介護 コロナ時代のフレイル予防の重要性

このブログでは「介護役立情報」を紹介します。

今回はコロナ時代のフレイル予防の重要性について紹介します。

目次

コロナ時代のフレイル予防の重要性

10月22日医療経済研究機構が”コロナ時代のフレイル予防”をテーマとしたシンポジウムをオンラインで開催されました。

そのシンポジウムの中で厚生労働省老健局の笹子宗一郎認知症施策・地域介護推進課長が講演し以下の様に述べられています。

「今後は介護予防、とりわけ早期の予防であるフレイル予防が果たす役割がより重要となっていく」。

国の推計によると、次の”政策ターゲット”と位置付けられている2040年には100歳以上の高齢者が30万人を超える。

85歳以上の人口も急増していく見通しで、要支援・要介護の人、そこまで至らなくても虚弱な人が多くなる懸念が強い。厚労省がフレイル予防の重要性を指摘する背景だ。

笹子氏は講演で、いわゆる”通いの場”の展開や社会参加の後押し、他産業との連携、保健事業の強化など、政府が進めている施策を横断的に紹介した。

そのうえで、「本来、長寿というのは素晴らしいこと。それぞれが生きがいを持って生涯現役で生ききる − 。そうした地域作りを進めていく」と説明。

「介護・福祉などの支援はもちろん、民間の活力もしっかりと活かしたい。地域づくり、生涯現役などの目標のもとで、全ての関係者がその力を結集することにより、明るい社会が構築できるのではないか」と述べた。

介護のニュースサイトJOINT抜粋

介護予防・フレイル予防とは

フレイルは、高齢期に病気や老化などによる影響を受けて、心身の活力(筋力や認知機能など)を含む生活機能が低下し、将来要介護状態となる危険性が高い状態です。

この状態は、図1にあるように、生活機能の自立度が高い「健康」と日常生活動作に障害がある「要介護状態」との間に位置しています。

したがって、フレイル予防は、より早期からの介護予防(=要介護状態の予防)を意味しており、従来の介護予防をさらに進めた考え方といえます。

また、介護予防・フレイル予防は、認知症予防に資する可能性があります。

東京都福祉保健局参照
フレイルと要介護状態、健康余命との関係/加齢が進むと体力や気力が弱まり始める。生活機能も低下することで、健康からフレイル、フレイルから要介護の危険性が高い状態が進む(葛谷:日老医誌(2009)の図をもとに北村・新開らが改変)
図1.フレイルと要介護状態との関係

介護保険制度が始まり20年が経過し多くにデータ抽出により早期にアプローチすることで、健康寿命が延びることも分かってきています。

例えば、歩行速度は、歩行能力を示す代表的な指標で主要な日常生活活動に反映され、転倒や虚弱と密接に関連する重要な評価として用いられています。

高齢者における介護・転倒・認知症の効果的な予防を図るためには、有害事象のリスクを早期に検出するためだけでなく、予防・改善の介入効果を客観的に判断する評価指標は重要となっています。

高齢者の歩行の特徴は?

高齢者の歩行の特徴としては、運動機能の低下により以下のことがみられます。

高齢者の歩行の特徴

・歩行速度の低下

・歩幅の低下

・歩行率(一定時間に何歩進んだか)の低下

・体幹が前傾する、円背となる

・股関節、膝関節、足関節の運動範囲が減少する

・筋力が低下し、足が上がりにくくなる

・下肢の支持時間(床に足底が着いて身体を支える時間)の減少

加齢と歩行能力の変化

歩行は日常生活動作において重要な機能であり、歩行能力の低下は日常生活動作(ADL)レベルの低下につながります。

歩行能力の中でもとくに、歩行速度は死亡リスクとの関連性も強く、高齢者の身体機能、日常生活機能の指標となります。

歩行速度が速いほど生活機能が維持しやすく余命も長いとされています1)

65歳以降では歩行速度は徐々に低下し、男性80歳以降、女性75歳以降になると日常生活に支障をきたすようになります。

女性では男性よりも5年早く歩行能力が低下し、それに伴い生活機能の低下もみられるようになります1)

歩行速度は加齢による筋力の低下、バランス能力の低下との関連がある他にも、高齢者での発症リスクが高くなる脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病、心臓血管障害、運動器疾患などとの関連もみられます1)

歩行能力と病気の関連(フレイル・サルコペニア)

歩行能力のうち高齢者の身体機能の指標となる歩行速度は、高齢者の生活機能低下に大きく関わるフレイル、サルコペニアの評価基準としても用いられています。

フレイルの評価として国際的によく用いられているFriedらのCHS基準をもとに、2020年、J-CHS基準が改定されました。

国立長寿医療研究センターによると、評価基準として、体重減少、疲労感、活量、握力とともに通常歩行速度1.0m/秒未満の場合という項目が挙げられています2)

また、フレイルに影響を及ぼすサルコペニアについてもフレイルと同一の歩行速度の項目が用いられています。

高齢者の日常生活機能の低下、健康寿命の減少につながるフレイル、サルコペニアは歩行速度の低下が大きく関与しています。

フレイル、サルコペニアに加えてロコモティブシンドローム(運動器障害によって起こる移動機能の低下)も歩行速度の低下をもたらす因子のひとつです1)

健康長寿ネット
歩行イメージ

運動介入によるフレイル・プレフレイル改善

昨新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策により、人が集まる場所を避ける必要があり、高齢者が以前のように「通いの場」などで活動をすることが難しい状況が続いています。

その結果、体を動かす時間の減少や、食事の偏り、会話機会の減少など、コロナ禍に伴った身体機能や認知機能に影響が出てきている高齢者が急激に増加していわゆるコロナフレイルです。

コロナを恐れてのデイサービスや通いの場への参加の中止がコロナフレイルに拍車をかけた状況です。

第5波が落ち着いた今、高齢者のワクチン接種も進み少しずつですが活動が始まっています。

フレイルに関しては以下のことが分かってきています。

1) フレイルは、加齢に伴って増加する
2) フレイルは、要支援・要介護認定のリスク因子の一つである
3) フレイルは、対面(遠隔を含む)の運動介入により、フレイル・プレフレイルは改善できる

今後85歳以上の人口が急増していく中、対面(遠隔を含む)の運動介入によりフレイル・プレフレイルを改善しなければ、要支援・要介護認定者が急増し、介護費は更に急増の一途をたどります。

厚生労働省「平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える- 」を元に作成

まとめ

増加の一途をたどる介護費を抑えるために、フレイル予防の重要性が注目されています。

2020年度から後期高齢者医療制度の健康診査において、健康診断とは別に後期高齢者質問票としてフレイルを含めた診断が開始されました。

しかしながら、現在自治体より提供しているフレイル診断は後期高齢者のみです。

もう少し早い時期からのアプローチが必要です。

また、診断結果を活用し、フレイル・プレフレイルの方に運動介入を行い、健康状態への改善を目指すところまで実施できている自治体はあまり多くありません。

そんな中、日経新聞の2021年10月27日の記事によるとマクニカが、フレイルの初回スクリーニングを自治体向けに無償提供を発表しました。

マクニカHP プレス情報

国が進める「通いの場の概念」は素晴らしいものですが、運営主体が住民であることなどスピード感がないことは否めません。

この度のコロナで課題も多くありましたが、オンライン診療や遠隔で行える運動介入などテクノロジーが高齢者の社会課題を解決する技術も多く一般化しました。

今回のマクニカさんの初回スクリーニングの無償提供など官民一体となり、超高齢化のスピード以上にテクノロジーで解決していってほしいものです。

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