紹介本『ザ・ゴール』

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ザ・ゴール / エリヤフ・M.ゴールドラット

今回紹介する『ザ・ゴール』は、アマゾン創始者ジェフ・ベゾスが読んだという伝説の名著です。

この本で学べる制約条件理論(TOC:Theory Of Constraints)は、トヨタ生産方式をはじめとした、日本で経験則的に行われていた方式を分析し、理論化したものです。

TOCは「どんなシステムであれ、常に、ごく少数(たぶん唯一)の要素または因子によって、そのパフォーマンスが制限されている」という仮定から出発した包括的な経営改善の哲学であり手法です。

この本の原書が発刊された当時は日本企業の国際競争力が高い時代でした。

著者のゴールドラットは、「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」と長く邦訳を許可しなかったというエピソードもあります。

あらすじ

『ザ・ゴール』は、エリヤフ・ゴールドラットによって書かれたビジネス小説です。

物語は、主人公であるアレックスが経営する工場での課題や問題に直面しながら、効果的な経営手法を学んでいく過程を描いています。

アレックスは、機械メーカー「ユニコ社」の新任工場長です。しかし、その工場では、慢性的に出荷遅れが続いていて、上司の取締役から、3か月以内に目標を達成しなければ工場を閉鎖すると言い渡されます。

アレックスは、空港で偶然あった大学時代の恩師ジョナと再会し、工場の評価の仕方に問題があることを学びます。

ジョナはアレックスに「真の生産性とは何か」を考えるようにアドバイスを与え、工場の幹部と一緒に工場再建に取り組みます。

物語は、アレックスが生産の制約を見つけ出し、その制約を解消するための手法である「制約の理論」を学ぶ過程を通じて展開されます。制約の理論は、ビジネスにおいて制約となる要素を特定し、その制約を解消することで全体のパフォーマンスを向上させる手法です。

本書では、制約の理論を通じて、効率性や生産性の改善に取り組むアレックスの物語が語られます。

物語の中で登場するキャラクターや具体的な事例を通じて、読者はビジネスの課題や解決策について考えさせられます。

TOCは製造業だけの理論ではない

制約条件理論(TOC:Theory Of Constraints)は、適用範囲の広い考え方で『ザ・ゴール』では工場再建のストーリとなっているので、製造業の理論と思う人もいますが様々な場面で活用できる理論です。

TOCを実行するには5つのステップがあります。

①制約条件を設定する→②制約条件を徹底活用する→③制約条件以外を制約条件に従わせる→④制約条件を強化する→⑤制約が解消したら、惰性に注意しながら、最初から繰り返す

①制約条件を設定する

重要で改善の余地はあるのだけれど、伸ばせるかが不確かで、一番弱いプロセスを特定することです。

一般的には、弱い部署、組織が担っていることが多いプロセスです。

弱い組織は新任リーダーが担当していたり、メンバーの大半が異動者は新人あるいは派遣社員などであることが多い。

②制約条件を徹底活用する

制約条件がある組織は、そこでしかできない業務に集中させます。

③制約条件以外を制約条件に従わせる④制約条件を強化する

他の組織は制約組織をサポートします。それが③・④のステップです。具体的には、制約組織の業務を肩代わりしたり、優秀な人材を制約組織に異動させたりします。

本部が積極的にこの制約組織のために人材を採用したり、教育環境を整えます。

物語でのTOCの進め方

1.制約の特定と重要性の理解:

アレックスは制約の理論を学ぶことで、製造ラインの生産性や効率性に影響を与える主要な制約を特定することが重要であると気づきます。

これにより、彼は問題の根本的な原因を明確に把握することができました。

2.ボトルネックの解消への取り組み:

制約の理論に基づき、アレックスはボトルネック(制約)となっている工程や部門に対して特別な対策を講じる必要があることに気づきます。

彼はそのボトルネックを解消するための効果的な方法を見つけるために、新たなアプローチや手法を学びます。

3.全体最適の視点へのシフト:

アレックスは制約の理論を通じて、単一の部門や工程の最適化ではなく、全体的なパフォーマンスの最適化を追求する必要性を理解します。

彼は、全体のシステムのバランスを取りながら改善を行い、生産性と効率性を向上させることに注力します。

アレックスが制約の理論を学ぶことで得たこれらの気づきや変化は、彼の経営視点やアプローチに大きな影響を与えました。

彼は従来のやり方にとらわれず、問題の本質を見抜き、全体最適の視点で課題に取り組むようになりました。

これにより、彼の工場の生産性と効率性が向上し、結果的に組織全体のパフォーマンスが向上したのです。

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    コメント

    コメント一覧 (1件)

    • 紹介本『「本当に役立った」マネジメントの名著64冊を1冊にまとめてみた』 | takamyublog より:

      […] 私自身も今関わるプロジェクトで課題と感じているチームづくりの課題について第3章の『ザ・ゴール』と『ザ・ドリーム・マネージャー』を購入し大変参考になりました。 […]

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