GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 / アダム グラント (著), 楠木 建 (監訳)
自分の感想・気づき
この本を読んで最初に感じたのは、「与えること=美徳」では終わらない現実的な視点に驚かされたということでした。
冒頭から「GIVERは最も生産性が低く、成功しない」という一文にグサリと刺ささりました。
でも、それこそがこの本の核心。つまり、“ただの優しい人”では生き残れないという、GIVERに対する本気のメッセージでした。
3つの人間タイプからの出発点
本書では人間を3タイプに分類しています。
- GIVER(与える人):相手の利益を優先する人
- TAKER(奪う人):自分の利益ばかり考える人
- MATCHER(帳尻を合わせる人):与えたら与えられたいと思う人
この分類は、日々の職場の人間関係にそのまま当てはまります。
自分も含めて、思い浮かぶ人の顔が次々に出てくるほどリアルでした。
ただし、最大勢力がMATCHERであるという点が非常に興味深かいものでした。
MATCHERの存在が、TAKERを抑え込み、GIVERが報われる社会の“安全装置”になっているという点は希望を感じました。
成功するGIVERと、失敗するGIVERの決定的な違い
本書で強調されるのは、GIVERには2種類あるということです。
- 搾取されるGIVER(自己犠牲型)
- 成功するGIVER(Win-Win型)
自分の10を与えて0になってしまうのではなく、10と10を掛け合わせて30にも40にもしていく発想こそ、現代のGIVERに求められる姿勢です。
これはまさに、“与えながらも自分も育つ関係性を築く”ということです。
心に残ったキーワードと実感したこと
✔ GIVERは「ネットワークのつなぎ手」
GIVERは、しばらく連絡を取っていない“休眠関係”を再活用する力がある。
★自分も仕事での人脈が自然に助け合いの連鎖になっていたことを思い出し、それがまさにGIVER的な関わり方だったのかと腑に落ちました。
✔ GIVERの影響力は「5分間の親切」から始まる
ちょっとした手助けが信頼を生み、ネットワークを育てる。
★“与えることが伝染する”という視点に希望を感じた。誰かに親切にされたら、次は自分が誰かに渡したくなる。組織の文化を変える鍵は、こういう小さな行動からかもしれません。
✔ ギブは量が増えるほど生産性も上がる
ギブしすぎると疲れるどころか、むしろ信頼関係が厚くなって“助けられやすくなる”という好循環が生まれるという分析は新鮮でした。
✔ ギバーは「チーム力を最大化する人」
嫉妬されず感謝される存在として、周囲の力を引き出す。
★才能のある人ほど孤立しやすいが、ギバー的な人はチームの“安心感”を生むことで、協働による成果を高めていける。その在り方に強く共感しました。
今後に活かしたい学び
- 自己犠牲ではなく、Win-Winを設計した上でギブする
- テイカーを見抜く力を持ち、必要ならマッチャーに切り替える柔軟さを持つ
- 自分のギブの「影響」が確認できる仕組みを意識して、燃え尽きを防ぐ
- 相手の弱みを引き出すのではなく、自分の弱みをあえて見せることで、信頼を深める
- ギバーとしてのモチベーションを保てる環境をつくる(自分にも、他人にも)
まとめ
『GIVE & TAKE』は、“与えること”が単なる善意ではなく、戦略的かつ持続可能な成功の鍵になりうることを教えてくれる一冊でした。
これまで「なんとなく人のためにやってきたこと」に対して、「それでいい」と背中を押された感覚があります。
そして、「与える相手・方法・タイミング」を見極めることが、ギバーとして生きる上で最も重要なスキルなのだと気づきました。
これからも、“自分も相手も育つギブ”を意識して、与えることを楽しんでいきたい。

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