介護 福祉用具のみのプラン報酬減に介護支援専門員協会が財務省に反論

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このブログで紹介した審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)の会合で提言された「ケアプラン有料化」と並びインパクトのある「福祉用具のみのプラン報酬減」に対して日本介護支援専門員協会が強く反対を表明した内容を紹介します。

目次

財務省 審議会提言内容

審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)の会合資料「資料1 社会保障p79」によると、福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行うなどサービスの内容に応じた報酬体系とすることを提言しています。

その提言に至る根拠として、「ケアマネジメントの公正中立性を確保するための取組や質に関する指標のあり方に関する調査研究報告書」の資料が添付されています。

ケアマネへのアンケートで「本来であればフォーマルサービスは不要と考えていたが、介護報酬算定のため、必要のない福祉用具貸与等によりプランを作成した」という問いに、よくある・ときどきあるが約15%ありました。

また、令和2年度予算執行調査によれば、福祉用具貸与のみのケアプランの割合は6.1%という数字も示しています。

財務省の提言は、右肩上がりの給付費、40歳以上の保険料の抑制につなげることが狙いです。

今回の提言は幅広く、2024年度の制度改正・報酬改定をめぐる争点の1つとなっています。

第3回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会

令和4年4月21日に「第3回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」が開催されました。

前回に引き続き、主な検討事項のうち、「福祉用具貸与・特定福祉用具販売の現状と課題を踏まえたあり方の検討」の5つの論点について議論が行われました。

介護支援専門員協会協会は会合で、会員のケアマネジャーを対象として先月に実施した調査の報告書を提示しています。

現場で活躍する545人の回答を集約した主な結果として

  • 給付管理を必要とするサービスが福祉用具貸与だけの利用者も、他に給付管理外のサービスを受けているケースが多い。
  • 給付管理上は福祉用具貸与の単独利用であっても、実態は多様な福祉用具の選定・組み合わせによる効果の検討、利用実態の把握、給付管理外のサービスの調整など、複雑な支援が展開されている。

介護保険サービス上は単独利用であってもケアマネジメントから見ると複数のサービス等を組み合わせて支援されているケースが多いことを示す調査結果の説明しています。

「福祉用具貸与サービスの単独利用という結果ありきで考えるのではなく、ケアマネジメントのPDCAの中で福祉用具が利用者の自立支援に資するものになっているかを議論すべき」と強調しました。


また、「介護支援専門員は福祉用具販売のみの利用者に対しても、利用者の自立支援のため継続的にサポートを無報酬でも行っている実態も紹介し、この点も再度議論すべき」との意見も述べました。

そのうえで、「かかりつけ医や医療・保健・福祉の専門職の関わりを常に調整し、客観的な視点から状態把握を行う介護支援専門員によるケアマネジメントの重要性は、結果として給付管理上の福祉用具貸与の単独利用だったとしても、決して軽んじるべきではない」と訴えた。

会合に参加した協会の七種秀樹副会長は、

  • 「ケアマネジメントによって多角的な評価や分析、協議が繰り返されながら高齢者の支援が行われる。」
  • 「その結果として、最終的に福祉用具貸与だけの利用になると解釈すべき。」
  • 「単に福祉用具貸与だけだから、という結果論に絞った議論は非常に危険」と指摘しました。
  • 「(給付管理を必要とする)サービスが1つだから支援が単純で、複数だから複雑になるというのは机上の話。現実をしっかり踏まえて議論すべき」と批判しました。

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国際医療福祉大学大学院の石山麗子教授は介護のニュースサイトJOINTのインタビューで以下のような主旨で述べられて7います。

かつて居宅介護支援の基本報酬は、ケアプランに位置付けられたサービス種別の数の多寡によって評価された時期があった。

サービス種別が多ければ手間がかかるという考えに基づく。

この方式はわずか3年間で終わり、現在に至っている。

現在の基本報酬は、プロセスと手間を評価している。

つまり、財政制度分科会は、福祉用具貸与のみのケースでは、手間は少ないという評価なのだろう。

これはケアマネジャーの感覚とは乖離があるようだ。

ケアマネジャーは、他法に類をみない役割を果たしている。

(1)定期的に、

(2)居宅を訪問し、

(3)生活全般に目を向けている。

家に入れば本人や家族から語られずとも生活実態は目に入ってくる。

面談をすれば家族も含めた生活課題が浮き彫りになる。

JOINTのインタビュー 抜粋

石山麗子教授の主旨の通り、在宅支援の視点で利用者本人や高齢の家族への支援等介護支援専門員の業務は労働集約的産業の中でも請負型と捉えたとしても時間単価は低いように思います。

まとめ

財務省の提言は右肩上がりの給付費、40歳以上の保険料の抑制につなげることが狙いであるこは理解できます。

ケアプランの自己負担や福祉用具のみのプラン報酬減は、2024年度の制度改正・報酬改定をめぐる争点の1つとなっています。

報酬減の視点のみでなく、利用者の自立支援のため継続的にサポートを無報酬で行っている状況など処遇改善やケアプラン料の有り方の見直しも必要と感じます。

給付抑制の視点であれば現在厚労省が進めているケアプランチェックにおいて精査する方向が正しいあり方のように感じます。

ケアプランチェックに予算をかけることが難しいようであれば、地域包括支援センターのように居宅介護支援事業所を委託事業とし、全額公費で運営する方向もあると思います。

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