SDGs 再生エネの「主力電源化」に向けた転換

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

今回は、経済産業省の再生エネの「主力電源化」に向けた転換について紹介します。

目次

再生エネの「主力電源化」に向けた転換

12月7日の日経新聞の記事によると、経済産業省がカーボンニュートラルに向けた政府の方針から、 世界的な脱炭素の流れに沿って再生エネルギーを「主力電源化」する政策を強化する方針です。

経済産業省は発電能力があるのに活用しきれていない太陽光や風力発電を減らす対策を強化する。

地域内で電力供給が需要を上回り停電が懸念される際は、安定供給の為、現在は50%以下まで抑えればよいルールを20~30%まで下げるよう電力会社などに求める検討に入った。

火力発電などを重視してきた政策から、再生エネの「主力電源化」に向けた転換の一つとなる。

地域間で電気を融通する連系線を含む送電網の整備など、再生エネを有効活用するための全体的な対策も重要になる。

電気は需給が一致しないと停電がおきる。

太陽光発電の多い九州では需要を上回りかねないとして2020年度に60日間、太陽光などの発電を止める「出力制御」を実施した。

脱炭素に向け、太陽光発電は全国で増える見込みで他地域でも「出力制御」の状況になりかねない。

経産省の資料をもとに首都圏、関西、中部をのぞく地域で「電源Ⅲ」と呼ばれる火力発電の出力を50%から20%に下げる効果を試算したところ、再生エネの発電余地が150万キロワット前後あるもようだ。

