介護 高齢者住宅 囲い込み 過剰介護の実態

このブログでは「介護役立情報」を紹介します。

今回はサービス付きの高齢者住宅 【以下サ高住】で行われている囲い込みと呼ばれる過剰介護の実態について紹介します。

自らの親の住み替えや将来の介護などを考えられている方の参考になればと思います。

目次

高齢者の住居の課題が背景

現在課題となっているサ高住の囲い込みの説明の前に全国で多くのサ高住が開設された経緯を紹介します。

以下のグラフ①は2015年の資料です。

当時統計データを積み上げると、病院や介護付き施設の全ての総数を足しても死亡場所がない高齢者数の推移です。

いわゆる2025年問題と言われていて、2030年にピークを迎える予測です。

その後なだからかに高齢者人口は減っていくため、いつまでも医療・介護施設を公的予算で増設し続けると維持管理費が増え続けていきます。

また、一般賃貸住宅では孤独死等事故物件やごみ屋敷化のリスクなど高齢者のみの賃貸借契約に関しては消極的という課題もあります。

また、過疎地域で在宅介護サービスを行う場合移動時間がかかり生産性が低く収益悪化でサービス事業所の運営は難しい状況です。

グラフ①

死亡場所

上記のような高齢者の住まいに関する課題を解決するために高齢者専用の住宅に関して多くの補助金付き全国でサービス付き(自費見守り・管理等)高齢者住宅【以下サ高住】が開設されました。

囲い込みとは

サービス付きの高齢者向け住宅の囲い込みとは、以下の3つの課題があります。

①財政負担

まずは、初めの前提としてサ高住は住まいであるということです。

上記のグラフ①でいうと2030年予測の47万人の住まいです。

介護老人施設の様に24時間介護付きの人口はわずか9万人です。

2019年の予算執行調査によると、 サ高住は一般在宅生活者より介護サービスを25%~45%多く利用しています。

グラフ①でいうと 2030年予測の自宅20万人の人より多く介護サービスを利用しているデータが以下表です。

もう少し具体的に言うとサ高住の生活にかかる社会保障費は、軽度者にあっては小規模多機能を利用するより重く、中重度者にあっては特定施設に入居するより重いということになります。

9万人の財源で24時間介護を行っている社会保障費を一気に財政負担が増えていることが課題①です。

② 介護保険制度との整合性

全国でサ高住が建設される経緯で建物オーナーには土地活用で建設メーカーが運営会社とセットで営業活動を行いました。

住宅費・管理費・水道光熱費・食費・介護保険(1割負担)の総額で少しでも低価格のサ高住が入居率が高くなりサ高住間の価格競争は激化します。

価格競争で生活コスト( 住宅費・管理費・水道光熱費・食費)を下げ、介護保険利用限度額まで使用するビジネスモデルで訴求されます。

本来サ高住は住居の為、入居者は介護サービスを自由に選択できるはずですが、運営事業者によっては、入居条件に運営事業者が運営する介護サービスを利用することを入居条件とする運営事業者も後を絶ちません。

運営会社のサービス利用を入居の前提とすると、中立的なプランニングに限界が生じます。

また、利用者の選択に制限を設けることは、選択の自由の阻害を意味し、介護保険制度のそもそもの在り方と矛盾するのではないか?という声が課題②です。

立ち入り調査等の手前で一部外部事業者を利用していてもコロナ禍では、サ高住運営事業者が外部デイサービスの利用を中止する動きもありました。

この事を問題視した厚労省は入居者の身体機能の低下を危惧しサービスを中止する事業者に改善要請を出しています。

実際の運営に関しては要請レベルの為、家族の希望という理由を盾に緊急事態宣言下で外出や外部サービスの受け入れを中止する事業者は後を絶たない状況でした。

有料老人ホーム等における入居者の医療・介護サービス等の利用について

③ サービスの品質

サ高住は、総量規制がなく、補助金や税制優遇があることから、異業種参入の多い業態です。

一方で、指導監査体制が十分に整っておらず、運営の質にバラつきが大きいことが指摘されています。

特に近年は、運営体制の不備がキー局や全国紙で大々的に報道されたこともあり、問題意識が広く一般的に浸透するに至っています。

上記のような囲い込み問題があり、この度の改定において厚労省は「サ高住入居者等へのケアプランの点検」を導入し対応を強化します。

囲い込みの実態調査

10月18日付け読売新聞の取材によるとサ高住 の入居者に、過剰な介護サービスを使わせて利益をあげる「囲い込み」と呼ばれる不適切な行為が問題になっています。

所管する都道府県などに読売新聞がアンケート調査を実施したところ、約4割が事業者による囲い込みを把握していました。

介護保険の指定を受けるサービス事業者に対しは運営状況を正しく把握する為、実地指導を行う事が法で決められているため定期的に自治体が指導を行っています。

一方サ高住に対しては実地指導の権限はなく、立ち入り調査は出来ますが、約9割の自治体が立ち入り調査を計画通りに実施できておらず、チェックが追いつかない実態が浮き彫りとなっています。

9割で立ち入り調査進まず

調査は7~8月、全国で約27万人が暮らすサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が2011年度の制度創設から10年になるのに合わせ、所管する都道府県や政令市など129自治体にアンケート形式で実施。

対象の全自治体が回答した。

サ高住では、安い家賃で集めた入居者を併設する自社のデイサービスに通わせるなどして、税金と保険料が主な財源の介護保険で利益を確保する「囲い込み」があるとされる。

囲い込みは、利用者の自立を妨げる過剰介護につながりやすく、介護給付費の増大を招いて保険料上昇の要因にもなるため、厚生労働省が自治体に指導の徹底を求めている。

調査では囲い込みについて、通報や苦情などを通じて51自治体が「把握している」と回答。

内容(複数回答)は「併設事業所の介護サービスしか使わせない」(47自治体)、「介護保険で定められた限度額ぎりぎりまでサービスを使わせる」(35自治体)を挙げた。

運営状況を監視するため、国の指針に基づいて実施する定期的な立ち入り調査については、18~20年度に計画通り実施できたのは18自治体だった。

20年度の立ち入り件数は計530施設と、前年度より約6割減少した。

計画通り実施できなかった111自治体に理由を複数回答で聞いたところ、101自治体が新型コロナウイルスの影響を、42自治体が職員不足を挙げた。

読売新聞記事抜粋

まとめ

住まいであるサ高住に直接実地指導の権限がなく立ち入り調査も全国的に進んでいない現状です。

このような課題を解決するために厚労省はケアプランにメスを入れる法改正を行いました。

2021年改定 サ高住入居者等へのケアプランの点検

いずれにせよ大切な家族の新たな住まいや介護サービスを考える際、運営事業者の考え方をよく理解する必要があります。

例えば、コロナ禍で外部のデイサービスに本人が希望し、厚労省が利用中止の改善要請を出していたとしても「家族の希望」を盾に無視する運営事業者に家族も強く要望を出せない状況です。

囲い込みの問題、コロナ禍の行動抑制等全部の事業所ではありません。

入居を検討される際は、外部の中立的な立場のケアマネに相談し、評判を聞くことをお勧めします。

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