適切なケアマネジメント手法 国が推進!

このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選びや介護の仕事情報等を紹介します。

今回は、ケアマネジメントの質の確保ため、国が推進するケアマネジメント手法について紹介します。

「適切なケアマネジメント手法」の手引き【以下手引き】のねらいや概要を紹介します。

介護支援専門員の質の平準化や初任段階の介護支援専門員の育成を加速化することが主な目的です。

手引きの手法の概略と併せて2021年12月21日に普及推進の為、アップされた委員インタビュー動画も紹介します。

目次

適切なケアマネジメント手法とは

この手引きは「介護支援専門員の質の平準化や初任段階の介護支援専門員の育成を加速化すること」を主な目的としています。

その為、日々ケアマネジメントの有り方に研鑽を重ねている介護支援専門員には、物足りない内容でもあるでしょう。

手引きの紹介の目的は、忙しいケアマネジャーに短い時間で要点を理解して頂くためです。

また、手引きの手法の概略と併せて2021年12月21日に普及推進の為、アップされた委員インタビュー動画も紹介します。

詳細な内容は必要に応じ都度「適切なケアマネジメント手法の手引き」を参照されることをお勧めします。

まず、手引き作成の背景は、地域の高齢者の状況や生活のありようが多様化していて、ケアマネジメントにおいて取り扱う社会資源の範囲がより広がっている状況です。

コロナ禍で人流や対面を減らす為のテクノロジーの活用などケアマネジメントを取り巻く環境も加速度的に変化しています。

そのような状況下で介護支援専門員は、これまで以上に幅広く情報を収集・分析し、ケアマネジメントを推進していくことが求められています。

利用者の尊厳を保持し、生活の継続を支えるケアマネジメントの実践にあたり、介護支援専門員の先達たちが培ってきた知見の中で共通化できる知見に着目し、それを体系化したのがこの手引きです。

利用者やその家族の生活を支えるうえで解決すべき課題を捉えるため、先入観を持つことなく、網羅的に情報収集し、支援を組み立てるのがケアマネジメントの基本です。

利用者や家族のある状況に共通して、必要性を検討する視点もあり、「漏らしてはいけない視点」については、多職種間で共有し、具体的な支援の必要性を検討、ケアの実施、効果の検証が重要です。

この手引きを活用し、介護支援専門員だけでなく、他職種も共通理解し、地域全体で活用していくことが望まれます。

手引きの体系化は、まずは高齢者の生活を継続する基盤を支える「基本ケア」を老年学等の知見に基づいて作成されています。

既存のエビデンスがあり、多職種協働の必要性が大きいという観点で「疾患」ごとに、要介護状態となる要因の上位、あるいは重度化するとその後の影響が大きい疾患群や状況順に記載されています。

担当ケースの必要性に応じて活用することが可能となっています。

介護はもちろん医療や福祉、地域における生活支援サービス領域の知見やネットワークが必要で、相談援助や意思決定支援に関する知識や技術も記載されています。

各分野・領域の知見が深まっているため、介護支援専門員が一人で全ての領域の知見を身につけるのは現実的ではありません。

さまざまな領域の専門職等と円滑に連携するための基本的な知識が必要です。

ケアプラン検討時の「抜け漏れ」の防止
● 多職種協働の推進

● ケアプランの見直しの円滑

適切なケアマネジメント手法の手引きを使う意義

  • 支援内容やアセスメント項目の「抜け漏れ」を防ぐ
  • 他の職種との協働や役割分担を進めやすくなる
  • ケアプランの見直しをしやすくなる

適切なケアマネジメント手法の手引きの基本的な考え方

  • “あたり”をつけて効率よく個別化を行う
  • 「基本ケア」と「疾患別ケア」で構成される
  • 想定される支援内容からアセスメント/モニタリング項目がつながっている

適切なケアマネジメント手法の手引きの導入方法

場面で使用する  

  • 介護支援専門員:アセスメントやケアプラン原案作成
  • 指導担当者:事業所内や同行訪問での指導
  • 地域包括支援センター、職能団体:相談支援や研修、地域包括ケア会議
  • 保険者(自治体):社会資源の整備に向けた検討

使う時の留意点

  • 「基本ケア」と「疾患別ケア」はセットで用いる
  • 生活の場面で取り組むべきことに意識を向ける
  • 本人の生活を総合的に捉え、個別化する

「基本ケア」の理解を深める

「基本ケア」とは

「基本ケア」とは、生活の基盤を整えるための基礎的な視点であり、尊厳の保持と自立支援を踏まえ、現在の生活をできるだけ継続できるようにするために想定される支援内容を体系化したものです。

「基本ケア」の構成

「基本ケア」の構成は以下の通りです。

尊厳を重視した意思決定の支援

現在の全体像の把握と生活上の将来予測、備え
  • 疾病や心身状態の理解
  • 現在の生活の全体像の把握
  • 目指す生活を踏まえたリスクの予測
  • 緊急時の対応のための備え
意思決定過程の支援
  • 本人の意思を捉える支援
  • 意思の表明の支援と尊重
  • 意思決定支援体制の整備
  • 将来の生活の見通しを立てることの支援

