紹介本 『リビング・シフト』/面白法人カヤックが考える未来

目次

リビング・シフト / 柳澤 大輔 / KADOKAWA

この お勧め本紹介を通じて本を読むことで色々な価値観を知る事で成長できることを紹介したい思っています。

今回は「面白法人カヤック」代表取締役CEO 柳澤 大輔さんの著書「 リビング・シフト 」について紹介します。

面白法人カヤック」 を知ったのは、以前立ち上げに参画した事業で採用サイトを立ち上げる際です。

サイト制作会社の方が参考サイトとして紹介してくれた時です。

今までの働くという価値観が一気に変わった瞬間でした。

ITという業種から、また、ベンチャーということもあり、一生一社で勤め上げて終わる時代ではありません。

そのことが創業当初から根底にあったので、働い方、働く場所への制約もありません。

面白い人材が集まり、次々と面白いWebコンテンツを造り上げていく法人に興味を持ちました。

その出会いから10年以上が経ち、地方創生に関わるプロジェクトでこの本をある人から紹介されました。

出版が2020年03月で時はコロナ感染で世の中の働き方が大きく変わり始めた時でした。

移住や二拠点生活といった住み方の変化を起点に、地方創生やこれからの資本論に至るまで書かれた本書は今後の生き方の色んなヒントになると感じました。

移住の価値観も変わった

あらゆる職種が可能なわけではありませんが、インターネットの普及でパソコンやスマホ1台あれば仕事ができる環境が整備されています。

コロナ感染症でリアルの打ち合わせもオンラインへと変化していきました。

移動手段もLCC(格安航空会社)の普及し、技術の進歩によりオンラインでの交通・宿泊予約は移動コストの低下させました。

人間が「場所の制約」から解き放たれ、どこにいても仕事ができるという時代にシフトしている実感を多くの人が持ち始めました。

別途紹介しますが、「サピエンス全史」では農業革命では農業が人類にとって大躍進だと考えられてきた。

しかし逆に農耕民は、むしろ狩猟採集民より苦労することになり、定住することを余儀なくされしまいました。

食料問題を解決出来た今、職業を変える自由と働く場所を選べる自由を手に入れようとしています。

むろん、エッセンシャルワーカーの多くの職種は、容易にリモートワークに切り替えることができない職種もあります。

面白法人カヤック」 の本社は鎌倉にあります。

元々本社機能は東京にありましたが、2002年に移転しています。

鎌倉を訪れたことのある方は分かると思いますが、流れる時間のスピードは、東京に比べて明らかにゆったりしています。

企業にとってはスピードを優先することが合理的な選択になります。

そのため、都市に拠点を置くことが優先され、都市が一番合理的な産物です。

しかし人が生活する上で個人にとっては、スピードよりも大事なことがあります。

「バカの壁」の著者養老孟司さんは、都市化は意味を持った脳で考えれるもの以外はどんどん排除していくと語っています。

都市化するということは自然を排除するということです。

脳で考えたものを具体的に形にしたものが都市です。

自然はその反対側に位置しています。

超バカの壁  抜粋

(都市に住む人が自然を排除しようとするのは)感覚を通して世界を受け入れないからです。

意味を持った情報を通して世界を理解するんですね。

だから意味のないもの、分からないものを徹底排除しようとするんですよ。

自然に意味なんてないからね。都市の中の公園は、完全に意味を持った人工物です」

世間とズレちゃうのはしょうがない 
本イメージ

移住促進サイト「SMOUT」

この本を読むきっかけは、あるプロジェクトで移住促進サイト「SMOUT」に関わったからです。

「SMOUT」は、移住したい人が自分のスキルや希望を登録しておくと、自治体や地域から「スカウト」されるというサービスです。

本書では 「SMOUT」 を活用される3つタイプについても紹介されています。

  1. 実家を継いだり介護をしたりなど「移住しなければいけない理由のある人」。
  2. 漁業が好きなど「特定の地域に強い思い入れがある人」です。この様なモチベーションの人はすでに移住しているか、自分で情報収集していることが多いです。
  3. 大都市に住む必要性が低下するにつれて移住を希望するようになった、「いつかどこかに移住してみたいと考えている人」

