このブログでは「介護役立情報」を紹介します。
厚生労働省は11月2日に令和2年度介護給付費等実態統計の概況を発表しました。
その統計によると全国の居宅介護支援事業所数が3年連続で減少していることがわかります。
居宅介護支援事業所大規模化へシフト
前回このブログでは令和2年度介護給付費等実態統計からでコロナ禍で通い系サービス初の減少のデータを紹介しました。
この介護給付費等実態統計から給付に関する多くのデータを読み解くことができます。
今年4月審査分で全国に3万8318事業所の居宅介護支援事業所が請求業務(実質稼働)を行っています。
前年同月から居宅介護支援事業所数は556事業所が減った状況です。
近年の事業所数の推移は以下のグラフの通りで2018年をピークに減少が続いています。
以前から紹介してる通り居宅介護支援事業の経営は「特定事業所加算」を算定しなけらば事業は安定しません。
特定事業所加算の算定要件
以下は今回の改定で新たなに追加された特定事業所加算 (A) の算定要件です。
特定事業所加算(A)の算定要件
- 常勤専従の主任介護支援専門員を1名以上配置していること。
- 常勤専従の介護支援専門員を1名以上配置していること。
- 介護支援専門員を常勤換算方法で1名以上配置していること(他の事業所との兼務可)。
- 利用者の情報やサービス提供上の留意事項などの伝達を目的とした会議をおおむね週に1回以上、定期的に開催していること。
- 24時間連絡体制を確保し、必要に応じて利用者等からの相談に対応できる体制を確保していること(他の居宅介護支援事業所との連携で満たすのも可)。
- 介護支援専門員に対し、計画的に研修を実施していること(他の居宅介護支援事業所との連携で満たすのも可)。
- 地域包括支援センターから支援困難事例を紹介された場合でも、対応できること。
- 地域包括支援センターが主催する事例検討会に参加していること。
- 運営基準減算、特定事業所集中減算が適用されていないこと。
- 介護支援専門員1人あたりの利用者数が40名(居宅介護支援費Ⅱを算定している場合は45名)未満であること。
- 介護支援専門員実務研修における科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」等に協力または協力体制を確保していること(他の居宅介護支援事業所との連携で満たすのも可)。
- 他の法人が運営する居宅介護支援事業所と、共同で事例検討会、研修会等を実施していること(他の居宅介護支援事業所との連携で満たすのも可)。
- 必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること。
従来の特定事業所加算で算定しやすかった特定事業所加算Ⅲは常勤主任ケアマネ1名と常勤専従の介護支援専門員を2名以上が常勤主任ケアマネ1名と常勤専従の介護支援専門員を1名以上と更に算定しやすくなっています。
加算単価は特定事業所加算 (A)が100単位で特定事業所加算Ⅲが309単位なので大きく収益に違いがあります。
それでも方向性としては、居宅介護事業所の運営は複数のケアマネが独立・中立性を担保出来るしくみへと変化していっています。
まとめ
介護保険制度が施行されてから何らかの介護サービス事業所を経営している法人が併設で居宅介護支援事業所を運営するモデルはあります。
居宅介護支援事業所が公正・中立を担保する為、特定集中減算や、ケアプラン検証などの監査チェックと事業の安定性の為の収益性は重要ない視点です。
居宅介護支援の単体の経営は「特定事業所加算」を算定しなければ苦しいことから、体力のある法人はケアマネの増員による事業の安定性、収益性を更に進めていきます。
その事で中規模化、大規模化への集約が更に進み個人事業主レベルの一人ケアマネでは、運営が難しくなっていくことも想像できます。
スケールメリットを活かそうとする動きは、今後も更に加速し、地域によっては中規模化、大規模化に向けたケアマネジャーの確保競争が激しくなることも予測されます。
昨年度の居宅介護支援の費用額は4883.1億円で前年度から114.8億円増加しています。
居宅サービスを利用する利用者も前年度より3.4万人多い367.4万人と増えているいることから、居宅事業所数は減少しながらも受け入れ体制は整えれていることが伺えます。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] このブログで紹介した「居宅介護支援事業所数3年連続減少!」の遠因には、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の処遇に課題があるように思います。 […]