介護現場支えるケアテック団体が制度見直し要請

このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選びや介護の仕事情報等を紹介します。

今回はケアテックによるケアの質の向上と介護従事者、事業者の負担軽減、生産性向上を目指す日本ケアテック協会が「ケアテック活用推進法」の立法化を政府に進言した件について紹介します。

目次

「ケアテック活用推進法」を提言する要望書

日本ケアテック協会は、テクノロジーを駆使した先進的な介護支援ツールを開発する企業などで作る団体です。

入会はケアテック事業者以外にも介護事業者、個人などが入会可能で、以下の基本方針を立てています。

活動方針

  1. 現場視点によるケアテック製品やサービスの開発の推進
  2. 介護現場がケアテックを利活用しやすい環境や情報整備の推進
  3. ケアテック推進のため、意見交換や提言の実行

ケアテック事業者として、パナソニックやコニカミノルタQOLソリューションズ、エス・エム・エス、エヌ・デーソフトウェア、LIFULL senior、Chatworkなども参加しています。

「ケアテック活用推進法」提案の背景

日本の総人口が減少に転じ生産年齢人口の減少が避けられず、75歳以上の高齢者の急速な増加と介護人材の不足が深刻化している国難に対処するため、また高齢化世界1位である日本が諸外国に先駆け本課題を解決するケアテックの活用・普及、国外輸出することで、諸外国を率いるリーダーシップを発揮することが可能となります。

しかし、これまで大小様々な企業が介護業界の課題解決のために新規参入するものの、現在の介護保険制度では、介護事業所に投資余力がなく、マネタイズが成り立たないため、事業継続が困難な状況となっており、ケアテック領域の産業は市場として成り立っていないと考えています。

このため、本協会としては、介護のサービス水準を維持・向上させつつ、我が国の介護の担い手の急減という国難に対処すること及び、高齢化率世界一の高齢先進国でもある我が国が、諸外国を率いていくリーダーシップを発揮することができるよう、ケアテックの更なる普及、活用促進を図る観点から、ケアテック活用に向けた立法化を12月10日に自民党ケアテック推進議員連盟に対して提案しました。

日本ケアテック協会 プレスリリース 抜粋

この背景の考え方はこのブログで紹介した本「落合陽一34歳、「老い」と向き合う」で語られている内容に通じるものです。

ただしテックにより解決する課題には現在介護の現場で働く職員の意識変化が必要となります。

現状のオペレーションに慣れ親しんだ介護現場で働く多くの方は、変化を好まないケースも見受けられます。

その要因の一つは慢性的な人手不足です。

2021年度の改定で導入されたLIFEで発生した混乱は、慢性的な過剰労働の上に、新たな登録や入力作業が入ったことです。

又、介護保険制度改正の度に実施される実態調査は、調査主体は大手の委託業者ですが、統計調査の回答は現存職員で行う事業者の負担への配慮はなされていません。

事業所が6年に1度行う指定更新には、各指定権者の印紙を添付するようにも変更されてますが、事業者の事務負担に係る割増報酬はありません。

協会の提案内容に関して、大きな時流として容認・賛成ですが、移行時期の労働集約型の介護事業者の負担軽減にも配慮しながら進めて欲しいと考えます。

また、下記の日本ケアテック協会の提案内容は、全ての介護現場で働く人が理解できる内容ではありません。

8割以上が中小企業が占める介護事業者と大手介護事業者の間には資本力を含めテック導入の格差が生じる可能性もあります。

  「ケアテック活用推進法」 提案の主な内容

1.利用者の自立支援・重度化防止・QOLの向上、介護事業者の生産性向上に資するケアテック活用推進法の創設
介護保険法施行から20年となりますが、地方自治体の裁量により、度重なる制度改正や、自治体のローカルルールなどにより、仕様変更等を余儀なくされることや、補助金の運用が硬直的であるなど、日本のケアテック産業の市場が拡大しにくい現状があります。

このため、「ケアテック活用推進法」を制定することで、世界に誇る日本の最先端技術を他国に展開し、産業の振興を図っていただくことを提案しています。

市場の創出にあたって、具体的には、ケアテック・介護用業務機器(SaaS含む)への定常的な介護保険の収載、介護業務のDX化(人員配置基準との連動、物理的訪問の大体、記録の自動化)、テクノロジーを活用したエビデンスに基づいた介護に対するインセンティブの創出等が必要と考えています。

2.ケアテック活用による労働集約型の介護保険制度の見直し
労働集約型の介護保険制度の見直しのためには、介護保険制度はもとより、それに付随する手続きをDX化し、民間投資を促進する必要があると考えます。

現状の報酬制度を、段階的にICTを活用したオペレーションを前提とした体系としていくことの他、テクノロジーを活用した認定調査の公平性の担保、認定事務の効率化、介護オペレーションそのもののDX化等が考えられ、これによって効率化された財源は、介護従事者の処遇改善や利用者のケアの質向上に繋げていくべきと考えています。

3.技術革新を鑑みた介護業務用機器の在り方の見直し
併せて、介護業務用機器のあり方についても見直しが必要と考えています。

福祉用具については、介護保険法制定以降、技術革新等が進んでいるにもかかわらず、対象機器の考え方が変わっていません。

また、現在では、在宅で活用できるIoTを活用した見守り機器や業務支援に資する利用者の生活リズムの見える化機器等も開発されているにもかかわらず、現行制度では、在宅で活用できる介護ロボットについては、導入支援や定常的な報酬制度も整備されていません。

在宅、介護事業所向けと機器を活用する場を分けて制度を制定するのではなく、例えば「介護機器認証制度(仮)」等を創設し、ICT・AI・IoTの活用を前提とした形でケアテック産業の発展が図られる制度、スキーム構築を提案しています。

日本ケアテック協会 プレスリリース 抜粋

まとめ

なくせワンオペ!プロジェクトの様に現在過酷な夜勤勤務の実態があります。

方やセンサー等テクノロジーの活用でオランダでは日本の3倍の利用者数を夜勤者が対応している現実もあります。※引用

家族的な介護スタイルを望まれてきたサービス利用者とそれに応えるために努力を重ねてきた介護職の価値観が変化するには時間がかかります。

また、包括的な制度は地域が抱える課題にはそぐわない点も含め、ローカルルールがある現状は否めません。

テクノロジーの領域においても、地域の課題に沿った運用のし易さを醸成していってほしいものです。

※「落合陽一34歳、「老い」と向き合う」 抜粋

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