このブログ「介護役立つ情報」では、介護事業所に関わる情報を紹介しています。
今回は、2022年上半期(1-6月)大幅に増加した介護事業所の倒産状況について紹介します。
減少から一転、コロナ禍の利用者減とコスト増で大幅増加
東京商工リサーチの調査結果によると、介護報酬の改定やコロナ関連支援策で減少していた「老人福祉・介護事業」の倒産が、2022年上半期(1-6月)は53件発生し、前年同期(38件)の1.4倍に急増しています。
2020年度から続くコロナ関連の支援や助成金で一息ついた感はありましたが、コロナ関連の支援も少なくなり、人件費・採用経費の増大や物価上昇による運営コストは増大しています。
また、第7波など感染者の再拡大で全国的に高齢者施設におけるクラスター感染も増えていることから、利用控えも想定されます。
資金繰りを支えた実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)も、据置期間が終了し元本返済と利払いが始まる事業者が増えています。
コロナ支援効果の薄れに加え、今年に入り食材や光熱費が高騰していますが、食事代金などコスト増の価格転嫁が難しい介護サービス事業はこの状況が続くと倒産や廃業が本格化する可能性も高まっています。
倒産は一転して、大幅増に
東京商工リサーチの調査結果によると、2022年上半期(1-6月)の「老人福祉・介護事業」倒産は、53件(前年同期比39.4%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、過去最多の2020年同期の58件、2番目の2019年同期の55件に次ぐ、3番目の高水準の様です。
負債総額は149億8,500万円(同775.8%増)と前年同期から約9倍に急増、年上半期では3年ぶりに100億円を上回った。
負債1億円未満は42件(構成比79.2%)で、全体の約8割を小・零細事業者が占めたが、負債10億円以上の大型倒産が3件(前年同期ゼロ)発生し、負債を押し上げた。
2022年上半期(1-6月)は、「通所・短期入所介護事業」が17件と前年同期の11件(前年同期比54.5%増)から大幅に増えた。競争激化とコロナ禍での利用者の伸び悩みが影響した。
また、ヘルパー不足が常態化する「訪問介護事業」も22件と、前年同期と同数だった。
有料老人ホームは前年同期は発生がなかったが、2022年上半期は8件発生。投資負担が重く、競争激化による利用者減で事業者の息切れが目立った。
東京商工リサーチの調査結果
全体の約8割を小・零細事業者が占めたのは、業界的な課題の浮彫でもあります。
今後介護人材が60万人も不足する事が想定される中、介護事業者の労働生産性の向上は必須課題です。
業界最大手のSOMPOケアは今年度、センサーやICTなど新たなテクノロジーを介護現場へ導入する効果を見極める国の実証事業に取り組んでいます。
競争力のない事業所を過度に保護し続けるのではなく、介護保険最新情報のVol.1089で発出された生産性の向上、ICTの導入などに取り組むうえで参考資料のように全体で生産性向上に努めていく必要があります。
原因別ほか
東京商工リサーチの調査結果によると原因別では、最多が販売不振(売上不振)の38件(前年同期比40.7%増、前年同期27件)。
次いで、設備投資過大が4件(同300.0%増、同1件)、事業上の失敗(同50.0%増、同2件)、他社倒産の余波(同200.0%増、同1件)、既往のシワ寄せ(同25.0%減、同4件)が各3件と続きます。
コロナ禍前の水準に利用者が戻らず、売上不振が7割超を占めています。
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従業員別、5人未満が5割超
従業員別では、5人未満の28件(前年同期29件)が最も多く、5人以上10人未満(同8件)と10人以上20人未満(同ゼロ件)が各9件と小規模の事業者が大半を占めています。
一方で、50人以上300人未満が3件(同ゼロ)、20人以上50人未満の4件(同1件)と従業員の多い倒産も増えている。
地区別件数、関東地区が最多
地区別では、全国9地区のうち、北陸を除く8地区で倒産が発生しています。
最多は関東の16件(前年同期12件)。
次いで、中部(前年同期4件)と九州(前年同期6件)が各9件、
近畿(前年同期9件)と中国(前年同期1件)が各6件、
北海道の3件(前年同期2件)、東北(前年同期2件)と四国(前年同期1件)が各2件の順だった。
都道府県別では、神奈川の6件(同2件)が最多で、大阪の4件(同4件)、北海道(同2件)と東京(同7件)、愛知(同1件)が各3件と続いています。
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