紹介本『天才たちの未来予測図』

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天才たちの未来予測図 / 高橋弘樹 (編著),斎藤幸平,小島武仁,内田舞,成田悠輔

今回紹介する本は今年2月でテレビ東京を退社された高橋弘樹さんが手がけた『日経テレ東大学』に出演された世界が認めた4人の若き天才が「これからの日本がどうなっていくか」について最先端の知見を元に答えています。

成田悠輔

日本の教育と民主主義が機能不全を起こしていることを指摘し、データとアルゴリズムの力を使って、社会制度を新たな形に組み替えていく重要性について述べています。

このブログでも「紹介本 『22世紀の民主主義』」で成田さんの著書を紹介しています。

『「わけがわからない人間」が輝く時代』

・「何をやっているかよくわからない」が理想
・教育は「個別最適化」されていく
・もう「逆張り戦略」しかない
・民主主義を解体構築する
・人が猫に仕える未来?
・「何の意味のないこと」に精を出す

一部抜粋

「今の仕組み、ルールは本当に意味があるのだろうか」という素朴な疑問について、データ分析を使って問い直し、答えを出していくのです。

データの分析によって、私たちが当たり前に受け入れている常識が間違っていることに気づくことができるのです。

常識を壊したうえで、社会制度や資源配分の仕組みをゼロベースで虚心坦懐に考え直していく。

斎藤幸平

資本主義下で格差と環境問題が深刻化する世界に警鐘を鳴らし、「脱成長」経済を実現させていくことで、本当の豊さを手に入れるよう述べています。

このブログでも「紹介本 『人新世の資本論』」で斎藤さんの著書を紹介しています。

『資本主義から脱成長コミュニズムへ』


・「限界」を迎える資本主義
・ソ連の問題点
・「科学技術がすべてを解決する」という幻想
・「脱成長」から始まる未来
・世界を救うマルクスの「コミュニズム」
・「人新世の危機」を乗り越える

一部抜粋

地球を犠牲にしながら、富める者たちが、より富むようになっていくという資本主義の仕組みは「限界」を迎えつつあるのです。

マルクスが直面した課題は「格差」と「環境問題」を、「同時に」解決する道を探さなければならないことです。

世界一の経済大国として大きく発展しているアメリカに日本よりも貧しい人が大勢いるということは、もっと抜本的に社会の仕組みそのものを変えなければいけない

小島武仁

待機児童問題や企業の配属ミスマッチなど、日本社会で生じているさまざま歪みを、人や資源を最適に組み合わせルことで解消していく「マッチング理論」の可能性について語っています。

『世界の歪みを正すマッチング理論』

・社会問題を「疑似市場」で解決する
・「ミスマッチ」をなくし「満足度」を高める
・「最高の人事制度」もデザインできる
・「GLAY」から研究者の道へ
・日本の未来は「意外と悪くない」

一部抜粋

「マッチング理論」では、いわば資本主義と社会主義のミドルグランドで制度を組み立てています。社会主義的に分配が行われる仕組みに対して、資本主義的な擬似市場を取り入れることでより良い制度になるよう調整していくのです。

アルゴリズムを使うメリットの1つは、煩雑な割り振り作業をすばやく終わらせることです。

内田舞

長引くコロナ禍により、人々のメンタルヘルスが危機に陥っていると述べ、先行き見えない状況でも、自分の心を守っていくために、「再評価」という心理アプローチを掲示しています。

『withコロナ時代の「心の守り方」』

・「社会正義」としての小児精神科医
・ネガティブな感情を書き替える「再評価」
・コロナ禍で「心のバランス」を崩す子どもたち
・アメリカ社会の「キャリア」と「育児」
・事実を“そのまま受け入れる”思考法

一部抜粋

うつ病の遺伝子要因を持つ子どもは、脳の動きとして、外界からの刺激に対して負の感情を持ちやすくなっているのです。

再評価という心理的アプローチはネガティブな感情を生じたときに、その状況や感情自体を客観的に整理して、「今、私はこの気持ちを感じる必要があるかな」や「ここから私は気持ちを変えれるかな」と立ち止まって考えてみる手法です。

再評価は練習を繰り返すとだんだん上達していくことがわかっています。実際に、再評価を繰り返し練習し、できるようになってきた人の脳をMRIでスキャンすると、はじめの頃より、前頭前野と扁桃体の動きのコラボレーションが活性化しているのです。

「未来への指針」を示す新時代の羅針盤

世界の超一流大学で活躍している研究者たちは、今、何を考えどう行動しているのかという疑問が本書誕生のきっかけと(編著)の高橋弘樹さんは語ります。

本書に登場する4人は最先端の科学を用いて遥か彼方の未来を見据えています。

社会に関しては、ビジネスデザインのような身近なものから、国家のあり方といった大きなものまで、ミクロ・マクロ、個人・社会を縦横無尽に、自由に論じられた本書は読み応えのあるものでした。

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