これまでの生活の尊重と継続の支援

予測に基づく心身機能の維持・向上、フレイルや重度化の予防の支援
  • 水分と栄養を摂ることの支援
  • 継続的な受診と服薬の支援
  • 継続的な自己管理の支援
  • 心身機能の維持・向上の支援
  • 感染予防の支援
日常的な生活の継続の支援
  • 生活リズムを整える支援
  • 食事の支援
  • 暮らしやすい環境の保持、入浴や排泄の支援
家事・コミ ュニティでの役割の維持あるいは獲得の支援
  • 喜びや楽しみ、強みを引き出し高める支援
  • コミュニケーションの支援
  • 家庭内での役割を整えることの支援
  • コミュニティでの役割を整えることの支援

家族等への支援

家族等への支援
  • 支援を必要とする家族等への対応
  • 家族等の理解者を増やす支援
ケアに参画するひとへの支援
  • 本人をとりまく支援体制の整備
  • 同意してケアに参画するひとへの支援

各項目にそれぞれより具体的な支援内容が整理されています。

「疾患別ケア」の項目には、「基本ケア」と重複するものもあります。これは、疾患の有無に関係なく重要であると同時に、疾患がある場合には特に留意すべき項目であることを意味します。

「基本ケア」を活用する際の留意点

全ての支援内容を横並びに実施するのではなく、状況に応じて優先度や重要度が異なるため、情報の収集・分析を踏まえて具体的な内容を組み立てることが大切です。

「疾患別ケア」の理解を深める

脳血管疾患のある方のケア

要介護認定の原因疾患として多い疾患の一つで、医療における「地域連携パス(クリティカルパス)」の整備や活用が行われている例も多い

Ⅰ期(病状が安定し、自宅での生活を送ることが出来るようにする時期)

再発予防
  • 血圧や疾病の管理の支援
  • 服薬管理の支援
  • 生活習慣の改善
生活機能の維持・向上
  • 心身機能の回復・維持
  • 心理的回復の支援
  • 活動と参加に関わる能力の維持・改善
  • リスク管理

Ⅱ期(病状が安定して、個別性を踏まえた生活の充足に向けた設計をする時期)

継続的な再発予防
  • 血圧や疾病の自己管理の支援
  • 服薬の自己管理
  • 生活習慣の維持
セルフマネジメントへの移行
  • 心身機能の見直しとさらなる回復・維持
  • 心理的回復の支援
  • 活動と参加に関わる能力の維持・向上
  • リスク管理

大腿骨頸部骨折のある方のケア

大腿骨頸部骨折は、脳血管疾患と同様、要介護認定の原因疾患として多い疾患の一つで、医療における「地域連携パス(クリティカルパス)」の整備や活用が行われている例も多いです。

Ⅰ期(病状が安定し、自宅での生活を送ることが出来るようにする時期)

再骨折の予防
  • 転倒予防
  • 骨粗しょう症の予防
骨折前の生活機能の回復
  • 歩行の獲得
  • 生活機能の回復
  • 社会参加の回復

Ⅱ期(病状が安定して、個別性を踏まえた生活の充足に向けた設計と、セルフマネジメントへの理解の促進を図る時期)

再骨折の予防
  • 転倒予防
  • 骨粗しょう症の予防
セルフマネジメントへの移行
  • 介護給付サービスの終結に向けた理解の促進(自助・互助への移行)

主な疾患別のケアを抜粋しました。

同様に心疾患、認知症、誤嚥性肺炎の予防のためのケアなどについて詳しく紹介されています。

「適切なケアマネジメント手法」の概要と活動 動画

手引き 作成委員インタビュー動画

高齢者の意思決定支援と適切なケアマネジメント 動画

地域における医療介護連携のあり方と今後 動画

まとめ

今回は国が推進する「適切なケアマネジメント手法」の概略を紹介しました。

地域によっては、ケアマネの人数が不足していて、更新研修に参加する余裕がなかったり、新任ケアマネに教える時間が無いほど逼迫している事例もあります。

要点だけでも理解頂き、または、新任ケアマネに資料として渡すときの紹介に活用頂ければと思っています。

いずれにせよ、これから更にケアマネの役割は重要となってきます。

これだけ、業務負担がふえる中、居宅ケアマネの処遇改善の新たな交付金は見送られました。

介護情報サイトのインタビューで ケアマネ業務支援センター理事・進絵美さん(ケアマネジャーを紡ぐ会大阪支部長)は「いつまでも介護保険にばかり頼っているわけにはいきません。ケアマネ自身が、自分たちの力でどう収入を上げていくか考えるべきでしょう。」と述べています。

今後は、新たなテクノロジーを活かした介護のコーディネーターとしての役割も必要になってくる未来を落合陽一さんは著書で述べています。

いずれにせよこれからますます多様化するニーズに応えていく上でケアマネジメントの基礎を充分理解した上で、 取り扱う社会資源の多くの情報収集と活用が必要となってきます。

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