介護 パワハラ対策でリスク回避

このブログ「介護役立つ情報」では、事業所選び介護の仕事に関わる情報を紹介しています。

今回は今年4月から中小企業も対象となったパワーハラスメント対策の義務化について介護現場での対応体制整備と予防策事例を紹介します。

人事・労務部門のパワーハラスメント対応のチェックリスト

2022年4月に全面的に施行された「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」を受けて労務管理面で確認したいチェックリストが月刊誌「日経ヘルスケア 7月号」掲載されていたので紹介します。

必ず対応!事業者が雇用管理上講じるべき10項目の措置

  • パワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む職員に周知・啓発している。
  • パワハラ行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む職員に周知・啓発している。
  • パワハラ相談窓口を作り、職員に周知している。
  • 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにしている。パワハラが生じる場合だけでなく、発生の恐れがある場合や、パワハラに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談対応している。
  • ハラスメント発生後、事実関係を迅速かつ正確に確認するようにしている。
  • 事実関係の確認が出来た場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置を行っている。
  • 事実関係の確認が出来た場合には、ハラスメントも行為者への措置を適切に行っている。
  • パワハラの事実の確認が出来た場合も出来なかった場合も、再発防止に向けた措置を講じている。
  • 相談者・パワハラ行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知している。
  • 事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力してこと、労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをされない旨を定め、職員に周知・啓発している。

ハラスメント相談窓口を機能させるポイント

  • 相談窓口の担当は2名以上とし、様々な職位や性別、部署の職員が対応できるようにしている。
  • 相談窓口は、メールや電話、オンラインの回覧、システム、グーグルフォームなど様々な方法を用意している。
  • 相談窓口担当職員に対して研修を受講させたり、法人で対応マニュアルやヒアリング用のシートを用意している。
  • パワハラ、セクハラ、マタハラなど様々なハラスメントのケースに対応できるようにしている。
  • 相談後のフローが透明化されており、職員が把握できるようにしている。
  • 相談窓口を形骸化させないように、定期的に職員への周知を行っている。
  • 小規模な事業者など相談窓口の担当者が利害関係者になる可能性が低くない場合などは、第三者に窓口を委任する。

事後対応で気を付けたいポイント

  • 相談を受けた後、時間を置かず迅速に対応している。
  • 加害者の処分など、相談者がどのような対応を求めているか、意向を確認している。
  • 相談を受けた後、調査にあたり相談者の氏名、相談内容をどこまで共有してよいか確認している。
  • 担当者は相談者の心身の状態に十分に留意して、丁寧に聞き取りをしている。
  • 相談を受けてから数年が経過した後などでも、担当者が周囲に話を漏らすことがないよう注意している。
  • 解決に時間を要する恐れのある場合、相談者にその旨と所要日数の見込みを伝え、進捗状況を知らせながら進めている。

心理的安全性の高い職場にするためのポイント

  • LGBTなど性の多様性について理解し、職場で研修等を実施している。
  • トランジェンダーの職員が使用するトイレや更衣室に配慮し、可能な範囲で対応する方針を示している。
  • アンガーマネジメントを取り入れ、ハラスメントの防止を図っている。

パワハラと指導の線引き

「パワハラ」と「業務上の指導」との線引きについては悩ましい問題です。

業務上の指導には企業秩序の維持と生産性の向上という大きな効果もあります。

厚生労働省は2020年1月に告示した「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」では、3要件と6類型を示しています。

3要件とは以下の3つで要素を全て満たすものがパワハラと定義しています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

この定義はあくまで、罰則のないパワハラ防止法に関する定義で、民事訴訟における不法行為にそのまま該当するものではありません。

パワハラの線引きは内容や状況、行為の程度などによって異なり、一概に示せるものではありません。

注意するのは「人」ではなく「行為」

まっとうな業務指導であっても、そうした声掛けは部下の気分は落ち込むものです。

介護業務においては、誤った業務が利用者の身体に大きな被害を与える場合もあるため、業務指導が「必要」かつ「相当」であれば通常そうした指導は許されます。

パワハラと業務指導の線引きは以下のような内容を指標とし、事業所内で共有認識とします。

  1. 業務上の必要性があるか
  2. 人格の避難はないか
  3. 目せしめ的な対応がなされていないか
  4. (新人、精神疾患など)相手方の属性や心身の状態を理解した上での指導か
  5. 長時間、繰り返しの指導になっていないか

介護業界では、救命救急の現場など、緊急時に口調が多少荒くなったとしても許容される可能性はありますが、それでも状況次第で基本的に人格の侵害が許されるものではありません。

介護現場では「能力の低さ」などを理由に複数の同僚で一人を攻撃する、ミスが許されないために口調が強くなり人格攻撃に発展、有資格者が無資格者に強く当たるなどのパワハラも想定されます。

まずは事業所ごとに風通しのよい職場環境を整えていくために人事・労務部門の体制づくりが不可欠です。

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