介護施設 感染拡大による必要な支援策を老施協が要請!

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現在新型コロナウィルス(オミクロン株)感染拡大により介護現場が逼迫している中、全国老人福祉施設協議会は、高齢者の”利用控え”に苦しむ通所介護への補償等要請を行いました。

その具体的内容や現状を紹介します。

介護施設における感染対策のヒアリング

以下は全国老施協が発行する老施協JS-Weeklyの号外の抜粋です。

令和4年2月28日に開催された自民党社会保障制度調査会介護委員会で介護施設における新型コロナウイルス感染症対策について各団体からのヒアリングが行われ各団体が要望や現状を伝えた内容です。

(1)高齢者介護施設ではクラスターが急増しているが、その背景には新型コロナの感染者が発生した介護施設が施設内療養を余儀なくされ、しかもそこに医療が届いていないため、感染疑いのある濃厚接触者が感染者をはじめとする利用者の介護を続けざるをえない実態があること。

(2)感染者の入院原則ややむを得ない場合の医療体制整備などの遵守事項の徹底を求めること。

(3)集中的検査や抗原検査キットの確保を求めること。

(4)デイサービスセンターにおける利用者減の場合の経営補填や、入所施設並みの支援を行うよう求めること。

修光参議院議員(本会常任理事)からも、次の点について強く訴えました。

(1)介護保険の基本報酬は0.7%であったが、そのうち0.1%はコロナ対策分として昨年9月分まで措置され、その後12月まで補助金が措置された。

しかしそれ以降の第6波は第5波とは比較できないほど感染が拡大しているのに措置がなく、改めてしかるべき措置を行うべきだ。

(2)施設内療養の30万円や濃厚接触者の待機解除のための検査の行政検査扱いは、まん延防止措置地域に限定されているが、介護現場での負担は地域であろうと無かろうと同じであり、地域の区別なく対象とするべきである。

(3)訪問介護には、コロナ対策について、訪問看護に措置されているような報酬の特例などがないが、訪問先での負担やリスクは同様であり、同様の措置をするべきだ。

JS-Weeklyの号外

介護事業所における感染対策の現状

以下の内容は老施協が自民党社会保障制度調査会介護委員会のヒアリングにおいて提出した資料の抜粋と実際介護現場でヒアリングを行った生の声です。

【要望1】高齢者施設の感染者は“入院対応”を

病床ひっ迫の高齢者施設における感染者の施設内療養(入所継続)は、

  1. 医師・看護師の体制(少なくとも夜間は不在になり病状急変に対応できない)
  2. 職員の感染症対応の知識・経験不足
  3. 建物構造・医療設備などの面で課題が多く、実質的に施設内では感染者の治療は困難。

高齢者施設職員には担いきれない大きな負担であり、利用者の重症化・死亡リスクも増加します。

※ 多くの職員は、ビニールの納体袋(感染拡大防止のために感染して亡くなった方の遺体を納める袋)にくるまれた利用者の遺体を見送るのがつらいと言っています。

高齢者施設において感染者が発生した場合は、必ず医療機関での入院を要請。

老施協の緊急アンケートによると感染事業所において、やむを得ず感染者の施設内療養(入所継続)をしている施設が21.5%施設内療養(入所継続)をする場合は、半数は都道府県等が前提条件を満たしておらず、約57%の施設で感染が拡大しています。

実際に感染拡大地域では、介護事業所の主治医が入院要請を行っても病床が逼迫している市町においては、保健所が入所の優先順位を判断し介護施設での看取りのケースが増えています。

遺体の出棺に際してもコロナ感染による死亡の場合高齢者施設側にエンゼルケアを依頼する葬儀業者も中にはある現状です。

【要望2】やむを得ず施設内療養の場合は前提条件の遵守を

病床ひっ迫時に高齢者施設の新型コロナ感染者について都道府県等が入所継続指示を行う場合の前提条件が国から示されいます。

  1. 対象施設に該当すること(特養、養護、軽費等)
  2. 適切なゾーニングが可能であること
  3. 医療・ケアに係る人員体制支援                                       (1) 医師  必要時の診療・健康相談                                             (2) 看護師  健康管理、状態の変化確認(夜間オンコール可)                        (3) 介護職員  必要に応じて応援職員派遣日厚生労働省通知
  4. 緊急時等の対応方針の確認
  5. 感染拡大防止対策に関する専門家の派遣
  6. 必要物資の共有
  7. 職員・入所者全員への検査の徹底

上記のように示されている中、実態は、まん延防止等重点措置地域の施設の約半数で、その前提条件が満たされていない状況です。

高齢者介護施設では、①医療体制、②感染症対応の知識・経験、③建物構造・医療設備などが不十分な中で、必要な医療の支援を受けることなく感染者の療養を担当させられています。

