紹介本 『面白いほどよくわかる!心理学の本』

目次

面白いほどよくわかる!心理学の本/ 渋谷昌三 / 西東社

この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したいと思っています。

今回は以前に紹介した齋藤 孝さんの「大人のための読書の全技術」で以下のように紹介されていたので購入しました。

私は、図解シリーズの本がけっこう好きです。

体系的に知っておきたい学問分野を、短時間で学んだり、おさらいしたりするときに、とても便利だからです。

そして、社会人であれば、心理学が全体的にどうなっているのかというのは、知っておくべきだろうと思います。

この面白いほどよくわかる!心理学の本』は、その点よくできていて、入門書として安心しておすすめできます。

心理学の基本から、人づき合いの心理学、フロイトやユングなど主だった心理学者の理論のおさらい、あるいは脳と心の関係、様々な心理療法などなど、心理学に関わる重要事項を、全般的に押さえてあります。

このような図解シリーズは、図が多いため読みやすく、目次も詳細なので検索性にも優れています。

大人のための読書の全技術 p285-286抜粋

人間の心を科学の目で研究する

体系的に書かれているこの本は冒頭ででそもそも「心理学」とは何かから始まります。

心理学(Psychology)という言葉は、1590年にドイツの哲学者ルドルフ・ゴクレニウスの論文の題名として使われたのが最初と言われているようです。

日本で言えば豊臣秀吉が戦国時代を統一した時代に心を学問として論理的に研究し、科学的に「心のしくみ」を解き明かすことを目的にしていたとは驚きです。

心の研究を古くは古代ギリシャの哲学者アリストテレスが「精神こそ研究意義の最も高いものである」と言葉を残すほど西洋の学問の奥深さを感じます。

その後心理学は実験や観察、面談、病理学などさまざまな観点から実証を重ねることで多くの心の謎を解き明かしてくれています。

現在の社会状況の不安定さ、先行き不透明な生活への焦燥感、生きにくく感じている人が多くなるほど心理学を学ぶ人も増えていっています。

心理学を学ぶことで他者や自分の気持ちを論理的、客観的に理解することで身近に経験する事柄も楽しみながら紐解いていけると感じます。

体系的に理解が深まる構成

社会人として心理学を全体的にどうなっているのかということを理解することで興味深い分野を更に深堀りしていくことが出来ます。

以下はこの本が8つのパートに別れているその大テーマです。その大きなテーマから自分が興味を持つもから読み始めることもできます。

  1. 心理学って何?
  2. 人づき合いの心理学
  3. 心理学者で読む心理学
  4. 人間の成長で見る心理学
  5. 組織の中の人間行動
  6. 元気をなくしたときの心理学
  7. 心を生み出す脳のシステム
  8. 性格と深層心理の分析

いかがでしょうかタイトルを見ただけでそのパートを読んでみたくなりませんか?

人づき合いで悩んでいるときは、パート2から、会社で部下を初めて持ったときにはパート5から、最近落ち込んでいる自分がいればパート6から読み進めることが出来ます。

各パートの中にはおよそ10〜20ぐらいのテーマで1つのテーマはおよそ2ページぐらいなので、1日1テーマを見るだけでも理解が深まると思います。

今回は組織の中の人間行動について少しだけ紹介します。

組織の中の人間行動

集団心理学

反対意見が言えなくなる集団思考と不敗幻想

同調圧力については「同調圧力の正体」という本でコロナ禍での行き過ぎた同調圧力についても紹介しました。

日本では他国と比較しても同一民族や地理的島国という特徴からも集団思考が働きやすい環境です。

この本では集団思考の研究で有名なアメリカの心理学者ジャニスについて紹介されていました。

集団思考において一番大きく働く力を不敗幻想と呼び、自分が所属している集団こそ力があり、個々人もそのために必死で働いています。

だからこそ私達の集団はどんなことでも乗り越えていけるという幻想です。

不敗幻想がその集団を支配すると、集団の結束を乱すような反対意見が言えなくなっていきます。

常に全員一致が原則となり、新たな問題が発生したときの対応が遅れ、良い対策案あっても多数決で否定されるリスクが発生します。

最悪の場合、群衆による集団暴行やリンチ事件を引きおこす事態に発展します。

他人同士で構成されて集団であれば責任感も薄れ、誰もが同じことをしている、悪いことではないと思っています恐れがあります。

このことを普通感というそうです。

リーダーの心理学

理想のリーダー像をPM理論で検証

組織と呼ばれる集団にはほとんどの場合リーダーが存在します。

このリーダーの能力いかんによって、組織が受け取るメリットの大小が決まります。

歴史の名将についての歴史小説や優れた経営者のビジネス書などから学ぶ手段もあります。

心理学の視点から心理学者の三隅二不二さんはPM理論を用いてリーダーの行動特性をタイプ化することもできます。

PM理論とは

PM理論とは、リーダーが取るべき行動に着目した行動理論の1つで、リーダーシップ行動を、「P:目標達成機能」(Performance)を重視するか、「M:集団維持機能」(Maintenance)を重視するかという、「P」と「M」の2軸で定義するものです。

この「P」と「M」の機能について詳しく見ていきましょう。まず、P機能(Performance function:目標達成機能)とは、成果を上げるために発揮されるリーダーシップのこと。目標設定や計画立案、メンバーへの指示などによって目的達成、課題解決を図り、業績や生産性を高める機能を指します。例えば、「納期を厳守するために細かく進捗を管理する」「ルールや規則を守るために、厳しくメンバーを指導する」といった行動が挙げられます。

またM機能(Maintenance function:集団維持機能)とは、企業や組織といった集団をまとめるために発揮されるリーダーシップのことで、人間関係を良好に保ち、チームワークを維持・強化する機能を指します。具体的には、「メンバーや部下一人ひとりを気づかい、積極的に声をかける」「メンバー間に対立が生じた場合に、その解消に向け積極的に関与する」などの行動が挙げられます。

株ラーニングエージェンシーHP抜粋

まとめ

150以上のテーマから2つのみを紹介しました。

1つのテーマでも面白いと思えば、そこから専門書にたどり着いてもいいですし、インターネットで気軽に検索することも出来ます。

効率的に心理学を学ぶには学生にもおすすめできる内容です。

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