紹介本 『座右の書「貞観政要」』/ 貞観政要が素早く理解できる

目次

座右の書『貞観政要』/出口 治明 / KADOKAWA

この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したい思っています。

今回はライフネット生命保険会長出口治明さんが書かれた座右の書『貞観政要』について紹介します。

恥ずかしながら貞観政要については何も知らず、YouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」で 知りました。

番組で『貞観政要』は、中国の古典で元王朝の初代皇帝クビライ、徳川家康、明治天皇などが、帝王学を学ぶために愛読してきたと説明されていて、楽天BOOKで探しました。

『貞観政要』に関する本は沢山紹介されていましたが、その中で今回の「座右の書『貞観政要』」を購入したのは、以前からライフネット生命保険に興味があったからです。

数多くある生命保険会社の中で、保険セールスマンやセールスレディに頼らす必要最低限の保険内容をネットで低価格で販売し、順調に売り上げを伸ばしていることに興味がありました。

そのライフネット生命保険の会長の仕事関する考え方を知る上でも座右の書に興味を持ち早速購入しました。

著書の冒頭で出口治明さんは、あまり人に本を勧めることはないと述べています。

人が成長するには、読書に限らず、環境や人との出会いなどそろぞれの価値観があるので、押し付けになることはしないそうです。

それでもこの『貞観政要』は自らのビジネスキャリアのバイブルとされており、その普遍の教えを紹介される形です。

普遍のリーダーシップとは

貞観とは元号で貞観時代は、中国の長い歴史においても稀に見る平和な時代と称されています。

その時代を現出させた太宗(李世民)が名臣たちと交わした問答を史家・呉兢が編纂したのが、 『貞観政要』 です。

唐の第二代皇帝、太宗(李世民)の言語録で、太宗とは中国の王朝で、その事業や徳行が太祖(初代)に準じる皇帝の称です。

太宗と呼ばれたのは唐の李世民(りせいみん)、宋の趙匡義(ちょうきょうぎ)、元のオゴタイ、清のホンタイジなどが有名です。

出口治明さんは中国古典に造詣が深く、貞観時代までの当時の中国の文化や民族、価値観など時代背景を丁寧に書かれていて、太宗(李世民)が歴史に学び、政を行ったことが理解できます。

唐の前の時代背景として、隋の二代皇帝「煬帝(ようだい)」の失政により、中国全土で反乱が勃発します。

隋は短命に終わったが、代わって中国を統一したのが李淵(りえん)、李世民親子ですが隋の煬帝とは血縁関係にあります。

李世民は、隋を滅ぼし中国を統一する戦いで中心的役割を果たしています。

後継者選びはどの時代においても大きな課題で有能な李世民に対して能力の劣る兄の家臣魏徴(ぎちょう)は、兄が後継者となるべく李世民の殺害を企てます。

その謀が発覚し、兄と弟を殺害し、父の李淵を幽閉して、28歳のときに二代皇帝として即位しました。

後に、 李世民は自分を殺そうとした魏徴(ぎちょう)を向いいれ皇帝を諌める役職に任命します。

二代皇帝に即位するまでの行いは実際の行いは暴君として知られる煬帝と大差がありません。

中国の正史は全体的には史実を正確に記されいるというのが現在の見解ですが、国が変わる時の末帝は次の時代の皇帝の正当性のため貶められる脚色は存在しているという認識があります。

李世民も過去の歴代の王朝同様に自らの正統性を主張するために煬帝を貶め、善政を布くことで自身の名声を挽回しようしました。

それまでも紙が早い時代から存在して中国王朝の史実は残っていますが、正史の編纂が国家事業となったはこの時代からです。

太宗(李世民)が現代に語られる立派な人物であったことは間違いありませんが、評価に多少の脚色があったことと、自らを律し傑出したリーダーとなるべく努力したことは事実です。

太宗(李世民)がリーダーとして傑出していて、現在のリーダーも学んでいる点は大きくは以下の2つです。

  1. 臣下にいったん権限を与えたら口出しせずに仕事を任せる「権限移譲」の感覚を持っていたこと。
  2. 皇帝の欠点や過失を遠慮なく批判する部下を積極的に登用して、「諫言」を聞き入れるようにしていたこと。

どちらも言うは易く行うは難しです。現在の時代を代表する経営者においても後継者や権限移譲が出来ない組織体はあります。

権限移譲

『貞観政要』によると、上の者と下の者が互いに疑い合うと、国は治まらないという。

魏徴は太宗に次のような話ます。「信用すれば信じてもらえるし、疑えば誰も信用してくれない」。

同様に、部下を信用しない上司は、部下からも信用されない。「おまえのことを信頼して任せるから、実績を上げてほしい」と伝えるのが正しい。

部下が自分のことを信頼してくれているから自分も部下を信頼するというのは順番が逆です。

上司が部下を信頼することにより、部下は上司を信頼してくれるよいになると言うことです。

現代ビジネスシーンにおいても「お前に任す」と言いながら細かいところにまで注文をつける上司の姿をよくみかけます。

「諫言」を聞き入れる

太宗は、諫議太夫(かんぎたいふ)という皇帝を諌める役職を置きました。

冒頭伝えた通り、兄の家臣で自分を殺そうとした魏徴(ぎちょう)を任命します。

太宗は、魏徴の有能さを見抜き、側近として召し抱え「私の悪口を言い続けてくれ」と頼みます。

「諫言」については、「中田敦彦のYouTube大学」でも 魏徴の諫言事例を伝えています。

少し贅沢な箸を手にすると、それに合う食器、料理と欲が出てくることの件など事細かく伝えます。

贅沢を慎み、人徳を磨き、直言することを恐れない臣下をそばに置いた太宗も時が過ぎれば、初心を忘れ、道を外し始めたこともありました。

それを見た魏徴は、贅沢や思いつきの政策などを10個挙げ文書に書き、太宗を諌めます。

魏徴が亡くなった際、太宗は、自分を諌め、自分の本当の姿を教えてくれる人はもういなくなったと、嘆き悲しんだそうです。

リーダーに必要な3つの鏡

著書の冒頭で出口治明さんは、『貞観政要』で一番大切にしている教えとして、リーダーに必要な3つの鏡について述べています。

リーダーが正しい意思決定を行う為に必要な心構えです。

太宗は、リーダーの要諦とした3つの鏡とは、「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」です。

銅の鏡とは、姿見に使われる普通の鏡を意味します。普段から自分の顔や姿を映し、元気で、明るく、楽しそうかどうかを確認するためのものです。

歴史の鏡とは、過去に学び将来に備えることです。歴史を知ることで過去の出来事から対処法、対応に活かすことです。

人の鏡とは、自分のそばにいる人のことを意味します。 「諫言」を聞き入れるためには 「あなたは間違っている」と直言してくれる人をそばに置く必要があります。

人は年を取り立場が上がればなかなか、人の意見が聞けなくなるものです。

客観的な意見を聞き入れるには自らの態度が一番大切になってきます。

この本を読み多くの学びと反省があります。

人に意見を言ってもらえるような立ち振る舞いを心がけたいと感じました。

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