「SMOUT」は主に3つめの人々が利用している割合が多く漠然と移住を考えています。

本書のリビング・シフトは、これまでの移住の流れと全く異なる、新しい「移住2.0」とでも呼べる変化です。

具体的な変化のひとつは、移住先を「ひとのつながり」で探すことです。

「いつかどこかに移住してみたいと考えている人」にとっては一番気になり、大切なことです。

今までの移住は、ほとんどが「縁と偶然」で移住先を決めていることが多い状況です。

「SMOUT」というプラットフォームを活用することで「縁と偶然」をつくり出し、人と人との出会いを提供します。

読書イメージ

まちのコイン

リビング・シフトでお金の形そのものを変えていく可能性もあります。

地域通貨の発想は過去から何度ありましたが、色々な課題があり頓挫したものも多くあります。

地域振興券にしても制作に費用もかかります。

カヤックが2019年に始めたな事業「まちのコイン」は今までの地域内消費の増加を目的としたこれまでの地域通貨とは異なり、人とのつながりを意識した設計になっています。

自分の好きな地域に住むようになると、自分の地域に対する帰属意識や愛情が強くなるため、地域通貨が進化する可能性はあります。

ただし地域内消費の増加のみを目的にすると割引などのインセンティブがないと流通せず、かえって自治体財政を圧迫する恐れがあり、持続可能になりにくい面があります。

「まちのコイン」の特徴はコミュニティ通貨で円に換金できず、時間が経つと価値が減少することです。

通常のお金は名目価値が変わらず、銀行に預けると利子がつき、投資をすれば利潤が増える可能性があります。

お金がお金を生む仕組みがいきすぎた結果、環境問題や貧富の格差などSDGsの様な課題が生まれます。

「まちのコイン」は、これまで「見えない資本」とされていたものを定量化したいと考えたことがきっかけとなっています。

地域には、売り上げや生産性を生み出す従来の「地域経済資本」に加えて、人とのつながりや自然・文化といった、その地域固有の魅力である「地域社会資本」「地域環境資本」があります。

コロナ禍で観光や飲食などで影響を受けた地方でも少しずつ試験的に「まちコイン」がスタートしています。

1. まちの個性を豊かにします

まちのコインを活用してどんなまちにしたいのかは、まちごとにそれぞれです。

まちのコインでは、個人ユーザーも、お店の人も、導入する地域も、みんなでコインのもらい方、あげ方のアイデアを考えることができます。

例えば、常連を増やしたいお店は「オーナーと1杯飲みながら悩みを相談できる体験」を用意したり、食で町おこしをしたい地域は「新しいメニューアイデアを考える体験」など食に関する体験をたくさん提供する、といった具合に。

どうやってもらうか、あげるか、みんなでつくれるから、面白い。
そんなコミュニティ通貨です。

2. 地域内外の人が仲良くなると、関係人口につながります

まちのコインは、一般的な地域通貨のような地域の内需拡大はもちろん、 地域外の人にも開かれた通貨にすることで、関係人口を増やし、 地域の経済や環境を良くしたいと考えています。

だから、その地域に住んでいる人だけではなく、 時々訪れる人も、仕事で来る人も、 あまり来れないけれどここが好き!という人も、誰でも使うことができます。

「コミュニティ通貨」という言葉には、その場所に関わるみんなに開かれたものでありたい、という想いを込めました。

そして、自分の住んでいる地域だけではなく、お気に入りの地域のコインももつことで、 たくさんの地域がもっと身近になり、関係人口も増えていく。

まちのコインは、みんなに開かれたコミュニティ通貨を目指します。

3. 身近なSDGsをジブンゴト化します

ちょっとハードルが高く感じるSDGsに関わる地域活動も、 まちのコインを使うとゲーム感覚で面白がりながら参加していくうち、 地域課題が身近に感じられるはず。

後からまちのコインの「活動履歴」をみることで、自分の行動がどのSDGsのゴールにつながっているか振り返ることもでき、SDGsのジブンゴトにもつながります。

4. 経済効果が期待できます

まちのコインは基本的に地域のお店をはじめとした「スポット」にユーザが訪問してつかうサービスです。

「お金で買えないうれしい体験」を通して、お店の方やほかのお客さんとの距離が縮まり、常連やファンにつながるという効果はもちろん、来店する機会が増えることで法定通貨の消費行動自体も促すので、結果として経済効果が期待できます。

5. 持続可能な仕組みです

IT時代、スマホ時代の電子通貨なので、以前からある紙の地域通貨とくらべてコストがかかりません。

また、法定通貨への換金性がないため、原資も不要です。コインには有効期限が定められていて、一定期間使わないでいると回収され、再度まちの中に再配布されるというい、循環するしくみも持続可能な運営につながる大きな特徴のひとつです。

カヤック まちコイン サイト引用

面白法人カヤックの取り組みですので、楽しみながら是非地域に根ずいていって欲しいものです。

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