ビジネスエリートになるための投資家の思考法 奥野 一成
今回紹介する本は投資信託「おおぶね」ファンドマネージャーの奥野 一成さんが書いた『ビジネスエリートになるための投資家の思考法』です。
奥野 一成さんについたはNewsPicksの「INVESTORS」という番組を視聴し分かりやすく投資家の思考法について紹介されていたので、この本を購入することにしました。
個別銘柄や業界の紹介もどういった思考法で投資をおこなっているか説明されていて分かりやすい内容です。
日本のファンドマネジャーの中には顔だしされない方も多くいる中で自らの主張を機会があるたび表現されている姿は共感できますし、ロジックの組み立てらてた話の内容は理解しやすいです。
私の投資スタイルはビジネスユチューバ―の「両学長 リベラルアーツ大学」の書籍「お金の大学 」をベースにインディックス投資と高配当株式のドルコスト平均法購入ですが、この本ではこの投資法に否定的な意見です。
投資スタイルにはそれぞれの価値観が反映されますが、私は上記投資をベースに奥野さんの投資スタイルの割合も少し自分のポートフォリオに入れていこうと思います。
配当は強制的な利益確定である。
個人投資家だけでなく機関投資家でも配当を喜ぶ人は多く、「高配当銘柄」「高配当ファンド」も人気です。
しかし配当も定期的な利益確定です。配当は、売る必要のない株を強制的に売却させられてるのと同じことです。
いわば配当は、タコが自分の足を食べている「タコ食い」のようなものですがこの構造を理解していない人が以外と多いのです。
「インベスターは間接的に複利効果を得る」と述べた通り、本当に素晴らしい経済性を有し、事業投資機会が潤沢な企業、例えばアマゾンなどは配当など行いません。
本書 抜粋
プロの投資家らしいごもっともな意見です。
投資家の思考法を身に付けるということは決算書などから会社の目指す姿やその会社が社会にとってどのような課題解決を行っており、参入障壁を設けているかとういう見極めを持つということです。
インベスターシンキング(投資家の思考法)の重要ポイント
ビジネスパーソンの持っている広義の資産は「時間」「才能」「お金」であり、この3種類の資産は交換可能です。
将来の資産(時間・才能・お金)を大きくすることこそが人生における広義の投資と著者は考えます。
自分という「資産」に能動的に働きかける自己投資は若いビジネスパーソンにとっては金融資産に比べ、はるかに安全確実で高利回りです。
この2つの投資(金融資産投資・自己投資)を実現できれば「労働者1.0」から「労働者2.0」へ人生のフェーズが上がります。
この2つの投資に共通する具体的な思考行動特性「投資家の思考法」と述べ、重要なポイントは『ビジネスの本質である、付加価値を創出する構造を見極める」ことです。
ビジネスの3つの要素
事業(ビジネス)の経済性とは、その事業の成長性や収益性を決定づける条件のことで、たまたま市況が良かったとか、ヒット商品に恵まれた等一時的な要因でない構想的な以下の3つの要素から構成されます。
- 付加価値:その企業が提供する財・サービスに顧客にとって付加価値があるか、顧客にとって必要なもの、問題解決につながるものか
- 競争優位性:圧倒的な競争優位性があるか、参入障壁と言えるまでに高められているか
- 長期潮流:人口動態にような不可逆的(元にもどりにく)な長期潮流があるか
ラショナルという企業の付加価値例
本書で初めて知った企業にドイルの「ラショナル」があります。
スチームコンベンションオーブン(スチコン)という、レストランやホテルの厨房で使用される特殊なオーブンで世界シェア50%を誇る企業だそうです。
料理の入れんのプロセスを考えるとき、レシピ開発・材料仕入れ・下ごしらえ・加熱・味付け・盛り付けに比べると「加熱」工程はある一定のレベルをクリアすれば顧客満足を得ることにつながりにくい工程です。
それなのに、焦がしてしまえば食材が無駄になるので、加熱中は技術を持った調理人がコンロの前に張り付く必要があります。
加熱工程はレストランの経営者にとって、コストがかかる割に最終料理の差別化につながらない工程とも言えます。
この問題を解決するのがラショナルのスチコンでスチーム(蒸気)とコンベクション(熱風)をコンピュータで制御し焼く・蒸す・揚げる・炒めるなどの加熱調理を完全に自動で行うオーブンです。
更にラショナルのスチコンが優れている点はオーブン内の段ごとに違う料理を同時に作れます。
ラショナルのスチコンを導入することは熟練のシェフを一人雇うと同等の効果があるということです。
だからレストランの経営者は200万もするオーブンを喜んで購入します。
これがビジネスの3つの要素の付加価値でもあり競争優位性でもあります。
ラショナルの粗利益率は約60%、営業利益率は30%近く,製造業としては非常に高い水準です。
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