2024年度の介護報酬改定 マイナス予測からプラスへ反転か?

このブログ「介護情報」では、介護に関する時事ニュース情報もお伝えしています。

2021年度の介護報酬改定は大幅マイナス改定予測でしたが、コロナによる影響を踏まえ先送りされました。

7月のこのブログでは、「2024年度の介護報酬改定 大幅マイナス改定予測」と題して、大幅マイナス改定予測の理由を紹介しました。

今年10月の介護・障害の「介護事業経営実態調査」の結果を公表され、昨年度の利益率が、前年度より0.4ポイント下がっていることが明らかになり、処遇改善を含めたプラス改定に向けた声が大きくなってきています。

今年度介護事業経営実態調査結果

以下の調査結果は昨年度の決算の動向を把握するものです。

実態調査は今年の5月に全ての介護保険サービスを対象に実施されています。

調査結果は11月10日の第38回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会に報告されています。

JOINT 情報


調査結果では施設系サービスの収支差率の落ち込みが目立ちます。

特に特別養護老人ホームと介護老人保健施設が制度が始まって以来マイナスとなるのは初めての事です。

光熱費をはじめとする物価の高騰、人件費の上昇などの影響を非常に大きく受けています。

特定施設やグループホーム、ショートステイなどもプラス収支ではありますが前年対比では収益は悪化しています。

武見敬三厚生労働相は11月14日の閣議後記者会見で、介護施設・事業所の目下の経営状況が「非常に厳しい」との見解を表明しました。

武見厚労相はこの要因について、「介護報酬が公定価格である一方、社会全体として物価や賃金が上昇し、支出のうち光熱水費や人件費が大きく増加したことが、特に収支差に影響を与えているものと考えている」と説明しました。

「入所施設を中心に非常に厳しい経営状態が明らかになった」とし、こうした認識を持って来年度の介護報酬改定をめぐる協議に臨む構えをみせています。

介護職ベースアップ加算更に6千円賃上げ決定!

政府は11月10日、来年2月から介護・障害福祉職員の給与を平均で月6000円引き上げる方針を正式に決定しました。

今年度の補正予算案の活用から前回同様、まずは補助金を交付する方針です。

その後、介護報酬の既存の「ベースアップ支援加算」に上乗せする形をとなります。


現行の要件を踏襲し、交付額の3分の2以上をベースアップに充てるよう求めることを想定し、他職種への柔軟な配分も認めていくととなります。

今回の補正予算は介護職員の不足が深刻化していることを踏まえた措置ですが、必要な人材を確保するためには規模が不十分という声もあります。

「介護職員の処遇改善は、ここ10年ほどにわたる国の累次の施策で一定の進展がみられた。

しかし、昨年来の他産業での賃上げに伴い、その処遇改善が相対的に帳消しされた形となり、介護分野からの人材流出の報告も多くなっている。

更なる処遇改善は不可欠であり、それを早急に政策化することが重要だ」と指摘。

「月額6000円という金額は、現場にとっては物足りないという感が否めないだろう。

ただ、財政規模がさほど大きくない補正予算案の中で、政府が介護職員の処遇改善のための費用をひとまず確保した姿勢は評価できる」と述べた。

東洋大学の高野龍昭教授

「政府の対応は評価できる。ただ、これで今の介護業界からの人材流出に歯止めがかかるかというと、残念ながらそうではないと言わざるを得ない」と主張。

「焦点は来年度の介護報酬改定に移る。

ここで更なる賃上げ、基本報酬の引き上げを打ち出せなければ、介護業界への評価はむしろ下がってしまう。

期待外れの感が高まり、人材流出が更に進んでしまうのではないか。

今回の6000円増で終わる、というのが最悪のシナリオ。

次の改定で追加策を打つことが絶対条件となる」と話した。

淑徳大学の結城康博教授

ベースアップ加算の増額だけでは、介護事業者の運営状況が改善される訳ではなく、基本報酬の引き上げは、必須要件となります。

介護事業経営実態調査は、事業者の有効回答率が全体で48.3%という低い数字は、事業者の厚労省への不信感の表れのような気がします。

これまでも、企業努力による収益構造の高いサービスが狙い撃ちで報酬単価が引き下げられてきた経緯があり、調査に協力しない、又は厚労省の委託アンケートが多過ぎる為、業務負担になっている現状もあります。

ICT等の活用による大幅な人員配置の緩和と基本報酬の大幅引き上げと企業の統廃合の緩和策が課題解決に必要と思います。

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