介護2021改定 新ADL維持加算算定伸び悩む現状

このブログでは「介護役立つ情報」を紹介します。

介護保険制度は3年に1度改定されます。2021年改定で要件が緩和されたADL維持加算算定の状況を紹介します。

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目次

ADL維持加算算定の進まない理由

福祉サービスイメージ

2018年度の改定で新設された「ADL維持等加算」は、算定率は低く、認知症への視点が抜けているという点から、令和3年度介護報酬改定により単位数を引き上げ、要件内容が緩和されました。

ADL維持加算の内容と変更点について一部抜粋します。詳細は厚生労働省ホームページで確認出来ます。

1.令和3年度改定前のADL維持等加算 

※2020年時点「ADL維持等加算」は、利用者の自立支援・重度化防止に繋がるサービスの提供を事業所へ促すインセンティブです。

評価期間の中でADLの維持または改善の度合いが一定の水準を超えている事業所を評価します。

評価結果は次年度の介護報酬に上乗せ加算するというアウトカム評価加算です。

ADL維持等加算(Ⅰ)

単位 3単位/月(要件を満たせば、次年度の1年間前利用者の算定を認める
要件 5時間以上の利用回数が5時間未満の利用回数を上回る利用者の総数が20名以上
⑵ a.評価対象利用期間の初月において要介護度が3以上である利用者が総利用者の15%以上であること
b.評価対象利用期間の初月の時点で初回の要介護・要支援認定があった月から起算して12カ月以内の利用者が15%以下であること
c.評価対象利用期間の初月と6ヵ月目にBarthel Index(ADL値)を測定し、その結果を厚生労働省に提出している利用者が90%以上であること
d.ADL利得が上位85%の利用者について、各々のADL利得を合計したものが0以上

ADL維持等加算(Ⅱ)

単位  6単位/月 
要件  ADL維持等加算(Ⅰ)の算定要件⑴⑵をすべて満たしていること
    評価期間の終了後にもADL値を測定し、厚生労働省に提出していること

※(Ⅰ)(Ⅱ)は各月でいずれか一方のみ算定可■ Barthel Index(バーセルインデックス)とは
ADLを評価する指標であり、食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計を100点満点として評価する仕組み。
関連記事:よくわかるADL維持等加算【平成30年度改定版】

全国のデイサービスで算定している事業所は約3%の事業所で手間が掛かるわりに算定しにく加算でした。

バーセルインデックスを定期的に実施する仕組みづくりから業務の見直しが必要でした。

加えて加算算定に関して指定権者に確認しても算定事業所が少なく正しい回答が返ってこない事例があるほど、マニアックな加算でした。

2.令和3年度報酬改定によるADL維持等加算 ※2021年4月以降

ADL維持等加算の対象サービスを通所介護に加え、認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設が追加されました。
また、クリームスキミング(事業所が収益性の高い利用者のみを受け入れること)を防止する観点や現状の取得状況等を踏まえ、単位数はそれぞれ10倍に引き上げられ、算定要件は下記内容に緩和されました。

ADL維持等加算(Ⅰ)

単位   30単位/月  ※(Ⅰ)(Ⅱ)は併算定不可
算定要件 
(イ): 利用者(事業所の評価対象利用期間が6カ月を超える者)の総数が10名以上
(ロ): 利用者全員について、利用開始月と該当月の翌月から起算して6か月目においてバーセルインデックス(BI)を適切に評価できる者(一定の研修を受けた者)がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出する。(LIFEの活用)
(ハ): 利用開始月の翌月から起算して6か月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じて一定の値を加えたADL利得(調整済ADL利得)の上位および下位それぞれ1割の者を除く評価対象利用者のADL利得を平均して得た値が1以上

ADL維持等加算(Ⅱ)

単位   30単位/月  ※(Ⅰ)(Ⅱ)は併算定不可
算定要件 
(イ): 利用者(事業所の評価対象利用期間が6カ月を超える者)の総数が10名以上    
(ロ): 利用者全員について、利用開始月と該当月の翌月から起算して6か月目においてバーセルインデックス(BI)を適切に評価できる者(一定の研修を受けた者)がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出する。(LIFEの活用)
(ハ): 利用開始月の翌月から起算して6か月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じて一定の値を加えたADL利得(調整済ADL利得)の上位および下位それぞれ1割の者を除く評価対象利用者のADL利得を平均して得た値が2以上

従来の20名以上であれば、デイサービスにおける地域密着サービスなどの利用者総数から言えば条件的に算定出来ない事業所も多くありました。

算定要件で利用者総数が10名に変更されたことは算定におけるハードルがかなり低くはなりました。

また、算定単位が上がったことと、多くの事業所が算定をすすめているLIFEへの情報提供等、積極的な算定につながる道筋は見えてきました。

2021年 新ADL維持等加算思うほど算定進まず

全国老人福祉施設協議会はこの度会員を対象に実施した「加算算定状況調査」の最新の結果をサイトで発表しました。

アウトカム評価の「ADL維持等加算」は、今年4月の介護報酬改定で要件が緩和され単位数も一桁増えましたが、算定を申し出事業所が思うほど増えていない状況です。

  • 特別養護老人ホームの申出 19.1%
  • 通所介護の申出      25.1%
  • 地域密着型通所介護の申出 19.2%

ADL維持等加算の申し出はそれぞれ2割前後に留まっていて、改定前の3%前後と比べると増えてはいますが、積極的に取り組む事業はまだ少ない様に感じます。

申し出ない理由として、「算定方法や内容が難しい」「LIFEの入力が分からない」「単位数と業務量があわない」などの現場サイドの意見が多く寄せられてています。

ADL維持等加算は介護保険制度が創設されて依頼、ケアの質を数値化し、自立支援・重度化防止に向けた有効な取り組みを行った現場がインセンティブを与える意味ではいい取り組みです。

介護が必要になった方に質の高いサービスを提供した結果介護度が下がり、事業所の報酬単価が下がることやサービスが利用出来なくなるのが従来の制度です。

ADL維持等加算が正しく運用され、算定単位も上がり、介護度が下がっても全体としのインセンティブがあることは現場職員のモチベーションアップに繋がります。

介護保険制度がスタートし20年以上の実績は多くのデータが集まっており、LIFEやADL維持加算で更にデータの精度が更に上がることは早い時期で効果的なアプローチを可能にします。

そのことで全体的な社会保障費の削減と自立して社会生活を送れる人が増えることは望まれる形です。

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