SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
17の目標と169のターゲットについて子供にも理解しやすいようにまとめて、ぞれのターゲットについて考えていきたいと思います。
コロナ禍がSDGsにもたらした影響
コロナ禍がSDGsにもたらしている影響については、以前にこのSDGSブログでも紹介しました。
今回は2021.5.10(mon.)-5.14(Fri.)に開催されている日経SDGs/ESG会議に登壇されたIMAGINE共同創立者兼会長・ユニリーバ前最高経営責任者(CEO)ポール・ポールマン 氏がコロナ禍でSDGsが後退している認識について講演されています。
ポール・ポールマン 氏は、ユニリーバの「売り上げ規模を2倍、環境負荷を半減させる」を軸にしたサステナビリティ戦略を率いてきていました。
2018年12月にユニリーバCEOを退任後、貧困や不平等を根絶し、気候変動対策を推し進めるため、企業を支援する財団「IMAGINE」を設立しています。
以下は講演内容の概略です。
過去50年で、生物の個体数は平均68%減少したという衝撃的なデータがあり、6度目の大絶滅ともいわれている。
熱帯雨林は半減し、早ければ2027年には温暖化の閾値1.5度を超える可能性もある。
この世界を機能させるためには、2050年までに温暖化ガスの排出量をネットゼロ(実質ゼロ)にしなければならない。
自然は、私たちに年間125兆円規模もの恩恵を与えてくれていることを忘れてはならない。
私たちは自然に依存しており、保護する責任がある。
あまりにも多くの人々が取り残されている。43億人が1日5ドル以下で生活し、16億人の脆弱な労働者がいる。
8億人が飢えに苦しみ、1億2000万人が極度の貧困に陥っている。
パンデミック以来、労働者は3.7兆ドルの収入を失った。一方で、富裕層は、3.9兆ドルを稼いだ。これは、地球上のすべての人にワクチンを行き渡らせるのに十分な額だ
コロナの感染拡大は、SDGsの達成を20-30年、後退させた。社会的な不安は高まり、気候変動の影響も悪化している
SDGsをビジネスモデルに組み込むことで、最大のビジネスチャンスが生まれる。
これまでサステナビリティに取り組むことはコストだと思われてきたが、『何もしないコスト』の方が高くつく。
コロナからの経済復興のなかに、人や地球を含めること、つまり経済とサステナビリティの両立が重要だ。
コロナによって、従来のシステムは持続的ではないことに気付き、政府や投資家が目を覚ました。
自分たちの失敗が見えてきた。『健康な人々』は『不健康な地球環境』では育たない。
リスクマネジメントに重きを置いた従来のCSR(企業の社会的責任)から、本物の社会的責任を追う企業『RSC』に移行しなければならない。
地球のため、公益のために、ビジネスモデルをポジティブに変換させなければ、企業は生き残れない。
ユニリーバ時代、12年前に金融危機が起こり、ビジネスモデルの変革が必要になった。
その為、株主目線だけではなく、長期的で、多種多様なステークホルダー(利害関係者)の視点を取り入れ、マルチステークホルダーの観点で事業を見直した。
パーパス(存在意義)を中心に据え、社会的な影響を最大化しようとした。例えば、衛生用品や女性の自己尊重を促す美容製品など、SDGsの課題解決に貢献するような製品・サービスを生み出すことに注力した。
その結果、収益力あるブランドを構築し、競合を上回る成長を実現した。
企業には、意欲的なサステナビリティ目標とその説明責任がより一層求められている。
消費者も、どう製品が生産されているのか、かつてないほどの透明性を求めている。目標と透明性がカギを握る。私たちの決意、リーダーシップが試されるとき。議論ではなく、行動が必要だ。
日経SDGs/ESG会議 登壇 略
誰一人取り残さないという視点からの課題
今回のメッセージにあるパンデミック以来の貧富の格差がより進んだ事とSDGsの達成がSDGsの達成を20-30年、後退させたという発言は衝撃的です。
「予定より62年遅れている」
また、2020年9月コロナのパンデミックが続く中、アメリカのNPOのソーシャル・プログレス・インペラティブのSDGsの達成に関する指標の発表に注目が集まりました。
以下日本経済新聞の2020年9月25日の記事の抜粋です。
同NPOは、国内総生産(GDP)ではとらえられない各国の社会・環境への取り組みを評価した指数を2014年から算出しています。
同NPOの計算では、すべての国がSDGsを達成した場合を100とすると、2020年は72.57。
15年からの改善度はわずか1ポイントにとどまっています。
改善ペースが今のままであれば17ゴールの達成は期限の30年どころか、82年になる。さらに新型コロナによる悪影響で10年遅れ、92年まで伸びる可能性があるとした。
SDGsの達成度は以下のように計測している。SDGsのターゲットで定められた具体的な数値目標を満たした状態を100とする。
たとえば、ターゲット3.1「30年までに、世界の妊産婦の死亡率を10万人当たり70人未満に削減する」では、10万人あたり70人を100とし、現時点での達成度を0~100で示す。
この試算には、同NPOが14年から毎年発表しているソーシャル・プログレス・インデックス(SPI)を活用した。
SPIは世界各国の社会や環境といった経済以外の取り組み結果に着目したもの。
栄養不足の比率、妊産婦死亡率、電気へのアクセス、60歳での平均余命、温暖化ガス排出量など「結果」を示す50の指標を用いて、国ごとの取り組みの進捗を0~100で表す。
各国の点数を人口で加重平均したものが世界全体の点数になる。
SPIのランキングでは、先進国ほど上位だ。
トップがノルウェーで、デンマーク、フィンランドと北欧諸国が並ぶ。
一方、下位は南スーダンやチャドなどアフリカ諸国だ。日本は個人の安全と健康の評価は高いが、温暖化ガス排出量や政治の男女平等などが課題で13位だった。
日本経済新聞の2020年9月25日の記事
元々SDGsの枠組みはヨーロッパ主体の考え方からのスタートでルール作りにおいても欧州が上位に位置されやすい状況もあります。
国連で採択され、進めている課題においても、各国の課題における優先順位が違います。
そんな中、コロナによるパンデミックは、先進諸国においても経済格差による保健衛生上の格差を生む結果となっています。
世界規模の課題から新技術によるワクチン開発やそれに続く技術開発などよい面にもフォーカスしながら、持続可能な開発に繋がる正しい情報を共有していきたいと考えています。
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