病院逼迫時に都道府県等がやむをえず施設内療養(入所継続)を指示するのであれば、一定の前提条件を満たし、高齢者施設に対して最大限の支援を要望しています。

現場対応では、保健所が多くの感染者のヒアリング等で施設から電話も繋がりにくい状況です。

国の前提条件などない状況で否応なしに入院出来ない感染利用者のケアにあたっています。

日に日に体調が悪くなる利用者の入院要請をしても普段であれば主治医の判断で入院出来る状態であっても保健所からは入院出来ない回答が頻繁におこっています。

また、施設内療養を行った場合の補助(1人最大15万円→30万円)を倍増と政府が示したにも関わらず、独自補助を行っていることを理由に対応しない行政もあります。

自治体による集中的検査の徹底を

  • 「集中的検査(無症状者に対する頻回の定期検査)」は、新型コロナウイルスへの感染を早期に発見でき、集団感染防止等の迅速な対応につなげられることから、高齢者施設の従事者等に対してその積極的な推進が求められています。
  • 特に、緊急事態措置区域やまん延防止等重点措置区域に指定された都道府県等においては、「集中的実施計画を策定し、感染多数地域の高齢者施設等の従業者等に対する検査の頻回実施を行う」こととされています。
  • しかしながら、本会の調べによれば、まん延防止等重点措置区域内の施設において集中的検査が行われているのは約半数にとどまっています。

実際の現状は各地域の薬局に無料検査会場を設置し、高齢者施設を離れ個別に自主的に検査を行っている現状です。

施設職員は会場に向かう対応で問題ないですが、感染が広がっているエリアの高齢者を個別に検査にお連れするのは物理的にも困難です。

この辺りは行政の保健所体制で大きな差が見受けられます。

早期に施設に赴き検査を行う市や検査キットを行政にとりに行かなけらばならない市、まったく何も出来ていない市もあります。

感染者数のみならず保健体制の脆弱の明暗がくっきり分かれます。

【要望4】抗原定性検査キットの早急な確保・提供を

  • 高齢者施設内でのクラスター発生により、濃厚接触者となった介護職員は待機しなければならないため、現場の実働職員数が減り、介護サービス量が減少しています。
  • 濃厚接触者となった介護職員等は、感染4日目及び5日目の抗原定性検査キットを用いた検査で陰性確認後、5日目から解除(職場復帰可能)できることとなりましたが、抗原定性検査キットの需要が高まり確保が困難な状況であるため、結果として5日目に解除できないケースが少なくありません。
  • 感染が急拡大する中で、感染が疑われる場合であっても直ぐに検査できない、また検査後の検査結果の連絡までにも時間を要することから、感染が判明するまでに1週間以上かかっている状況があります。
  • 抗原定性検査キットの早急な確保と提供をお願いします。

医療機関に優先的に検査キット届くために薬局関係機関に発注を控えるような要請が出される中、高齢者施設で抗原検査キットを入手するのは困難です。

抗原検査(検査キットの指定)後の早期現場復帰は感染拡大地域には絵に描いた餅であることは否めません。

デイサービス利用控えに対する補填・補償を

  • デイサービスでは、感染者のデイサービス利用が判明した段階で、感染拡大を予防するために休業せざるを得ません。
  • 第6波ではデイサービス利用者の同居家族(孫、子どもなど)からの感染事例が目立っています。
  • 利用者には同居家族で濃厚接触者、濃厚接触者の疑いがいた場合でも利用を控えていただいています。
  • 稼働率は感染者がいない状況であっても、通常時より1割ほど低下しています。
  • デイサービス利用控えの場合に、(飲食店の場合のような)経営補填・補償をお願いします。

またサービス高齢者住宅に関し、厚労省が事業者判断でデイサービスの利用を中止することの諫める通知も「家族希望」を盾にサービス利用を中止するケースが多く発生しています。

厚生労働省は2月9日に新型コロナウイルスの「オミクロン株」の急速な感染拡大に伴う現場の厳しい状況を踏まえ、通所介護の介護報酬に新たな特例を発表しました。

利用していない時間帯・日数を利用者同意の上、算定できる内容ですが、サービス提供を受けていない利用者に高い自己負担を依頼する制度の建付けに課題を感じます。

ワクチン接種など感染対策について、在宅系(デイサービスなど)も施設系と同等の対応を

  • デイサービスを利用して3~4日経過した後に、感染が判明した事業所もあります。
  • 在宅系は外部との接触があるため感染リスクが高くなりますが、在宅系の職員は優先接種から除かれました。
  • 併設の介護施設やグループ内の事業所でクラスター発生した場合、介護施設の事業継続のため在宅系職員が応援に入ることもあります。
  • 最初から在宅系も施設系と同じレベルで対応すべきであり、せめて施設併設のサービスは優先接種をお願いします(1つ屋根の下で分かれるのは非合理)。

在宅関連サービスの感染対策割増経費等きめ細かやかなサポートが必要です。

まとめ

まん延防止等重点措置区域において各行政間で今回の6波への対策準備に差があったように思います。

特に保健所の逼迫は過去の感染拡大時期の対応で折込済みのはずなので、今回の第6波に増員等の体制整えられたかどうかで高齢者施設へのサポートに大きな差が出ました。

初期の頃に長年保健部門の予算が削らた事情で対応が後手になったのは、仕方がありませんが、昨年の夏以降感染拡大が急激減った後の気の緩みがあったと感じます。

そこには行政トップの危機管理意識の差が大きく、優秀な現場職員が機能していなかったことは否めません。

前回の改定で国は高齢者施設に災害・感染に関するBCP計画の作成を義務づけています。

行政の優秀な職員が機能的に動けるような体制づくりも要望したいと思います。

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