このブログでは「介護役立つ情報」を紹介します。
今回はテクノロジーで介護食を変化させ、「食べたい」という気持ちを刺激する料理について紹介します。
そもそも「介護食」って何だろう?
介護食は、食べ物を口に入れてから胃に至るまでの「摂食・嚥下」の難しさによって、「介護食」「嚥下食」「嚥下訓練食」に分かれています。
また、市販の介護食でよくみる分け方として、UDF(ユニバーサルデザインフード)が決めた4つの区分があります。
- 容易にかめる
- 歯茎でつぶせる
- 舌でつぶせる
- かまなくてよい
さらに、噛む力・嚥下のしやすさによって「きざみ食」「ミキサー食」など、調理方法も区分があります。
「食べたい」という気持ちを刺激する料理
介護食をつくる際、「嚥下(えんげ) 機能が低下した方の食事にはとろみ剤を入れ、飲みこみやすくする」というのが、介護業界では半ば常識のようになっています。
しかし、使いすぎると素材の味よりもとろみ剤の味が主張してしまい、素材本来の美味しさが失われてしまいます。
とろみ剤の使いすぎによるデメリットも正しく理解することで、「味を損ねずに飲みこみやすくするにはどうすれば良いか」という思考に変化し、代替え手段の考案など調理の幅も広がっていきます。
ケア家電「デリソフター」
パナソニック家電部門の社員が2019年に創業したスタートアップ「GIFMO(ギフモ)」が圧力鍋と隠し包丁のように食材の繊維を切る独自開発器具を組み合わせた「デリソフター」を発売しました。た
見た目や味を変えず、飲み込みやすさを追求した調理家電です。
Bloombergの記事によると、一般家庭や介護施設、病院、レストランで使用され、初年度の販売実績は500台で2021度以降は数倍ペースで増やし、早期黒字化を目指している様です。
特 徴
美味しさも見た目もそのまま。
愛情のこもった手料理や大好物のお惣菜も
かんたん操作でやわらかく調理。家庭料理や市販のお惣菜、冷凍食品など、出来上がった料理を美味しさと見た目はそのままに“やわらかくする” 調理器です。
高齢の方や、病気やケガで噛む力、飲み込む力が弱くなった方入れ歯などで今までの料理がかたいと感じられている方にも、家族や友人と同じ食事がとれる毎日を送っていただけます。
デリソフター HP
美味しさも見た目変えない “独自の技術”
『 隠し包丁 × 圧力と蒸気の力 × “やわらか科学” の掛け合わせ 』食材毎に最適なやわらか調理時間を設定
余分な熱と時間を加えず味・見た目をキープする。食材の形を崩さず、筋切りと穴あけ加工跡目立たせず、
デリソフター HP
見た目そのままで 72刃の隠し包丁を入れる“デリカッター”(特許出願中)。
肉など、食材の繊維を細かく分断すると共に、
熱が通りやすいように食材中心部向かって熱の通り道(穴)を作ります。
16年にデリソフターの原案を考えたのは、パナソニックの調理家電工場で働いていた小川恵さん、水野時枝さんの2人の女性だ。
小川さんは、嚥下(えんげ)障害を患った父親の食事作りに頭を悩めていた。
市販食は1食1000円近くと高額で、飲み込みやすい食事を自ら時間をかけて作ったが、「こんな餌みたいなものを食べれらるか」と父親に拒絶され、介護を投げ出したい気持ちになったと当時を振り返る。
一方、水野さんに介護の経験はないものの、116歳まで他の家族と同じ食事をしていた祖母の姿を見て、「家族全員で同じものを食べる幸せ」を感じていた。
小川さんの話を聞き、自分たちが携わる家電で何か役立つことができるかもしれないとの思いが芽生え、製品化を決意したという。
2人は、家電事業を手掛けるパナソニックアプライアンス(AP)社(現くらし事業本部)が新規事業創出のためのコンテストを行うことを知り、材料を入れてボタンを押せば介護食ができる「万能鍋」の計画書を書き上げた。
プレゼンテーションは経営幹部の心をつかみ、事業化への挑戦が認められた。
Bloomberg 記事抜粋
まとめ
高齢者や嚥下機能等の障害がある方であっても、食事の見た目等食欲には欠かせない働きです。
見た目も味も大満足の料理で高齢者の健康をサポートすることが介護食の役割です。
1日3回の食事作りにその方の状態に合わせて作ることは大切ですが、忙しい毎日調理される方の負担も大きいです。
また、きざみ食は噛む力が弱くなった方向けに食材を細かく刻んだ食事で必要な調理法ですが、見た目が通常の食事とは異なるので、気にされる方もいます。
新しい技術で美味しく、優しく、見栄えのいい料理を提供される機器がこれからも増えることに期待したいと思います。
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