SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回はESG投資が継続し続けるかについてクオリティ経済メディアのQuartzの記事の日本語訳(NEWS PICS)について紹介します。
ESGについて
ESGとは、環境的(environmental)、社会的(social)、企業ガバナンス(governance)の頭文字で、金融機関が投資銘柄を選ぶとき利用するようになってきた基準だ。
わかりやすく言うと、エシカル投資(倫理的投資)のこと。それを中心に、インデックスファンドやアセスメント、行動主義などのエコシステムが生まれつつある。
数字で知るESG
・〜40兆ドル:世界のESG投資残高
・53兆ドル:2025年の世界のESG投資残高(ブルームバーグ・インテリジェンスの予測)
・3分の1:2025年の世界の投資残高に占めるESGの割合
・90%:サステナブル投資は重要だと考える、ミレニアル世代の投資家割合(モルガン・スタンレー調べ)
・2850億ドル:2020年のESG投資の伸び。2019年よりも96%増えた。
エシカル投資の歴史
1800年代:クエーカー教徒とメソジスト派が、奴隷制を支持する事業者や、人々に飲酒や喫煙など「不道徳」なことをさせて利益を上げる企業をボイコットするよう呼びかける。
1960年代:ベトナム戦争に反対する学生たちが、大学基金に対して、軍需企業への投資をやめるよう要請。
1980年代:スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故を機に、環境問題を最重視する投資家が現れる。
1980年代末:国や企業が、アパルトヘイト(人種隔離)政策をとる南アフリカでビジネスを行っている企業を、年金基金のポートフォリオから外すようになる。
2005年:50機関投資家からなるネットワーク「責任投資原則(PRI)」が創設される(現在のメンバーは3000)
NEWS PICS&Quartz 記事 抜粋
ESGは企業のプラクティスを変えるのか?
少なくとも、まだ直接的には変えていない。
欧州企業ガバナンス研究所が5月に発表した調査によると、ESG投資が拡大しても、投資対象となった企業が環境汚染を減らしたり、職場の安全を改善したり、取締役会におけるジェンダーや人種の多様性を拡大したりといったことにはつながっていない。
懐疑派に言わせれば、ESGは志こそ素晴らしいものの、自分の資金が社会の病悪に寄与していないと投資家に信じ込ませるための、マーケティング戦略に過ぎない。
だが、ESGの最前線にいる活動家らは、大きな前進の兆しがあると反論する。
エクソンモービルのようなエネルギー大手の取締役会には変化があったし、資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、気候変動が「金融業界の根本的な変革」を引き起こしていると宣言した。
投資家全体のマインドセットが変わっており、企業はそれに対処しなければ、自社の株価が下落することになるだろう。
NEWS PICS&Quartz 記事
まとめ
サステナビリティを企業戦略に組み込むのには、トップの覚悟と組織への浸透に時間を要します。
もし、現行事業がSDGsの目指す課題への負荷が高い事業を行っていた場合は、新たなサステナビリティの事業の開発にも時間がかかります。
大切な事は、イメージ戦略やマーケティングではなく、その企業が真摯に取り組み続ける覚悟があるかどうかです。
今回の東京オリンピックのスポンサーであるトヨタ自動車は開催までに莫大な費用をかけていたにも関わらず、オリンピックのあり方のCMは全て使用しない事を決定し、選手の移動サポートは継続することを発表しました。
企業の在り方・メッセージはトップの覚悟で世間に伝わります。
現在2030年のSDGs達成に向けて、2020年1月からは「行動の10年(Decade of Action)」と銘打たれています。
現在のビジネスと投資がサステナブルかどうかの視点は標準化が進みつつあります。
サステナブル・ファイナンスの法制化において、世界的に最も先行している国・地域は欧州連合(EU)です。
持続可能な経済活動の分類基準である「タクソノミー」を定めた EU 規則が2020年 6 月に成立しています。
これに伴い、EU タクソノミーの適用対象となる分野の大枠は一旦確定します。
その後、早くも対象の拡張が欧州委員会により検討され始めている状況です。
また、EU タクソノミーが適用されるのは EU 域内ですが、SDGsの経緯から将来的に国際基準として扱われる可能性は大いにあります。
この標準化が世界中で進み、ESGの基準が明確化されれば、更にESG投資が企業のプラクティスを変える可能性もあります。
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