介護事業所 書類管理データ化が進まない現状

このブログ「介護役立情報」では、事業所選びや介護に携わる仕事に関する情報を紹介しています。

今回は3月7日に厚生労働省が発表した介護現場の事務負担の軽減に向けた施策の進捗の調査結果について紹介します。

介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会

設置の趣旨

介護分野の文書に係る負担軽減の実現に向け、国、指定権者・保険者及び介護サービス事業者が協働して、必要な検討を行うことを目的として、社会保障審議会介護保険部会に「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」が設置され、令和元年8月7日から定期開催されています。

ICTの活用が進んでいない状況

介護現場における書類保存のデータ化進んでおらず、多くは「紙で保存」しています。

調査結果によると利用者ごとの記録や報酬請求に関する書類などの事業所での保存方法を聞いたところ、どのサービスも「紙で保存」が過半数を占めています。

その割合が最も低い老健施設であっても57.6%。最も高い訪問介護、居宅介護支援では71.0%という数字になっています。

業務でOA環境を使用する事業所は居宅介護支援でほぼ全員の92.3%、介護老人施設では71.0%が使用していますが、グループホームでは半数未満使用が40.2%と使用にも至っていない状況が伺えます。

利用者への説明・同意取得が義務付けられている「重要事項説明書」「契約書」「介護契約書」に関しては令和3年度介護報酬改定によって、介護業務において電子契約が利用できるようになりました。

今後は重要事項説明書、介護計画書、ケアプランなどの書類の電子化が原則的に認められ、これまで事務作業にかかっていた時間や手間を大幅に短縮できます。

令和3年10月1日時点の調査結果においては、利用者への説明・同意取得は電磁的方法の今後の活用予定は「特に予定ない」が85%と浸透には時間がかかりそうです。

活用予定がない場合の活用したい条件では

  • 簡単に導入できるソフト・システムがあれば活用したい。  42.6%
  • 介護ソフトに電子署名の機能があれば活用したい。     36.6%
  • 法人が導入してくれれば活用したい            36.5%

上記のように積極的に情報を取りにはいっていないが、ある程度環境が整えば前向きに勧めたい意向はあるようです。

インタビュー調査結果からみえる課題

多くのインタビュー結果から見える課題は自治体によってスピード感が違うこととと、自治体独自ルールが文書負担軽減の課題となっていることが見受けれれます。

複数の自自体で事業を行う場合そのルールに合わせるためにスケールメリットのシステム開発が出来ない事情も見え隠れしていることが伺えます。

インタビュー調査概要抜粋

  • 電子書面に対応していない介護ソフトが多い
  • 自治体によっては署名に加えて押印を推奨することがあった。
  • 自治体によっては独自に必要な文言・様式があり、複数の自治体で事業を行う場合、統一したできない場合があった。

インタビュー調査結果における負担軽減事例

慢性的な人材不足が続く中、介護現場における生産性向上は必須要件です。

先んじて進めている事業所の軽減事例を参考にデジタル化を更に進めていきたいものです。

  • 契約書・計画書・面談記録・アセスメント等が電子化され紙の保存量が300~400枚/月減少した。
  • 契約書の作成・製本作業に1件あたり30分~1時間程度要していたが電子化により5~10分で済んでおり、時間短縮できている。
  • 記載した内容を家族・介護支援専門員とオンラインで共有し、家族連絡・多職種連携を円滑にすることができた。
  • 訪問介護の記録票を電子化することで、訪問実績の確認作業が省力化され、紙の保存量が800枚/月減少した。
  • ケアをしながら、合間に、インカムを用いて文字入力(音声入力)し、記録業務を効率化した。
  • 体温計・血圧計を近接通信機能(ブルートゥース)利用して、計測結果を自動入力しており、可能な限り手書き・手入力を減らした。

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