SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回は地球温暖化対策を議論する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の合意文書について紹介します。
COP26とは
気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties)の略称で、英単語の頭文字をとってCOP(コップ)と呼びます。「26」という数字は第26回目のCOPのことを指しています。
石炭火力廃止の動き
石炭火力の使用については、当面維持したい中国やインドなどと、早急な休廃止を求める英国や欧州の溝は結果埋めることができないまま閉幕を迎えました。
以下日経新聞他各共同通信が伝える記事抜粋です。
石炭に依存する途上国や中国の支持を受けたインドが、化石燃料の削減を巡る文言に反発し、表現の修正を求めた。
これを受け、石炭火力の「段階的廃止(phase out)」ではなく、「段階的削減(phasedown)」に向けた努力の加速を各国に要請するという表現に修正された。
インドのヤダフ環境相は「新興国の事情」を反映するため修正が必要だったと指摘。
COP26では石油や天然ガスの段階的廃止を求める同様の声はなかったのに対し、石炭だけが標的になったとの見方を示した。
その上で「途上国にとって妥当で、温暖化対策の公平性からも妥当な合意を形成する努力をした」と述べ、歴史的に見て先進国の排出の割合が大きいことに暗に触れた。
欧州連合(EU)やスイスなどの富裕国に加え、海面上昇のリスクに直面する島しょ国は表現の修正に失望を示したが、採択には反対しなかった。
国連のグテレス事務総長は「採択された文書は妥協(の結果)だ。現在の世界の利害や状況、矛盾、政治的意思の状態を反映している」と述べました。
そして「重要なステップを踏んだが、深い矛盾を克服するに十分な共同の政治的意思は見られなかった」と述べた。
合意文書は、これまでに各国が表明した温暖化ガス削減目標では不十分であることを実質的に認め、より踏み込んだ目標を2022年に設定するよう各国に求めた。
これまでは5年ごとに目標を示す必要があった。
科学者らによると、世界の気温上昇が1.5度を超えれば、極めて大幅な海面上昇や、現在よりはるかに深刻な干ばつや豪雨、山火事といった自然災害につながることになる。
しかし、各国がこれまでに表明した削減目標では、世界の平均気温の上昇を2.4度にしか抑えられない。
環境保護団体グリーンピースのジェニファー・モーガン事務局長は合意文書について「文言は変更されたが、石炭の時代が終わりつつあるという、COP26から発せられたシグナルは変えられない」と述べた。
合意文書では、低所得国の気候対策への資金支援について、2025年までに19年比で倍増させるよう富裕国に促した。
また、富裕国が20年までに年間1000億ドルの資金支援を実現するとしていたにもかかわらず未達となっている約束について、国連の委員会が来年、進展状況を報告する。各国政府は22、24、26年に気候ファイナンスに関する会合を開く。
日経新聞 記事 抜粋
【グラスゴー共同】スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)は13日、英国での国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で成果文書が採択されたのを受け、会議は口先だけだったとツイッターで批判した。
グレタさんは「COP26は終わり。
まとめると『ブラ・ブラ・ブラ』」と投稿した。
「ブラ・ブラ・ブラ」は英語で、くだらないおしゃべりの意味。
グレタさんはこの語句をたびたび使い、各国政府や産業界の地球温暖化対策は、約束に行動が伴っていないと訴えてきた。
共同通信社
ジョンソン英首相は14日、北部グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を終えてロンドンで記者会見し、「グラスゴーは石炭火力発電の弔鐘を鳴らした」と述べ、石炭の時代は終わるとの見方を示した。
採択された成果文書「グラスゴー気候合意」について、「世界が必要としていた画期的な合意だ」と評価した。
成果文書の石炭に関する部分は採択直前に中国とインドの要求で「段階的廃止」から「段階的削減」に表現を弱められた。
ジョンソン氏はこれに「私のように英語を話す人間には、それほど大きな違いはないように見える」と皮肉った。
ただ、全体としては「失望の色に染められた」とも述べ、合意が期待した水準に届かなかったことを認めた。その上で「主権国家に望まないことを強制することはできない」と理解を求めた。
時事通信社
まとめ
脱炭素に向けたパラダイムシフトに関して以前は経済成長のブレーキという認識でした。
現在は環境と経済という2つの目標でバランスをとり、妥協点を見つける考え方に変化しています。
開催前から石炭火力の「廃止」がひとつの焦点となっていましたが、急減な変更は現在も発電に課題のある中国・インド他石炭に依存する途上国 には飲めない条件となりました。
2013年以来、北京等の中国都市部においてスモッグで真っ白になった光景は日本でも度々報道されました。
大気汚染の主な発生源は異なりますが、中国全土から見れば、慢性的な 大気汚染の主な原因として、発電所や工場で石炭の大量消費および近年の自動車の急速な普及が挙げられています。
経済成長の速度が緩やかになる中、中国政府は強力な環境規制と執行、過剰生産設備の淘汰やサービス産業への転換を含む産業構造調整などの諸要素によって、汚染は着実に減少しています。(国際環境経済研究所 記事抜粋)
2020年10月末の時点で、中国国内の発電設備の総容量は21億キロワット(kW)に達しています。
内訳は1位の石炭火力発電が10億7000万kW、2位の水力発電が3億7000万kW、風力発電と太陽光発電はどちらも2億3000万kWで拮抗している。(東洋経済新報社 記事抜粋)
化石燃料以外の発電に大きく舵をきっていますが大雨による河川の氾濫など、安定した電力供給に石炭火力を全て削減できるまでは至っていません。
11月14日付けのAFPBB Newsによるとインド首都、大気汚染で学校閉鎖 「ロックダウン」も検討しています。
急激な産業発展時期に先進国でも発生した大気汚染問題が次々と発生し、対策されていった歴史をたどっています。
合意文書は、これまでに各国が表明した温暖化ガス削減目標では不十分であることを実質的に認めていますが、 パリ協定をアメリカが脱退したときと比べると少しずつ前に進んでいると感じます。
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