取材・執筆・推敲 書く人の教科書 古賀史健
今回紹介する本は、編著書累計93冊、1100万部超! 世界的ベストセラー『嫌われる勇気』をはじめ数々の名著、ロングセラーを執筆してきたライター・古賀史健さんが、「取材」「執筆」「推敲」の三部構成について「ほんとうの核心」だけを教える、書く技術・伝える心得の教科書です。
現役のライターや編集者はもちろん、私のようにブログを書いている人にも参考になる本です。
ただしハウツー本ではないので、小手先のテクニックは一つも掲載されていません。
どうすれば、プロの「書く人」になれるのか?
どうすれば、ひとりでも多くの人に届く「原稿(コンテンツ)」をつくることができるのか?
と思考を深めることができる本です。
【主な目次(取材・執筆・推敲――書く人の教科書)】
ガイダンス ライターとはなにか
- ライターは「書く人」なのか
- 書くのではなく、コンテンツをつくる
- ライターが「編集」するもの ……等
第1章 すべては「読む」からはじまる
- 一冊の本を読むように「世界」を読む
- なぜ、あなたの文章はつまらないのか
- 情報をキャッチせず「ジャッジ」せよ ……等
第2章 なにを訊き、どう聴くのか
- なぜ取材はむずかしいのか
- 取材を「面接」にしてはいけない
- 質問力を鍛える「つなぎことば」……等
第3章 調べること、考えること
- 取材には3つの段階がある
- わかりにくい文章が生まれる理由
- その人固有の文体をつかむ ……等
第4章 文章の基本構造
- 書くのではなく、翻訳する
- ことばにとっての遠近法
- 論理を構成する3つの要素……等
第5章 構成をどう考えるか
- 構成力を鍛える絵本思考
- 桃太郎を10枚の絵で説明する
- バスの行き先を提示せよ……等
第6章 原稿のスタイルを知る
- 本の構成① いかにして「体験」を設計するか
- インタビュー原稿① 情報よりも「人」を描く
- 対談原稿① 対談とインタビューの違いとは……等
第7章 原稿をつくる
- リズム② 「ふたつのB」を意識せよ
- レトリック① 想像力に補助線を引く
- ストーリー④ 起承転結は「承」で決まる……等
第8章 推敲という名の取材
- 推敲とは「自分への取材」である
- 音読、異読、ペン読の3ステップを
- 最強の読者を降臨させる
第9章 原稿を「書き上げる」ために
- プロフェッショナルの条件
- フィードバックもまた取材である
- 原稿はどこで書き上がるのか
この本おすすめ
本書は、文章をどうつくるかに焦点を当てた貴重な一冊です。
著者は、“つくる人”という言葉を使い、その意味を強調しています。
文章を書くことは、単なる文字を綴る作業ではなく、アイデアや感情を編み込み、読者の心を動かす創造の過程なのです。
エンターテインメントの精神を持ちながら文章をつくること―これが大切な要素です。
文章は単なる情報の羅列ではなく、読者を楽しませ、感動させ、考えさせるものでなければなりません。
本書はその視点から文章のクリエーションを探求しています。
編集者としての視点
さて、本書はどのような内容が含まれているのでしょうか?
まず、編集者としての視点から文章を見つめ直し、内容をパッケージとして編集する方法が解説されています。
文章は「人」「テーマ」「スタイル」の3つが重要な要素です。
ライターが編集する際には、誰が語るのか、何を伝えるのか、どのようなスタイルで表現するのか、これらを考えてパッケージングすることが大切です。
そして、ライターが持つべき価値を掘り下げています。
- 情報の希少性
- 課題の鏡面性
- 構造の頑強制
これら3つを組み合わせることで、単なる文章はコンテンツとしての価値を持つものへと変わります。
読者が欲しがる情報や課題を見つけ、その魅力を最大限に引き出す方法が示されています。
取材の重要性もこの本では語られています。
取材者は、人を読むように“人”を読み、コトを読むように“コト”を読み、世の中を読むように“世の中”を読む必要があります。
これによって、文章はより深みを増し、読者の心に響くものとなるのです。
この本を手にすることで、文章のクリエーションプロセスをより深く理解し、より感動的な文章を書くことができるでしょう。執筆の際には、ただ情報を伝えるだけでなく、読者の心を捉える力を養う手助けとなることでしょう。
ライターの創造性を引き出す大きな要因
本書は、ライターとしての力を磨くために不可欠な視点やスキルを提供してくれます。
文章を書くことは、情報をただ伝えるだけではありません。それ以上に重要なのは、情報を能動的に読み込み、ジャッジする力です。
著者は、「キャッチ」するだけでなく、「ジャッジ」する能力の重要性を強調しています。
感想を述べること自体が、他者の言葉を自分の頭で再構築し、新たな言語表現としてまとめる行為であると著者は指摘します。
このプロセスこそが、ライターの創造性を引き出す大きな要因なのです。
文章を書く際には、自分なりの判断と捉え方を持つことが重要であり、そのためには情報をただ受け入れるのではなく、アクティブに考え抜くことが求められます。
また、目的を持たない「乱読家」としての姿勢も、ライターにとって大切な素養とされています。
何事も目的を持って読むことで、より深い理解や洞察が得られます。
しかし、あくまで多面的な視点を保ちながら、自由な読書を楽しむことも重要です。この状態こそが、新たなアイデアや視点を見つけるための基盤となり、文章をより豊かにするのです。
さらに、取材においてもその重要性が強調されています。
取材者は情報を集めるだけでなく、それを自身の視点や洞察と結びつけ、新たな洞察を得る努力を惜しまないことが求められます。
自分を更新する意欲がない限り、単なる情報の羅列に終わってしまうでしょう。
取材の際には、その情報背後に潜むストーリーや意味を見逃さずに探求し、読者に新たな視点を提供することが重要です。
この本を手にすれば、単なる文章を超えて、深い洞察と創造性を持った文章を書くためのヒントが得られることでしょう。
ライターとしてのスキルを向上させ、読者の心に響く文章を創り上げたい方々にとって、真に価値ある一冊です。
まとめ
「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」は、書くことの魅力を再発見し、クリエイターとしての成長を遂げたい方々にとって、宝のような一冊です。
本書のページをめくるたびに、文章の可能性に新たな扉が開かれることでしょう。
ぜひ手に取り、その魅力を存分に味わってみてください。
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