このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選びや介護の仕事情報等を紹介します。
新政権の目玉政策として「介護職の賃上げが新政権の重点政策」についてこのブログで紹介しました。
今回は介護職の賃上げに関して、前回紹介した多職種も対象で検討されている議論等に続ぎ現行の処遇改善加算に関しても不協和音の懸念について紹介します。
各種団体による処遇改善要請
前回のブログ「介護職の賃上げ多職種も対象で検討開始」では全国介護事業者連盟による要望書を紹介しました。
その後18日には、日本デイサービス協会が岸田政権が約束した介護職の賃上げについての声明を公式サイトにアップしました。
同じく日本介護支援専門員協会も18日、岸田政権が打ち出した介護職の賃上げについての追加要望書を厚生労働省に提出しました。
日本デイサービス協会声明要旨
①【介護事業者の分配裁量権について】
従業員の給与規定に関する事項は資格のみならず人材の能力評価をしっかり反映させることが必要。
また、介護現場においては多職種によるチームケアが中心となるため職種に限定された処遇改善は、公平性の観点から現場に大きな不協和音を招いている。
限定的なルールではなく事業者の分配裁量権の拡大を求める。
②【手続きの簡素化および事務負担の軽減について】
「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」については複雑かつ現場における事
務作業量は膨大であり、小規模事業者についてはそれを理由に手続きできないという声が上がっている。
都道府県、市区町村と管轄保険者によるローカルルールも発生してこれも事務負担の要因にもなってい
る為、処遇改善施策の検討と共に更なる負担軽減になることを求める。
③【総合事業における処遇改善加算について】
利用者の自立支援と介護予防の観点から、総合事業を併設して行っている通所介護事業は多く、デイ
サービス介護従事者は兼務体制が大半をしめている。
しかしながら、市区町村管轄の総合事業においては処遇改善加算を設けていないところが多数であり、現在の「処遇改善加算」や「特定処遇改善加算」については、介護報酬に一定の率を乗じて配布される仕組みでは十分な原資が確保できない。
総合事業においても処遇改善加算の標準化を求める。
日本介護支援専門員協会要望書 要旨
介護支援専門員の業務が拡大している中で、人材の確保は深刻な状況になっております。
その一因として業務量と賃金の不均衡は言われてきているところです。
業務に見合う処遇の問題が放置されれば、介護支援専門員及び主任介護支援専門員の人員確保、さらに優秀な人材の確保は困難になるのではと危機感を抱いております。
つきましては今般、介護職等の収入増加を目的として公的価格評価検討委員会が設置されると聞き及んでおります。
居宅介護支援事業所をはじめ、各種の事業所施設に勤務する介護支援専門員がより質の高いケアマネジメントができる環境作りが、必要と考えます。
このため、介護職の収入増加に関連して公的価格評価検討が行われるにあたり、介護支援専門員も同評価検討対象職種に加えていただくことを強く要望いたします
介護職等の公的価格評価検討対象職種への追加要望 抜粋
前回、処遇改善加算等における事務作業量は膨大について紹介しましたが、今回日本デイサービス協会が指摘した小規模事業者が加算算定できない状況や職種で支給されない加算は公平性の観点からも課題があります。
処遇改善における交付金から処遇改善加算への一連の制度改正で一般報酬単価にくみいれされず、事業者が賃金以外の運営原資に使用できないしくみは一定の成果となっています。
限られた財源の中スタートした特定処遇改善加算は、経験・技能のある職員に重点化を図り2019年10月1日に創設され、勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うと報道されました。
実際には、介護職員の平均賃金は毎年上昇しているものの、全産業平均賃金と比較すると、令和元年時点で8.5万円下回る結果になっています。(社会保障審議会介護給付費分科会調べ)
人員基準や加配による加算は人手による報酬根拠の為一人一人の賃金アップには繋がりません。
勿論厚生労働省においても「介護分野における生産性向上について」取り組みを行っています。
生産性向上と人員基準の緩和政策を両立させ、一人あたりの可処分所得のアップに繋げていって欲しいものです。
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