「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」 冨山 和彦
今回紹介する本は冨山 和彦さんの「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」です。
2021年の世界的なコロナ感染拡大時期に書かれた本で、その後もロシアによるウクライナ侵攻と不連続な大きな変化が起こっている時代です。
「コロナショック」という未曾有の危機に直面しました。
この出来事は、私たちの生活や働き方、そしてビジネスのあり方を根本から変えました。
このような変動の中で、経営者やリーダーたちはどのようにして組織を導いていくべきなのでしょうか。
その答えの一つが、本『リーダーの「挫折力」』に詳しく書かれています。
著 者
冨山 和彦
経営共創基盤(IGPI)グループ会長。1960年生まれ。東京大学法学部卒。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウなどを再建。解散後の2007年、IGPIを設立し代表取締役CEOに就任。数多くの企業の経営改革や成長支援に携わる。2020年10月より現職。同年12月、地方創生を目的とした投資・事業経営会社「日本共創プラットフォーム」(JPiX)設立を発表、代表取締役社長に就任。パナソニック社外取締役。
『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(以上、文藝春秋)、『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』(PHPビジネス新書)など著書多数。
お勧めポイント
この「変容(トランスフォーメーション)」の時代、過去の成功体験や常識に囚われず、新しい時代の変化に柔軟に対応する能力が求められます。
これは、個人だけでなく、組織全体にとっても非常に重要なことです。
日本の企業は、戦後の復興期に特有の組織文化や働き方を形成してきました。
それは、現場主義を重視し、絶えず改善を追求することで、高品質な製品やサービスを提供することを目指してきました。
しかし、デジタル化の波が押し寄せる中、そのような従来の経営スタイルは、今後も持続可能なのでしょうか。
デジタル時代の到来により、企業のビジネスモデルや組織構造が大きく変わりつつあります。
この変化のスピードは、過去のどの時代とも比較にならないほど速いです。
その中で、日本の企業はどのようにして変革を進めていくべきなのでしょうか。
昨今、日本で非常に注目されているのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。
しかし、DXとは単に業務の効率化やデジタル化を意味するものではありません。
それは、企業のビジネスモデルや価値提供の方法を根本から見直すことを意味しています。
このDXの考え方を、スポーツに例えるならば、「野球からサッカーへの転向」と言えるでしょう。
これまでの経営は、一つ一つのプレイや戦略を緻密に計画し、それに基づいて行動する「野球型」でした。
しかし、今後は、柔軟に戦略を変えながら、チーム全体でゴールを目指す「サッカー型」の経営が求められます。
しかし、このような大きな変革を進める中で、リーダーたちは多くの困難や挫折に直面することでしょう。
その中で、真のリーダーとは、困難な状況でも冷静に判断を下し、組織を正しい方向に導くことができる人物です。
そして、そのようなリーダーシップを発揮するためには、「挫折力」が必要です。
「挫折力」とは、困難な状況や挫折を乗り越える力のことを指します。
これは、経験や知識だけでは得られない、実際の経験を通じて培われるものです。
そして、この「挫折力」を持つリーダーは、組織を新しい時代に適応させるための変革を進めることができます。
本書の要点
【要点1】
有事が平時となった今、リーダーの役割は以前とは大きく変わった。従来のボトムアップ型から、より戦略的なトップダウン型へとシフトしている。リーダーは、時には困難な選択を下すことも求められる。
【要点2】
リーダーとしての経験は、早い段階で積むことが重要。失敗や挫折を経験することで、真のリーダーシップの本質を理解し、「挫折力」を身につけることができる。
【要点3】
真のリーダーは、情熱と論理をバランスよく持ち合わせている。困難な状況でも冷静に判断し、組織を導く力が求められる。
まとめ
「トップダウン型のリーダー」という言葉を聞いたとき、多くの人は独裁的なイメージを持つかもしれませが大きな時代の変化に対応するには「トップダウン型のリーダー」が新しいリーダーシップの形として、本書では詳しく紹介されています。
冨山氏の豊富な経験と知識に基づいた、深い洞察と具体的なアドバイスが詰まっていて、自らの「挫折」についても赤裸々に書かれています。
この本を読むことで、あなたも新しい時代のリーダーシップについての深い洞察を得ることができるでしょう。
そして、それをもとに、自らの組織やチームをより良い方向に導くことができるようになることを願っています。
これからの時代を生き抜くための、新しいリーダーシップの形を学びたいすべての人に、この本を心からおすすめする本です。
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