このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選びや介護の仕事情報等を紹介します。
今回はついに政府が介護の人員規制の緩和に関して検討に入ったニュースについて紹介します。
現行1人で3人介護から1人で4人介護可能に
以下は日経新聞の記事の抜粋です。
政府は介護の人員規制の緩和をすることに検討に入ったことは、介護業界に大きなインパクトがあります。
介護系施設サービスの殆どは現在入所者3人につき、少なくとも1人の職員を配置する基準があります。
その基準を1人で4人に対応できるようにする案を軸に調整に入ったようです。
現行の介護保険制度の人員基準には、その基準を下回ることに対して大きなペナルティがあります。
ある一定期間基準を満たさない場合介護報酬の30%減算される規定があります。
また、その人員基準違反が継続すると指定取消(事業所閉鎖)の行政処分もあります。
多くの事業者はそのペナルティを恐れ、人手だけのために派遣会社に派遣を依頼します。
その派遣費用が自社職員の賃金形態の1.5倍~2倍以上かかり、事業経営を圧迫していて課題となっています。
慢性的な人材不足は介護職の賃金の安さもあり、岸田政権下での賃金引上げ政策にもつながっています。
現在の介護報酬体系を維持したまま、人員基準を緩和することが出来れば、職員の賃金を上げる効果にもつながります。
ただし、現行の就業形態に慣れ親しんだ介護職員の意識変化が無ければ、この制度改正やテクノロジーの活用は進まない現実もあります。
人員が不足と感じる介護現場からはよく「事故が発生する確率が高くなる」訴えがあります。
人員基準内の配置を行っていても現場の忙いさは、オペレーションや記録方法の見直し、伝達方法などテクノロジーで解決できる可能性は多くあります。
このブログで紹介した本 『落合陽一34歳、「老い」と向き合う』などを参考に意識改革をすすめて欲しいと感じます。
厚生労働省においても介護職の生産性向上に向けた研修など事業者及び介護職員の意識改革に取り組んでいます。
今からこの大きな変化に対して準備するかどうかが大きなターニングポイントになるように思います。
政府は介護の人員規制の緩和を検討する。介護施設の入所者3人につき、少なくとも1人の職員を配置する現行の基準を見直し、1人で4人に対応できるようにする案を軸に調整する。
センサーなどのIT(情報技術)活用で介護現場の生産性を高める。
財政を圧迫する社会保障費の膨張を抑えつつ、介護・医療分野の人材不足を緩和するには思い切った規制改革が必要となっている。
介護や医療の現場ではセンサーで患者らの状況を確認したり、ロボットで作業負荷を抑えたりする技術開発が進んでいる。
現行の配置基準があるため、ITで効率化が可能でも投資するインセンティブが弱かった。
20日の規制改革推進会議で内閣府が改革を提起し、2022年初めから厚生労働省などと本格的な検討に着手する。
介護は少子高齢化で需要が高まる一方、担い手の不足が指摘される。
厚労省の将来推計では介護人材は23年度に22万人、40年度には69万人が足りなくなる。
政府は早急に対応する必要があると判断した。
政府はまず有料老人ホームを対象に規制緩和を検討する。
現場で働く人の負担が増したり、「手抜き介護」が増えて介護の質が落ちたりしないよう制度設計する。
緩和の条件として、業務の効率化と質の維持を両立させる計画を介護事業者が政府に示す案がある。
外部機関による監査で安全性などを確保することも求める。
生産性向上のカギを握るのはITの活用だ。
例えば介護大手のSOMPOホールディングスはベッドにセンサーを取り付け、遠隔で見守りながら身体情報を計測するといった試みを始めている。
眠っているかを確認できれば巡回を減らし、別の仕事に時間を使える。
政府は介護現場で得られたビッグデータを人工知能(AI)などを使って分析することで、介護の質を高められるとみる。
先進的な取り組みをモデル事業として認め、効果があれば他の事業者に広げる手法でIT活用を促していく。
在宅介護の難しい人が暮らす特別養護老人ホーム(特養)については、個室と共有スペースを組み合わせた「ユニット型」と呼ぶ施設での収容基準の見直しを検討する。
これまでは1つのユニットあたり10人程度としていたが、より多くの人数を収容できる案を議論する。
介護は仕事の負担と給与の見合いなどから現在も人材が集まりにくい。
岸田文雄首相は予算措置による介護士や看護師の処遇改善を掲げている。
それだけではなく、規制緩和を通じて生産性を高めることで、現場の業務の負担軽減や賃金増などにつなげる狙いがある。
学研ホールディングスは運営する介護施設でAIを搭載したロボットの導入を進めている。
現在は消毒作業などで活用しているが、いずれは夜間の見守りなどで活用したい考えだ。
同社の宮原博昭社長は「夜間の人員配置などで規制が緩和されればIT活用でさらに生産性を高め、その利益を賃上げなどに回せるようになる」と期待する。
日経新聞 記事 抜粋
参加者からは、「既に介護人材の確保は困難。今後ますます深刻になっていく」「少子高齢化の中で社会保障費の削減は避けられない。人々が等しく守られる仕組みを、現場側からも積極的に作る必要がある」などの声があがった。
一方で介護現場の関係者の中には、人員配置基準を思い切って緩和することに抵抗感を持つ人も少なくない。
既存の職員の負担が更に重くなったり、サービスの質の低下を招いたりするとの懸念が根強く、過去の審議会でも改革が骨抜きになった経緯がある。
これをよく知る厚労省は、介護現場の関係者の理解も得ながら丁寧に議論を進めていきたい考え。
この日の会合では、「実証データの収集に努めつつ、次期報酬改定に向けて必要な対応を検討していく」などの返答に終始した。
JOINT 記事抜粋
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 年末のこのブログで政府が介護の人員規制の緩和をすることに検討に入ったことは、紹介しました。 […]
[…] また、年末に示された「生産性向上へ人員基準規制緩和検討」で事業所間の生産性向上の仕組みづくりは重要課題となってきます。 […]