したツイートの改題「3年4組のみんなへ」をはじめ、書き下ろしを含む20の「Twitter文学」を収録。

amzon 紹介 抜粋参照

本書は、時間があれば誰でも簡単に読める内容なので、あまり詳しくあらすじを紹介しませんが、著者と同世代の20代30代で仕事や人生に悩みが多い時期に読むと爽快な気分になれず、何か気持ちが落ち込んしまうこともあると思います。

他者との比較による嫉妬や過剰な自意識などを少し斜に構えた表現で綴られています。

満たされない理想と現実の差を著者独特の表現で語られる内容に多くの人は、自らも思ったことがある心のもやもや独特の表現だと感じるかもしれません。

30前後で自分の人生を諦めている人々の様子を短編で記されていて、人生の不平等さや絶望が延々と綴られていて、元気になる本ではないですが面白いと思います。

SNSが日常となり、他人と自分を無意識レベルで比較してしまっています。それぞれの身近なコミュニティだけの世界観しか知らなければ感じない感情も多すぎる情報量から起こってしまいます。

直ぐに人とつながれてしまう事で他人ばかりが気になり、人間の幸福感を蝕んでしまっている側面もあるように思います。

20篇の登場人物の多くは、世間的には多くのひとから憧れられる学歴や職歴の人々です。

一般的に、「高年収な人がうらやましい」「もっとお金持ちになりたい」と考える人は多いでしょう。

お金と幸福感の関係についての研究結果に関しては下記の記事が有名です。

「年収が高い=幸せ」という考えは、多くの人が無意識に抱いています。

しかし、この思い込みに疑問を呈する研究があります。

2015年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のアンガス・ディートン教授は、年収と幸福度の関係について興味深い研究結果を発表しています。

この研究によると、年収が7.5万ドル(約800万円)を超えるとそれ以降は、年収と幸福度の相関があまり見られないというのです。

この研究結果をかみ砕いて説明すると、年収800万円までは年収が上がるに従い幸福度が上昇しますが、それ以降は年収が増えても幸福度はあまり変わらないということになります。

年収1,000万円を超えると「付き合う層が青天井になり、再び自分がみじめになる」「収入を安定して得ることが難しくなり、収入を維持する負荷・ストレスがかかる」と考察しています。

さらに、年収1億円の友人に関しては、「同じ感覚で対等に遊べる気の合う友人を見つけるのが大変」であり、「孤独」だと表現しています。

MUFG 記事 抜粋

他人との比較の人生では内面的に満たされないので、自らが欲することや興味があることに大切な時間を使いたいと思います。

多くの本に共通して書かれている人生を豊かにするのは「人に会うこと」「本を読むこと」「旅をすること」の中で読書が一番コスパがよく、時間的制限も低い行為です。

今回紹介した「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」面白いという意見と「最近読んだ本の中で最低、読まなきゃよかった。」という意見に分かれますが興味のある方は怖いもの見たさで是非手に取ってみて下さい。

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