紹介本 「シン・ニホン」/ 日本の再生の建設的提案

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シン・ニホン 安宅 和人  / NEWS PICS

2020年2月に出版された安宅和人さんの「シン・ニホン」は希望の本でした。

『危機の時代』のジム・ロジャーズ著のように日本に対しては悲観論が多い中、著者は過去の日本の歴史からいつの時代においても優位性がない位置から躍進した経緯「そもそも日本は時代変化の第1フェーズで勝った経験がない」と紹介しています。

現在のアメリカや中国の教育への資本投資を見れば日本の躍進の可能性は低いように思えますが、「希望とは歴史から勝ち筋を分析し、未来へ向けて打ち手を繰り出すこと」と楽観論だけでなく可能性にフォーカスされています。

政治・サイエンス・産業・テクノロジー・官民共同で「データ x AI」を一つの大きな軸として、世界で起きている変化と、日本の現状及び日本の勝ち筋見つけていく必要があると感じました。

私が感じたこの本の3つのポイント

①データ×AI世界で戦うには

②求められる人材とスキル

③未来は創るひとをどう育てるか

データ×AI世界で戦うには

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データ×AI分野の立ち遅れは否めません。

安宅さん曰く三つのポイントで出遅れたことが要因であると述べています。その三つとは

①さまざまなところからビックデータが取られず色々な用途に使用できていないこと

 ・日本一のヤフーユーザーの10倍前後のGoogle/Baiduのユーザー数

 ・世界的シェアリングビジネスUber,Airbnb等が活用できない法規制

②圧倒的なデータ処理能力とコストで秀でられなかった

 ・通信帯域コスト高や産業電気代コストがアメリカの5~10倍、マイニングの大半は中国

③利用活用の仕組みと絶対数のデータエンジニア不足

 ・ICTエンジニアの数はアメリカ・中国だけでなくインドにも及ばない。

以上のように圧倒的に不利な状況ではあるが、日本は今でもスクラップ&ビルドでのし上がってきた国なので、4つの可能性でこの危機を打開する提案をしています。

①全てを明るくご破算にしてやりかえる方法

②圧倒的なスピードで追いつき一気に変える

③若い人を信じ、託し、応援する

④不揃いの木を組み、強いものをつくる

戦後の「モノで負けても技術革新でゲームを変える」ことはこれからも可能性があると信じています。

求められる人材とスキル

国のマネジメントにドラッカーの以下の「組織に成果を上げるための道具、機能、機関」を例に出し日本における人材育成の考え方を述べています。

①あるべき姿をに極め、設定する。

②いい仕事をする(顧客を生み出す、価値を提供する、低廉に回す、リスクを回避する)

③いい人を採って、いい人を育て、維持する

④以上の実現の為にリソースを適切に配分し運用する

以上の人材育成の考え方をベースに多面的に不連続で激動の現在においては、そのような状況を俯瞰しながら人の視点から価値を生み出せる場作りと多面的な人材のAI-ready化が必要と説いています。

要するにこの時代普通でない人が新しい価値を生み出していくと言うことです。

未来を創る人をどう育てるか

今までの決まりを正しく理解してそつなくできる能力はAIの方が得意となってきます。

これからはAI×ビッグデータの持つ力をいかに解き放てるかの発想が重要になっていかいます。こう考えますと正しく答えを出す日本の義務教育も変わらざる得なくなって行くように思われます。

①これからの時代はワイルドな未来を生き抜くためにまず時代に即した基本的なリテラシーを身につける必要があります。

②リテラシー層の1割程度が専門家層に達し、データ&AI分野の専門家とデータ&AIの力をつかいつつさまざまな領域で革新していく専門家人材の育成が急務です。

③専門家層の1割の活動の芯棒となる人材づくりです。ノーベル賞の受賞レベルでこの数が国の国力となっていきます。

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まとめ

社会福祉も大事ですがわずかばかりの予算を「データ x AI」の優位性を実現するための人材育成に配分する必要性があると感じました。

『若い人に投資する国へ変わろう』の章では未来のための最適なリソース配分として、国家功労者である「引退層」に支払われている国家予算(社会保障費120兆円)の2%若者い人へ投資するだけで大きく改善されるそうです。

本書で安宅さんが伝えるメッセージ

「50代の我々にとって20代の人たちは我々の未来にとって一番大切な人たちだ。しかし戦後復興期に近いレベルまで急激に貧しい人たちが増える中、親と居住地によって極端な二極化が加速し、才能と情熱を解き放てない人たちが増えている。」

本書

とうメッセージを衝撃を覚えました。

このまま行けば、この国はシニア層と過去にお金を使いすぎて衰退を止められなかった初めての大国として歴史に名を刻む可能性もあります。

若者の視点からだけでなく高齢者の生きがいの視点からも「社会の極相林化」を唱えています。

初めて聞く言葉でしたが、生態学のことばでさまざまな多様性を保った状態で安定的な状況に入った森の事を言うそうです。

65歳一斉リタイア出なく多くの経験を持った熟練ワーカーが多様な働き方をすれば視点の偏りがあったとしても知恵をもらう側がファクトベースで取捨選択しお互いが補完すれば新しい社会保障制度への転換の可能性もあると感じました。

多くの課題を抱えた日本ですが、一つ一つの課題解決に向けた提案がなされています。国が大きく変わる時に大きな痛みが生じる可能性がある思います。

過剰なまでの権利意識の高い民主主義は反動で独裁政権が起こる可能性があると、投資家ジム・ロジャーズは著書で述べており、日本の未来に対して否定的です。

ギリギリのところで変化に対応してきた日本の底力を信じる安宅さんのメッセージのとおり、若い世代に繋ぐ未来のためにも厳しい状況を乗り越えて行きたいと感じました。

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