SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回は、2021年世界の石炭発電が過去最大になった記事を紹介します。
世界の石炭発電過去最大ウクライナ侵攻でガス代替需要
6月3日の日経新聞の記事によると、世界の石炭火力発電所の2021年の発電量が20年比9%増の10兆422億キロワット時と過去最大になったことがわかりました。
昨年開催されたCOP26では開催国英国のジョンソン首相は、「先進国は30年、途上国は40年までに石炭への依存を断つよう求める」と表明していましたが、世界的には逆行する形となっています。
国連は平均気温の上昇幅を産業革命前に比べて1.5度以内に抑える目標を掲げていますが、出足から達成が難しい状況です。
また、この数字はロシアによるウクライナ侵攻が含まれていない期間の為、ウクライナ危機で天然ガスの供給が細り、石炭需要は今後も増える見通しです。
2022年も石炭依存は続くとという専門家の見方が多くなっています。
日経新聞の記事によると、エネルギー政策に詳しい橘川武郎・国際大学教授は「ロシアのウクライナ侵攻で液化天然ガス(LNG)価格が上がっている。それを代替する石炭火力の発電量は増える可能性が高い」と指摘しています。
以下は英調査会社のエンバーの統計を基に日本経済新聞が集計した数字です。
コロナ禍からの経済回復を映し、2021年の世界の電力需要は20年比5%(1兆4136億キロワット時)増えました。
前年を上回るのは2年ぶりで、伸び率は2010年以来の高水準の需要です。
増加分のうち太陽光と風力発電で賄えたのは29%だけで、風量の低下や干ばつ、寒波で再生可能エネルギーの発電量は想定していた数字まで伸びませんでした。
再生可能エネルギーの想定不足分を賄うために代替になったのが調達コストが低い石炭火力となりました。
特に中国とインドの石炭発電量はともに約1割増え、過去最高を更新し、米国でも16%伸びています。
石炭火力の比率が高いインドネシアやフィリピンでも過去最大の発電量となり、厳しい環境規制を敷くドイツでも安定供給を優先して2割強増えています。
石炭の燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出量は天然ガスの2倍を超えます。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、現在のCO2排出量が続けば、10年ほどで世界の平均気温は産業革命前に比べて1.5度上がると分析しています。
日米欧を中心に脱炭素の長期目標を変更する動きは今のところありませんが、現在のロシアによるウクライナ侵攻が長引けばエネルギーの安定供給に傾き、温暖化対策への国際協調も揺らぐ可能性もあります。
世界的なインフレも加速しており、目先の安い電力が求められている中、石炭火力によるエネルギー供給の上昇は避けられない状況です。
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