火力や原子力も含めた国内の発電容量は約2億7000万キロワット。

再生エネは2割強の6700万キロワットを占め、150万キロワットは再生エネの2%強に相当する。

太陽光の発電を止める出力制御は発電事業者の損失になる。今回の対策で経営のリスクを軽減し、脱炭素化に向けて投資を呼び込みやすくする。

出力制御は春や秋に起きやすい。天候が良く太陽光発電量が多い一方で、冷暖房による電力需要が少ない時などに発動される。

東北電力や四国電力も発動例はまだないが、可能性があるとみて準備を進めている。

送電網の整備も課題に 地域結ぶ連系線を増強
再生可能エネルギーによる電気の有効活用には火力発電所の出力制御のほか、送電網の整備も課題となる。

経済産業省は地域と地域を結ぶ連系線と呼ばれる送電線を増強する方針だ。

太陽光や風力の発電に適している北海道や東北、九州から、電力需要が大きい首都圏や関西に電気を送る狙いがある。

日本では地域の電力会社ごとの送電網で、原則として電力の需給を一致させる必要がある。

太陽光の発電量が多く、供給過多になりそうな時は

①火力発電の出力を抑制

②他地域への融通

③バイオマス発電の出力制御――の対策をとる。

それでも調整がつかないときに再生エネの出力制御を実施する。

①について、出力を50%以下にする現行ルールを来春にも20~30%以下にする。

経産省の調査では、最近の大型の石炭火力は出力を30%まで抑えられる設備が多く、20%前後までの引き下げが可能な発電所もある。

②の連系線の増強も進める。電力広域的運営推進機関の参考試算によると、再生エネの発電比率を5~6割に高めるには、主要な送電網に最大2.6兆円の投資が必要という。

このうち九州と中国地方を結ぶ送電網の増強には3600億円、北海道から東京へ運ぶ海底送電線の新設などは1兆円前後にのぼる。

財源は電気料金から賄う方向で、実際の増強には時間がかかり、2021年度補正予算案では、送電線につなぐ蓄電池の設置費用を半額まで補助するため130億円を計上した。

出力制御の回避策になるが、まだ高い蓄電池のコスト軽減が課題となる。

こうした対策を講じてもなお再生エネの出力制御が必要になった際には、発電事業者の収入を補塡することも検討している。

政府は30年度までに温暖化ガスの排出量を13年度比で46%以上減らす目標を掲げている。

再生エネの導入拡大は不可欠だが、火力を絞れば電力会社の採算は悪化する。

世界的な脱炭素の流れから火力への投資がさらに落ち込む可能性もある。

今冬も首都圏などで電力の供給懸念が生じた。脱炭素と安定供給の両立がこれまで以上に重要になっている。

日経新聞 要約抜粋

日本のエネルギー問題についてNEWS PICSの「エネルギーの選択:原発再稼働VS自然エネルギー」で分かりやすく説明されています。

2つの立場から日本のエネルギーについて対談する番組ですが、両者共自然エネルギーの方向でした。

現実的には、蓄電技術・ 送電網投資費用を考えると当面原子力発電を活用しながら、30年スパンの長期的に移行していく結論でした。

自然エネルギーは天候に左右され、地域で条件が違うことは発電場所からのインフラが大きな課題です。

電気を貯められない理由

単純に携帯電話など充電器などの使用で2年ぐらい充電できるので、その技術の応用で電気を多量に充電できいないものかと素人考えでいました。

以下の東芝サイトの「電気の仕組みと電力貯蔵入門」では、詳しく電気が貯めれない理由や技術開発が進められている蓄電技術について紹介されています。

電気を貯められない理由

大量の電気を貯められないのは、電気の性質上、動きが早く、発電した瞬間に電気使用者の元に届いてしまうから。
ここで電気についての理解を深めるため、おさらいとして、読者の皆さんも中学校で習ったであろう「右ねじの法則」を思い出してほしい。

これは電流と磁界(磁気の働く空間)の向きの関係を表した法則だ。

物体が帯びている電気の量を電荷といい、この電荷が動くこと、すなわち電流が流れると磁界(※)が発生する。

そして電流の大きさや向きが変化すると磁界も変化して電界(※)が生まれ、それによりまた磁界が生まれるというように、これら二つが交互に発生しながら波のように伝わっていくのが電磁波である。

そしてこの電磁波が伝わるということが、電気が流れるということでもある。

反対に、磁界の発生により電荷を動かすこと、つまり、電気を発生させることも可能だ。

発電所では、ローターと呼ばれる電磁石を回転させ、ステータと呼ばれるコイルの電荷を動かす。

発電所では電磁波を作ることで、電気を発生させ、送り出しているのだ。

Toshiba Clip 抜粋

蓄電技術

電気の仕組みと電力貯蔵入門」によると、電気は性質上、光速で動き、一定の状態でじっとしていることができないため、そのままの状態では貯めておくことはできないそうです。

万が一の停電の備えや再生可能エネルギーのさらなる普及に向けて、電力の需給一致の必要性から、電力貯蔵は必須で色々な技術が研究・開発されているようです。

電力貯蔵の方法
Toshiba Clip 抜粋

スマートフォンなどの充電技術には2番目の電気化学的貯蔵技術が使用されているようです。

スマートフォンの充電池などで馴染み深いと感じる方も多いだろう。

しかし、二次電池には電気がそのまま貯蔵されているわけではなく、プラス極に位置する正極材とマイナス極に位置する負極材を電解液に浸すことで、電気化学反応を起こして電気エネルギーを取り出す。

ここまでは普通の電池も二次電池も同じ。

加えて二次電池は、外部から電気エネルギーを与えることで、先とは逆の反応を起こし、正負極材を放電前の状態に戻して繰り返し使用できる。

二次電池では、電気エネルギーを電気化学的に変換して貯蔵しているのだ。

Toshiba Clip 抜粋

太陽光など再生エネルギーの発電量の多い秋・春はエアコンや暖房器具を使用せず、需給バランスが崩れることもあり、現在は安定供給できり原子力発電所の多くが止まっているので、火力発電に頼らざるえない状況です。

そして日本の夏は高温多湿で今年のオリンピックで世界のアスリートが悲鳴を上げるほどの環境で、夏の電力使用量は比較的過ごしやすいヨーロッパと比較しても事情が異なります。

電気は、需要と供給の一致が不可欠

貯めることが技術的に難しい電気は作った需給バランスは「同時同量」でなければならないという点がひとつの課題です。

「同時同量」とは、電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が、同じ時に同じ量になっているということです。

これらの量が常に一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまい、電気の供給を正常におこなうことができなくなってしまいます。

その結果、安全装置の発動によって発電所が停止してしまい、場合によっては予測不能な大規模停電をまねく可能性があります。

記憶に新しいのは、2018年9月に発生した北海道全域の停電“ブラックアウト”です。

この ブラックアウトは、この電力需給バランスの崩壊が原因でした。

詳しくは、資源エネルギー庁のサイト「電力需給バランス」に詳しく紹介されています。

まとめ

再生エネの導入拡大は不可欠ですが、現在の技術では火力を絞れば電力会社の採算は悪化する課題も解決していく必要があります。

脱炭素と安定供給の両立がこれまで以上に重要ですが、再生エネルギーの発電コストを同時に下げていかなければ、生産される商品やサービスの競争力にも影響を与えます。

各種産業界の協力と発電・送電・蓄電の技術が研究・開発されることに期待したいと思います。

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